20万ペソで建てた家に住んでBOP住宅ビジネスを考える

20万ペソで建てた家に3カ月かけてやっと電気が開通しました。今日はフィリピン在住の外国人でも経験者は少ないであろう私の住環境とフィリピンの住宅ビジネスに関して少しお話をしたいと思います。いくつか話を後回しにしてしまっていますが、気ままな更新ですみません。

フィリピンと日本では住宅事情はかなり異なります。少し以前の資料ですがジェトロの「BOPビジネス(※)潜在ニーズ調査報告書 フィリピン:低所得階層向け住宅分野 2011年3月」(以下調査報告書という)はフィリピンの住宅事情が良く分かり状況もそれほど変わっていないと思われるので参照しながらお話します。

BOP ベイス・オブ・ザ・ピラミッド(英語: base of the pyramid)は、世界の中で、所得が最も低いが人口では多数を占める層である。ボトム・オブ・ザ・ピラミッド (bottom of the pyramid) と同義。いずれもBOPまたはBoPと略す。主に、未開拓の市場という意味合いで使われる。国際金融公社 (IFC) と世界資源研究所 (WRI) は2007年、購買力平価で年間所得が3000米ドル未満をBOP(ベイス・オブ・ザ・ピラミッド)と定義した。この層の人口は約40億人で世界人口の約72%、購買力換算での市場規模は5兆ドルで日本1国のそれにほぼ等しい(いずれも2007年当時)。最近はボトム・オブ・ザ・ピラミッドと呼ばず、ベイス・オブ・ザ・ピラミッドを用いることが多い。この層を新たな顧客・ビジネスパートナーとするBOPビジネスが2009年より日本でも注目を浴び始めている。(ウィキペディア)

私はもしかしてスクウォッター?

スコッターsquatter)とは、都心の廃屋・廃ビルや他人の敷地や家屋の不法定住者、またはそうした住宅のこと。大都市などで見られるインナーシティの都市問題の一つである。発音に近い「スクオッター」「スクウォッター」とも表記する。行為そのものは「スクワット」と言う。日本語では「不法居住者(区)」などと訳す。』(ウィキペディア)

以前にも少し書いたのですが、私が日本に帰国している間に家を建て始めました。その時点では実は私自身は住むかどうかは決めていませんでした。しかしワンルームで家賃約1万ペソのアパートメントがちょうど更新時期にきており、契約上は更新時でないと3か月分のデポジットは戻ってこないとのことで退去手続きだけはしていました。

私のカミさんと家族が住んでいた家はもう少なくとも築30年以上でかなり老朽化していました。周りには親戚も多く住んでおり、市街地で非常に便のよい場所であることなどもあり、その近く家を建て替えようとしていた親戚が急に断念したことで、譲り受けました。

私のセブでの住まいですが、最初は外国人は一人もいないローカル向けですがセブの一等地のワンルーム月1万ペソのアパートメントからスタートして、次は郊外で山のふもとの月5千ペソの小さな一軒家、その次は市街地でワンルームで月1万ペソですが監視カメラも設置され外国人も多く住んでいる大型アパートメントでした。二つ目の郊外の一軒家では近所との触れ合いがありましたが、アパートメントではあまりなく、もっと地元に密着したローカルな生活をしてみたいという気持ちもあり、住むことにしました。

フィリピンでは外国人名義では土地の購入ができません。妻名義にするか日本人持ち株40パーセントの会社を設立する必要があります。カミさんに「土地はどうなっているの?」と聞くと「登記とかは無い」とのこと。

つまり、今私が住んでいる所は市街地にある「インフォーマル居住地」(調査報告書 P23参照)です。後述するように、この辺の定義や実態はまだよくわからないのですが「スクウォッター」といえるかもしれません。

まず日本人的に、それって土地の不法占有にあたり政府による強制退去の恐れが気になりました。日本では最近は耳にしませんが公園等のホームレスの強制退去や、公共事業のための行政代執行のニュースが思い浮かびました。フィリピンにおいては調査報告書にもあるようにインフォーマル居住者への強制退去は行われていたようですが最近の政策は代替え住宅地への移転政策になってきているようです。それでもあまりに数が膨大です。

