前回の投稿で私の結婚ビザのアニュアルレポートのお話をしましたがビジネス関係でも同様に1月からアニュアルレポートが始まります。
※ 「Annual report(アニュアルレポート)」を検索すると『 企業の財務内容を盛り込んだ、年次事業報告書。 』(コトバンク)などと出てきますがフィリピンでは役所の手続きの年次報告という意味でも使われます。会話の中では手続きによってリニューアルとかアップデートなどといろいろな言い方をしたりします。
厳密にはそれぞれ法律の条文の名称が異なるのかもしれませんが、この投稿では「年次更新・報告」という意味で「アニュアルレポート」という言い方でお話します。)
なお、手続きの内容は地域によって異なったり、また毎年変わったりするのでご注意ください。
ブログでは「セブのタクシービジネス備忘録」を基本的に毎月お話したいと思っていますが、今回は備忘録というか、こういう手続きがありますというお話です。
LTFRBとLTOのアニュアルレポート
「LTFRB(LAND TRANSPORTATION FRANCHISING AND REGULATORY BOARD;陸運統制委員会)」は運輸行政に関する営業許可や規制などを所管しています。
「LTO(Land Transportation Office;陸運局)」は車両の登録管理や運転免許証を所管しています。
タクシービジネスの場合は営業権を所管する「LTFRB」とのやり取りが多く、その手続の中で「LTO」の車両登録関係の書類などが必要になる感じです。どちらの組織も「DOTr(Department of Transportation;運輸省)」に属します。
LTOでは「OR / CR」の更新を行います。これは 「Certificate of Registration (CR)」と「Official Receipt (OR)」のことで、日本で言えば車検証にあたり、フィリピンでオートバイや自家用車を所有する場合にも必要な重要な書類です。
タクシーの場合、最初は自家用車(PRIVATE)として購入し、商用車(FOR HIRE)に区分変更をします。以前お話しましたが、ローンで購入したときにはこの変更でトラブルが生じたのでした。
タクシーのフランチャイズは、以前は各車両ごとのアニュアルレポートと5年に一度のフランチャイズの更新があったのですが、今後は統合されアニュアルレポートのみになるとのこと。ナンバーの末尾に応じて(末尾が1の車両は1月など)一年かけて行われます。
このアニュアルレポートに合わせて「LTO」や配車システムの「Micab」、GPSシステムの「Spingin」などから証明書など書類を揃えなければなりませんが一括でできないのでとても面倒です。
またタクシーは指定された強制保険に加入しなければならずその手続きも合わせて行います。
ビジネスパーミットのアニュアルレポート
以下はタクシービジネスに限らずフィリピンでビジネスをする上で共通するものも多い事項です。
フィリピンでのビジネスに関心があるようでしたらまずはJETRO(日本貿易振興機構(ジェトロ))のフィリピンのページ(こちら)を見ていただくのが良いかと思いますが、その中に「外国企業の会社設立手続き・必要書類」のページがあって、 さらにそのなかにPDFで「外国企業の会社設立手続き・必要書類 詳細」という資料があります。
基本的にはこれら設立時に行った手続きについてアニュアルレポートが必要となります。
この資料では このあとお話する「証券取引委員会(Securities and Exchange Commission)への登録」、「内国歳入局(Bureau of Internal Revenue)の手続き」 「社会保険関連の手続き」 などが記載されていますが外国企業でない場合でも参考になると思います。
ここでは「事業許可証(Mayor’s permit)」 という記載になっています。 ビジネスパーミットは事業所を置く地方自治体の役所が許可するので正式にはそういう名称なのかもしれませんが通常「ビジネスパーミット」と呼ばれています。
ここでは設立時の手続きについて比較的簡単に書かれていますが、消防関係や保健衛生などいろいろなセクションが関係するので結構手間がかかります。
私が最初にビジネスパーミットを取得したとき、各セクションごとに実地調査が来るのですが、その当日にキャンセルになったり、時間通りに来なかったりということがありました。調査の中身はタクシー用の駐車場に分別ゴミ箱が置いてあるかの確認など結構細かいのですが、ビジネスパートナーと話し込んだりして「他の予定もあるだろうに、こうやって時間が押して遅れるんだろうな」と思った記憶があります。
個人事業主から会社にしたときに事業所所在地も移し、ビジネスパーミットも取り直したのですが、そのときの手続きは現在のビジネスパートナーとブックキーパーにまかせました。
彼はジプニーも所有しており、すでにいくつかのビジネスパーミットもその役所から取得していて慣れていることもあって、時間的にも最初のときと比べてとてもスムーズに取得できました。
なお、毎月の月齢報告もビジネスパートナーとそのブックキーパーにお願いしています。
「ブックキーパー」は英語訳だと簿記係(WISDOM;ウィズダム英和辞典)ですがフィリピンでは税務署など役所の手続きを代行するエージェントに対しても使われます。
日本でいえば税理士、行政書士を合わせたような感じでしょうか。
会計士のいる会計事務所でもできると思うのですが、そういう事務所は一般的に大きな企業などを相手にしており、費用も高いです。ルーティン的な事務であれば信頼できるブックキーパーの事務所(個人でも)で十分だと思いますす。
(もちろん何につけそうですが、しっかり仕事をしてくれる人と、そうでない人とばらつきはあります)
- これは依頼しているエージェンシー(ブックキーパー)からの見積もり書です。
- Business Tax 5,774.76
- Fire 581.9
- Barangay clearance 500
- Greening program fee 200
