今回はフィリピンのセブでの11月のタクシー・ビジネスでの出来事などのお話です。
もうすぐ12月、皆そわそわしだすシーズン
多くのフィリピン人にとってはクリスマスは宗教的な意味合いもあって日本以上にクリスマスは特別なイベントです。
今までもクリスマスシーズンには触れてきた話題なので重複する内容もありますがビジネスにおいても関係してくることなのですこしお付き合いください。
※以下のカロリンやゴッドチャイルドなどについては昨年の記事「クリスマス狂騒曲」をご参照ください。
クリスマスシーズンになるとカロリン(子供たちが歌を歌って近所を回りお菓子やお小遣いをあげる習慣です)やゴッドチャイルドへのプレゼントなど何かと出費も増えます。
また、悪いやからもこの時期は稼ごうとするのか偽札や強盗が増えたりするようです。
偽札に関しては以前のブログでも触れました。「クリスマスシーズンは偽札に注意!?」「偽札とイミグレーション」
偽札は大抵普通のカラーコピーなので雑なのですが、本物自体も結構印印刷が雑というのもあり、またタクシーなど暗いとこだと分かりにく私もバウンダリー(ドライバーからの支払い)にまぎれた偽500ペソ札を受け取ってしまいまったことがあります。
ちなみにフィリピン製の携帯には偽札をチェックするライトがついていたりします。
- 写真では分かりにくいですが、この携帯のブラックライトをあてて確認します。
ただバウンダリーのチェックではいちいちこんなことやってられないので、500ペソと1,000ペソはざらっとした手触りの 識別マーク(深凹版印刷) で確認します。
日本のお札はホログラムが付いています。「新しい一万円札について」(日本銀行)
ちなみにクリスマスというのは「キリストのミサ」という意味だそうです。私が子供の頃は12月25日はイエスキリストの誕生日という風に教わった気がするのですが、聖書には実際の誕生日がいつかという記載はありません。また、暦によっても日はずれます。
キリスト教の一部の教派では『あくまで誕生を祝う日であって、イエス・キリストの誕生日ではない』とされています。
では何故この日になったかというのは、『古代ローマのミトラ教の祝日が転用されて』後々この日とされたのではないかとされています。
また『キリスト教で最も重要な祭と位置づけられるのはクリスマスではなく、復活祭である』 (以上ウィキペディアより)
これらは実際に聖書を読まないとなんだかよく分からないと思いますが、それは別の投稿「セブで聖書を読んでみる」を再開したら触れたいと思います。
クリスマスパーティー
この時期になるとドライバーから「クリスマスパーティは?」と聞かれます。
一般的にフィリピン人はイベント好きというのが私の印象ですが、クリスマスは一年で一番大きなビッグイベントです。従業員に対してパーティーを開けるぐらいになれば一応いっぱしの経営者とみられるという面があるかもしれません。
それでもうちはそんな余裕ありません。これまで「来年こそはパーティーを開けるように努力するから、みんなも安全運転でがんばってね。」と勘弁してもらってきました。
そしたらカミさんが自腹でドライバーに小さなパーティ(フィリピンの庶民パーティスタイルです)をしようと思いているとのこと。
やっぱりモチベーションをあげるためには必要なのかなという気もしており、あくまでカミさんのポケットマネーということで(カミさんの株をあげる形で)やろうかなどと思案しているところです。
13か月分給与
去年もこの時期にお話ししましたがフィリピンでは法律で12月には2か月分の給与が義務付けられています。
フィリピンではメイドさんを雇うことはそう珍しいことではありません。
常勤のメイドさんの場合も2013年から法律で支給が義務付けられています。以下の記事は当時のものですがまだ掲載されているので有効かと思います。
ジェトロ「 家内労働者法が成立−最低賃金や有給休暇を義務付け− (フィリピン)」
我が家にはメイドさんはいませんが、子守を頼むケースはあります。そういった場合は法律上の規定はありませんがこのシーズンは少しはずみます。
セービング
12月は「セービング」の払い戻しの月です。
タクシードライバーは従業員としてではなくオペレーター(オーナー)から車両を借りて運転するスタイルが一般的です。つまり個人事業主です。
ですから運転しなければ収入がありません。収入は日によって異なります。稼ぎがあった日にパッと使うと稼げない日はお金が足りなくなるということが起こります。急な出費の場合もそうです。
銀行に預けるのは面倒ですしそもそも口座を持っていない者も多い。そこで銀行代わりにおオペレーターが預かるという「セービング」というシステムをとっているケースがタクシー業界では見られます。