セブのように開発が進んでいるエリアでも多くは放置されているのが現状です。

インフォーマル居住者・スクウォッターといってももいろいろ

カミさん家族はそのエリアに少なくとも30年近く住んでいました。もともとセブもダウンタウン以外は今のような街の姿ではなくもっと田舎で多くの人は登記などもあまり気にせず占有者がそのまま平穏に土地に居住していたのではないかと思われます。

セブが発展しピサヤ地方の中心都市となり多くの人々が出稼ぎのため人口流入が激しくなり、こういったエリアも急激に人口過密になってきたのではないでしょうか。実際に私の周りの友人に出身地を聞くとセブ生まれという人は意外に少なく、ボホールを含めたセブ島内からだけでもなくレイテ島やミンダナオ島出身者も多いように感じます。

インフォーマル居住者といってもかなり幅があるように思われます。マニラではゴミ投棄場に住む人たちのスラム街である「スモーキーマウンテン」が知られていますが、セブにも同じような場所があります。

以前に、ひょんなことからゴミ投棄場周辺(家に通じる車が通れるほどの割と広い道の周りはすでにごみの山でインフォーマルであることは確かなのですが家のある場所が投棄場エリア内なのか周辺なのかもはっきりしません。)に住む人と知り合ったことがあるのですが、彼はウェスト・ピッカー(Waste Picker)(※)ではありません。ごみ収集業を職業としていて定職についています。聞いた話では給料は意外によく、実態としては最低賃金以下で働いている労働者も多い中ではいい方だと思います。

ウェストピッカー『廃棄物の最終処分場などの処分施設で有価物を収集する個人事業者』(ウィキペディア)

私の家のすぐ隣の家は40インチから60インチはあるかという大型テレビが置いてありますし、ものすごいアンプとスピーカーから音楽を流している家もあれば、洗濯機や冷蔵庫を持っている家もあります。向かいの家は今改築中です。家族が海外に出稼ぎに行っていて仕送りがある家庭もあり、その場合は国内で働いているフォーマル居住者の家庭より収入は多いくらいかもしれません。単純に低所得者層とはいえなさそうです。

その居住形態は単に政府や他人所有の土地を占有し居住しているというわけではなく、もはやインフォーマル居住地は何十年にもわたって人々が住んでおり、登記されていない土地を占有していた者が他人に貸して収入を得ているというケースもあります。また、公有地でなければ日本であれば法律的には占有者は土地を時効取得できるのではというようなケースもあります。

今後不動産に関するビジネスをするとしたらもっと勉強しなくてはいけないのですが、フィリピンでは不動産売買も容易でないと聞きます。詐欺も多いようですが、そもそも登記もいい加減であったり登記に基づいて家を建て始めようとしたら実測が異なっていて真の土地所有者からストップをかけられたり、争いがあった場合も賄賂や立場を利用した力関係で決まってしまう恐れもあります。

日本におけるホームレス問題をはじめとする貧困問題は、従来は何らかの理由で人生の途中で貧困に陥ったケースが多く、最近になって子供の貧困問題のように生まれながらの貧困問題がクローズアップされてきたように思えます。つい最近は札幌市にある高齢の生活保護受給者らが暮らす自立支援施設での火事がニュースになりました。実は私は以前に少しホームレスなどの貧困問題に行政の立場から関わったことがあり、日本の貧困問題についても関心があり、今後お話ししていきたいと思います。

日本においてはスクウォッターやインフォーマル居住の問題はあまり身近にはなく日本に住んでいる方はピンとこないかもしれません。フィリピンの都市部においては人口の何割という人数がフォーマルな居住者以外と言われており、その形態はさまざまです。

20万ペソの家

3か月もかかりましたがインフォーマル居住地であっても電気も水道も通りました。

ちょこっと家をご覧いただきます

家は3階建てです。一階はキッチンとダイニングですか床はコンクリートです。年に数回の大雨で床上浸水します。

家に続く通路です。住民以外で用のない人はまず入ってこないのでその意味では安全ですが外の通りに出る通路は二本しかなく火事や災害に際して少し心配です。

階段と内壁ですが予算不足か塗装もしてありません。そのうちペンキを買って姪っ子・甥っ子に絵でも描かせようか、などと思っています。

天井もそっけなくフィリピンでは割と一般的なシーリングファンを吊ってます。確か350ペソくらいだったかと。

天井の蛍光灯です。配線が雑ですがちゃんと点きます。

2か月住んでみた感想と今後について

立地的には申し分ありません、庶民は市街地では土地を買える状況にはありません。収入があっても郊外のフォーマル居住地に引っ越すより住み続けたいという人も多いと思います。