- Processing fee – business peimit 2,800
合計9,906.66ペソ、去年は9,071ペソでした。(現在のレートはウィジェット( フィリピンペソからの換算レート )を御覧ください)
「Barangay clearance」は バランガイというのは、フィリピンの都市(cities)と町(Municipalities)を構成する最小の地方自治単位で、 クリアランスは許可のための証明書です。
「Greening program fee」 というのは「DEPARTMENT OF EMVIROMENT AND NATUAL RESOURCES( DENR )」 の 「National Greening program」 という森林保護政策があるのですがその関係だと思われます。
なお、このビジネスパーミットの更新では社長(妻)を始め役員(うちの場合は家族ですが)のレントゲン写真(X-Ray)が必要で、さらに今年は従業員(ドライバー)1名も必要とのこと。
そういえば最初のビジネスパーミット取得のときもビジネスパートナーがレントゲンを撮ってました。しかし私の分は外国人なので必要ないとのことでした。そもそも「なぜレントゲン(だけ)が必要なのだろう?」というのは疑問です。
BIRのアニュアルレポート
「BIR(Bureau of Internal Revenue) は日本での税務署にあたります。
法人税は日本と同様に課税対象額に対して収入などに応じた区分で決められた税額を支払うことになります。タクシー事業の場合は許認可権のある「LTFRB」になんだかんだと手数料を払っているのです税金はまた別ですので決められ額を納めます。
また、個人の場合、所得税など納税するためには 「TIN(Tax Identification Number-納税番号)」 が必要になります。私も会社設立と合わせて手続きをしました。
なお、毎月の業務ではビジネスパーミットでお話したブックキーパーには「BIR」のほかに「SSS(SOCIAL SECURITY SYSTEM)」、「PHILHELTH」の事務も依頼しています。
日本で言えば「SSS」は年金で後者は 「PHILHELTH」 健康保険に相当するかと思います。従業員の場合は基本的には義務付けられているようですが、タクシー事業の場合はドライバーは雇用関係にはないのですが任意で本人負担で加入できます。
SECのアニュアルポート
「SEC」とは 、証券取引委員会(Securities and Exchange Commission: SEC)のことで 会社の設立登記を行うところです。
なお、個人事業主の場合は「DTI(Department of Trade and Industry;貿易産業省)」 に登録します。
私の場合は、最初はタクシー1台からスタートしたのですがその時はビジネスパートナーが個人事業主として登録しました。外国人も外国資本100%での参入が可能なものに限って個人事業主になれますが現実的にはほとんど例はないのではないのでしょうか。
その後、台数も少しずつ増えてきたので会社形式とすることにしました。タクシー事業の場合、外国人は40%までの株式を所有できます。
私の場合、会社の設立登記は色々経緯があったのですが最終的には弁護士に頼みました。このためアニュアルレポートも弁護士に頼んでおります。
アニュアルレポートを自力で行うかエージェンシーなどに頼むか
ビザのアニュアルレポートもそうですが、アニュアルレポートは定例的な業務なので現地語か英語が堪能であれば、自分でやろうと思えばできなくはないと思います。
ただ日本でも会計事務所、税理士、司法書士、行政書士といった専門職による代行事務があるようにその道のプロに任せた方が時間も節約できます。
また、フィリピンでは法律や手続きの方法が突然変わるのですが、知らずに手続きを怠るなどミスをするとでペナルティなどを受けてしまいます。
普段から役所とつながりのあるエージェントのほうが情報収集の面でも間違いがないといえ、かえって費用的にも安上がりになる場合もあると思います。
私の場合は費用よりも手間の面が問題で、LTFRBなどの事業に関する手続きで手一杯です。
(この関係の事務に関しては、一応エージェントはいることはいるのですが、弁護士や会計士などとは異なり有資格者というわけではなく、 任せる部分は少なく、書類を揃えたり期限などの管理は基本的には自力で行わなければなりません。)
なにより提出漏れなどの場合のペナルティが大きく、ミスがあった場合は大きな被害を受けることになることから、任せられないという面があります。
(もっとも実際にこの事務を行っているのはカミさんで私は確認しているだけなのですが。)このためそれ以外の手続きなどはなるべく外注して負担を軽減したいと考えているのです。
ただし前回もお話しましたが、エージェントやエージェンシーに限りませんが他人に仕事を任せる場合は、費用の差もありますが仕事の中身にも差があります。依頼する場合でも丸投げではなく中身の質問や確認は必ず行った方がよいと思います。
追記
前回の投稿でチョンワ病院に行った話で最後の部分が反映されていませんでした。時々ネットエラーになって保存されておらず、確認を怠り見落としてしまいます。それから予約電話を入れた話も追加します。
※追記
私が行ったのはチョンワ・マンダウエ病院です。セブ市のチョンワ病院と比べると建物は新しくてとてもきれいです。ドクターの処方箋が必要で、診察には予約が必要とのことだったのですが、その日の夜にものもらいだか結膜炎だかにかかってしまいました。
やっと治ってカミさんに予約の電話を入れてもらうと「中国人は今受け入れていない」とのことで「中国への渡航歴がないか」とも聞かれたとのこと。
結局受け付けてくれるということになったのでひと安心で予約が取れました。
私の場合はそれで話が終わったのですが、もし私が中国人で感染していたら病院でも診てもらえないとしたらどうなったのでしょうか、受け入れてくれる病院が決まっていてそちらを案内されたのだろうか?
早く収束してほしいものです。