オペレーター(オーナー)にとってはドライバーからの借金やドライバーの過失による事故対応につかえるというメリットがあります。
給料制ではないのでさきほどの12月の2か月分給与というものもなく通常通りです。リワードと言ってボーナスが支給されるケースもありますが、セービングをしていれば出費の多いこの時期にまとまったお金を手にすることができます。
オペレーター(オーナー)によってはセービングをバウンダリーに含めるなど強制的にしているケースもあるようですが、(個人的には法律的に強制はできずにあくまで同意のうえでの取り決めになるのだろうという考えから)うちは任意にしており、その代わりインセンティブを与えるために12月に返還するときには銀行より高い利息を付けています。
11月末を区切りにしているのでちょうど今整理しているところです。
多くのドライバーは毎回積み立てていても年の途中で結構引き出していて最終的には数千ペソくらいが多いです。全くしない者もいますが一番多い額は16,000ペソ以上でした。大きいですね。
フランチャイズ手続き始まる
フランチャイズ手続きが進展する
セブのタクシーは3年以上名義変更手続きが中止されていたのですが、フランチャイズを統合し名義変更を行う手続きが申請から一年近くたってやっと動き出しました。
駐車場検査を受ける
まず「駐車場検査」が行われることとなり急遽土地を借りることになりました。
本当は土地は購入したいところですが、とりあえず1年契約で借りることにしました。来年は土地を購入して(ローンですが)アパート・ゲストハウスを建てるところまでいきたいところです。
知り合いの紹介ということもあり、あくまでフランチャイズ手続きのための賃貸なので下見をして条件を確認して即決で契約、すぐに駐車場の検査(インスペクション)を申し込み、その週には実施となりました。普段は全然物事が進まないのに、すごく早い展開でなんだか逆に怖いくらいです。
駐車場検査では駐車場の契約書類の確認、現地調査、工具等の確認など。実は会社の登録の時に小さな駐車場は借りていてそちらは屋根付きなのでタイヤやら簡単な工具は置いてあります。
大規模なオペレーターですと自社整備工場があったりしますが、私のとこは近くのリペアショップと提携しており、そちらの設備のチェックでオッケーとなりました。
駐車場は借りたときはまだ草が生えていましたが、簡単な整地をするなどし、細かいことはうまくビジネスパートナーが対応してくれてほぼ問題なくクリアーとなりました。
- 借りた駐車場用地
- オーナは売る気はないそうなのですがハイウエイから近く立地もよく安く売って呉れたらなあと思うのでした
前オーナーとの行き違いで問題発生
駐車場検査が終わりフランチャイズのヒアリングの日程も決まって一息つくかと思ったら問題が発生。
名義変更ができないためにフランチャイズだけ購入し、前オーナーの名義のままで古い車両が登録されているのですが、その車に正規ナンバーを付けた写真が必要で、撮りに行ったところ、オーナはすでに廃車にしてしまっていたのでした。
フィリピンで長くビジネスをしていれば自分であの手この手を考えられるのでしょうが、こういうときは基本的にはあれこれ工作せずに正直に相談することにしてます。役所職員にアドバイスをもらいビアリング前に前オーナー名義で新車への登録変更をすることとなりました。
トヨタで新車を購入
セブのタクシーの9割以上はトヨタのビオスという車種です(日本では販売していない東南アジア向けの車種です)。以前中古のKIAの車両をもっていたことがあったのですが、修理に際し部品の取り寄せに1カ月近くかかったことがありました。その間私もドライバーは無収入になってしましいます。ビオスは部品も大量に出回っておりそんなことはまずありません。そもそも故障率も違うと聞きます。
本当は新車購入からタクシーとして走るまでの費用や手続きをブログでお話ししようと思っていたのですが、今回は私が日本に滞在している間に手続きが進んでしまうので、それは多分来年に新車登録をすると思うのでその時にしたいと思います。
- ディーラーにはビオスがずらりと並んでいます
新車の慣らし運転で教会へ
新車納車もわずか数日でした。
今の車は必要ないとも聞きますが新車を購入したら慣らし運転 (こちらではブレーキングインなどと言います) をしています。
タクシー事業は24時間年中無休(マネージャーでもあるカミさんは朝だろうと夜中だろうと何かあったらドライバーから連絡が来ます。これまで2人のビジネスパートナーがギブアップした理由もそういったストレスが大きな要因の一つです。)なので、なるべくストレスをためないよう友達との小旅行など遊べるときは遊ぶように言っています。慣らし運転にかこつけての新車での小旅行も楽しみでもあります。