不思議なことに以前、コンドミニマムに住んでいる人がコックローチが沢山出て悩まされるという話をしていたのですが、ここははそれほどはいません。衛生面は決して良いとは言えませんが住環境よりもむしろ市街地であることによる排気ガスの方が心配です。電気、水道、下水などのインフラも整っており生活していく分に不自由はありません。

治安に関しては、外国人は警備員が常駐しているコンドミニマムかサブディヴィジョンと呼ばれる住宅街に住むのが一般的で、私もそのほうが良いと思います。私の場合は近所であっても夜間は絶対一人では出歩きません。

気になったのは防火対策です。本当は消火器を買いたかったのですが、品質に心配もありとりあえず長いホースを買いました。

BOP住宅ビジネスについて

セブは今後も発展が見込まれ、土地が限られている都市なのでいずれは都市開発が進みインフォーマルエリアの整理は進んでいくと思われます。法的な面はもちろんですが住環境としては衛生面や火災や災害に対する安全面を含めて問題はあると思います。

私自身は以前お話ししたように将来的にはローカル向けアパートメントと外国人の短期~中期滞在者向けゲストハウスを併設した事業ができたらと考えています。

本格的な低所得者層向け住宅事業は私のような者には手に負えるものではないと思っていますが、低所得者向け家族はそちらに引っ越し、市街地で働く稼ぎ頭用のドミトリー(※)も併設するなどすれば低所得者の住居移転に役立つのではないかと思っています。また基本的に民間でも低コストでできるモデルケースのようなものを模索していき、BPO住宅ビジネスとして成り立つ事例をつくれればあとにつなげられるのではとも考えています。

※ドミトリー セブなどに地方から出稼ぎにくる者ははほぼ寝るだけくらいのスペースに2段ベッドで一部屋4人などでシェアして暮らすケースも多いです。私が英語学校に行っていたときの先生もそうでした。

この調査報告書では下記のようにまとめられています。これはセブにもあてはまるのではと思います。

(調査報告書 P51 抜粋)4.BOP ビジネスの成長可能性と市場規模の展望
『フィリピンの低所得階層向け住宅は、土地制度の問題や資金面における問題も絡み、政府による住宅供給促進施策にもかかわらず、未だ十分な供給がなされていない状況である。とはいえ、住宅ニーズそのものは高く、供給の拡大が必要とされる状況にある。』『年間需要は約45万戸であり(ただし、建築物全種)、およそ45万~60万件というのが現実的な年間住宅需要予測であると考えられる。現状ではこのような年間需要を満たす供給はなされておらず、これに鑑みれば、フィリピンでは低所得階層向け住宅を含め、住宅供給には大きな潜在ニーズがあるといえよう。』

(調査報告書 P83) 『アンケートおよび現地調査結果を踏まえると、次のような潜在ニーズが想定される。1)低所得階層向け賃貸住宅ニーズ  低所得階層は、継続的なローンの支払いが困難なことなどから、土地および住宅を所有することが難しく、賃貸住宅に住むケースが比較的多いこと、また、地方から都市部に出稼ぎに来ている場合には、賃貸住宅に住むケースが多い。一方で、現地調査のヒアリングでは、十分な居室面積が確保されてないケースや、さらに1部屋を複数名でシェアする形態など、居住環境が整備されていないケースもある。よって、特に都市部においては、低所得階層向けの一定の質を確保した賃貸住宅は、一定程度のニーズが存在する可能性がある。この場合、質を担保するとともに、どの程度、低価格で提供できるかが重要となってくる。』

フィリピンにおける不動産ビジネスは非常に難しくリスクも大きく素人が下手に手を出すとやけどをすると思います。次回(いつになるかは分かりませんが)はもう少し勉強を進めその点も含め考えたいと思います。

なお、今回は触れられませんでしたが下記の資料も参考にしました。次回ふれたいと思います。

海外建設・不動産市場データベース(国土交通省土地・建設産業局 国際課)からアジア各国の国土政策に係る具体的施策に関する国別調査報告書

日本では北陸は大寒波による国道の立往生やインフルエンザの大流行などのニュースが聞こえてきますが、早く復旧しますように、また、皆さま体調にお気を付けください。

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