今回は義弟の健康を祈りたいというカミさんの希望もあり大分元気になった義弟とその彼女とともに「Monastery of the Holy Eucharist」という(「シマラ教会」とも呼ばれています。)教会に行くことになりました。
この教会は 1998年に建立されたそうでコンクリートの外観で普通の教会とはずいぶん異なる趣きがあります。この教会はマリア崇拝の教会で願い事が叶うといわれているのだそうです。
ちなみに「マリア」はイエスキリストの母で一神教のキリスト教でなぜ人間であるマリアが崇拝されるのかという(この教会でも願いが叶うとされています)、宗教的に少し難しい問題があるのですがクリスマス同様それも別の機会に。
(「マリア崇拝」などについてはウィキペディアの「マリア崇拝」「マリア崇敬」をご参照いた抱ければと思います)
ですが実際にはこの教会には多くのカトリック信者が訪れています。
- 入り口付近で結構強引な駐車場への誘導(客引き)がありますが奥の駐車場へ停めます。
- お城のようです。
- 今も増築されているようです。
- カラフルなろうそくに火を灯し願い事をするのだそうです。
- 色には意味があるようです。
- シマラ教会を後にして、ハイウエイをさらに南に向かった先にあるお菓子屋さんに向かいます。
こじんまりとした小さなお店です。 「Chitang’s Torta Bakery」
「Torta」というのはセブではよく知られたお菓子の種類ですがカミさんはこの店のが好きなのだそうです。
- ドマゲッティやオスロブからの帰りに車内でつまむのにいいのではないでしょうか。
- 泥除けのついたマウンテン仕様のバイクタクシー(ハバルハバル)
- フィリピンは山間部にも多くの人が住んでいて車やトライシクルでも行けないところも多くバイクが唯一の交通手段です。3人乗り、4人乗りもありです。(その場合運転手はもはや腰かけてません)
- 「LIVE ANIMALS ON BOARD」と書かれています。
- 動物運搬車もタクシー同様にLTFRBのフランチャイズが必要とのこと。
- 苦情電話番号ステッカーも貼ってあります。
- 分かりづらいですが、こちらはブタを3頭くらい運んでいます。
- 途中で何か所かで銀行の前の長い行列を見かけました。
- この日はシニアシチズン(60歳以上)に月2,000ペソ支払われる支給日なのだそうです。
- 休憩でナガ市のハーバーに寄りました。向こうに見えるのはセブシティでしょうか。
- 大きな船も停泊しています。
- なかなかいい雰囲気です。
- そして無事帰宅するのでした。
ドライバーの息子さんの葬式へ
早いもので約1年前になりますが「1月1日にドライバーたちの家に行ってきました」という記事を投稿しました。そのうちの一人の息子さんが亡くなりました。
上記の記事で女の子二人が写っている写真があると思いますがその部屋に棺が置かれています。ドライバーのお父さんはその女の子がいた場所に腰かけて弔問客の相手をしていました。
バイクの後部座席に乗っていたところ単身事故で彼だけが亡くなったそうです。まだ14歳でした。
市街地では時折警察の検問があって無免許やノーヘル、3人乗りなどのチェックをしているのですが、郊外に出るとそういった規制はあまり守られていません。彼の場合もノーヘルだったそうです。
事故後、以前お話ししたこともあるセブで一番大きい公立病院のヴィチェンテ・ソット・メモリアル・メディカル・センター(ビンセントソート:VICENTE SOTTO MEMORIAL MEDICAL CENTER)病院に運ばれたのですが助からなかったとのこと。
前回、病気の話をしたところですが、以前は友人の叔父がマクタン島でバイクを運転していたところ、トラックとぶつかる事故でヴィチェンテ・ソット病院に運ばれましたが亡くなりました。
そのとき友人は、「もしプライベート病院だったら助かったかもしれない」と言っていました。
棺のそばには親戚一同からの花も飾られていてそのもとで大きな事故にもかかわらずきれいで穏やかな顔で安らかに眠っていました。
一年ぶりの訪問がこんな形になるとは本当に残念です。ただ祈るだけです。
そしてまた日本へ
そろそろ日本へ出発です。プライベートな用件ですが今回で恐らく今後の日本への帰国の回数はだいぶ減ると思われ、少し特別な帰国になります。セブには年明けに戻ってくる予定ですが、セブでのタクシービジネスの方も年をまたいで懸案事項が解決できたらと思っています。
そうしたら来年はいよいよ次のステップに向けて歩みだせるかもしれません。
きょうもお付き合いいただきありがとうございました。フィリピンは台風が来たばかりですが日本はもう本格的な冬の気候のようです。慌ただしい季節ですが風邪などめさぬようお気をつけください。