GCQでのフィリピン・セブのタクシービジネス

前回の投稿以来ずっと風邪を引いて寝込んでおりました。フィリピンでは年に数回、定期的に風を引き、熱と体の痛みといういつもの症状なのですが、時期が時期だけに新型コロナでないか心配でありました。

この間、フィリピン全土で段階的にECQが解除され、最後まで残ったセブもようやく6月1日からGCQとなりました。

しかし、この判断は「もう経済が持たない」ということが大きな要因であることは明らかで、楽観できる状況にはありません。

タクシーも条件付きで許可を受け営業が再開されることになりますが簡単ではありません。

フィリピンにおけるコミュニティ隔離措置の最新状況(政府発表)

  • ECQ(Enhanced community quarantine);強化されたコミュニティ隔離措置
  • MECQ(Modified enhanced community quarantine);修正を加えた強化されたコミュニティ隔離措置
  • GCQ(General Community Quarantine) ; 一般的なコミュニティ隔離措置
  • MGCQ ( Modified General Community Quarantine) ; 修正を加えた、一般的なコミュニティ隔離措置

事業別のそれぞれの措置での具体的な違いなどはジェトロ(日本貿易振興機構)の「 フィリピンにおけるコミュニティ隔離措置の最新状況( IATF(新型コロナウィルス感染対策のための省庁横断タスクフォース)の関連決議概要(仮訳)) 」 (2020年5月31日 ジ ェ ト ロ ・ マ ニ ラ事務所)に詳しく記載されていますので御覧ください。 (※内容は随時修正等も行われる可能性がありますのでご注意ください。)

【適用期間】
2020 年 6 月 1 日~同 6 月 15 日(同 6 月 16 日以降の措置については未発表)
【出所】
IATF 決議 35~41(及び Omnibus Guidelines)
大統領府ロケ報道官記者発表資料 (2020年 5月 13日発表、MECQ に関するガイドライン)」
(↑上の2つのリンクは現在リンク切れになっています。)

※公共交通機関の鉄道、バス、ジー プニー、タクシー、 TNVS(GRAB 等)はECQ、MECQでは営業不可ですがGCQでは 可能(積載乗員数に制限あり)となります。

GCQ期間におけるタクシー事業等のガイドライン(LTFRB)

実際に営業を行うにはLTFRBから発表されたガイドラインに従う必要があります。

概要は「Here are the LTFRB guidelines for taxis and TNVS in GCQ areas」(TopGear MOTORING NEWS)の記事を御覧ください。

LTFRBの公文書は「タクシーおよび輸送ネットワーク車両サービス(TNVS)の運用に関するガイドライン(覚書通達2020-018)

このガイドラインには以下にお話する営業開始許可やキャッスレスシステムの導入などが示されています。

ガイドラインの中から一部抜粋すると

  1. タクシーユニットには、予約およびオンライン決済取引のために、認定されたTNCによって提供されるウェブアプリが装備されている必要がある。
  2. タクシーユニットは、MC No. 2017-026の要件(つまり、GNSS受信機、ダッシュボードカメラ、CCTV、オンラインデジタルプラットフォームの設置)に準拠している必要がある。
  3. ユニットは定められた有効な個人旅客保険に登録されている必要がある。

また、乗客名簿の記録が義務付けられます。このためドライバーが乗客に対し名前や連絡先を聞き記録することになります。

GCQにおける特別営業許可申請と許可書

上記のガイドラインにもとづきGCQにおける営業許可の申請をします。

  • AFFIDAVID/UNDERTKING(宣誓供述書)
  • LTFRBなどのガイドラインを守ることを宣誓します。

必要書類を添えて申請し、許可書をもらいます。しかし、セブ島の地方に出るためには州知事の許可も必要になります。

  • SPECIAL PARMIT(許可書)
  • subject,to the implementation of the following condition(履行すべき事項)

GCQにおける特別許可の遵守事項の主な内容は下記のとおり

次の条件を厳格に遵守すること。
a。運転手は常にマスクと手袋を着用すること。
b。乗客は、乗車を許可されるためにマスクを着用する必要がある。(No Face Mask, No Ride)
c。車両で頻繁に触れる場所(座席などに限定されない)
アームレスト、ドアハンドル)は、旅行のたびに消毒(ワイプの消毒)すること。
d。車両ユニットは、連続運転中、2時間に1回、消毒剤をスプレーすること。
e。オペレーター/ドライバーは、適切なフローリングマットを提供して、 衛生管理を行うこと
f。ドライバーコンパートメントは、透過性のある透明素材で隔離すること。
g。DOTrガイドラインごとの乗客定員を厳守すること。
乗客は3人(すなわち、後列に2人の乗客と前列に1人の乗客)を超えてはならない。
h。オペレーターは、運行前にドライバーの健康状態を確認すること。
(彼らの体温をチェック等)

タクシーの新型コロナ対策(ビニールシート)

日本でもタクシー会社で導入しているケースもあるようですが、セブではGCQにおける特別営業許可を受けるにあたって義務付けられます。

  • 写真では分かりづらいですが、ドライバー席をビニールシートで囲みます。
  • 後部座席にクーラーの冷風が届くようにします。
  • ECQ前は、走行中は窓を全開にするというルールが適用されるという話もあったのですが今の所それはないようです。
  • 普段も直射日光の当たる場所にはなるべく駐車しないようにしていますが、ビニールが溶けないように気をつけなければなりません。

キャッシュレスシステムの導入

LTFRBのガイドラインに「Taxi units must be equipped with an internet/web-based Apps provided by an accredited TNC, for purposes of booking and online payment transactions.」とあります。

ECQ期間中にLTFRBからタクシー車両にキャッスレスシステムを導入しないと事業再開の許可がおりないとのアナウンスがありました。

LTFRBはこれまでも車載防犯カメラ、配車アプリとWi-Fi設備、GPS装置の導入義務付けを立て続けに行うなど新規事業に積極的でした。数年前に職についたディレクターがかなりやる気のある人とのこと。

今回導入するキャッスレスシステムは「Gキャシュ」と並んでフィリピンではよく使われている「PayMaya」というもので、すでに各車両に導入している配車アプリの「Micab」用のタブレットにアプリを入れ、各ドライバーが自分のアカウントを登録することになります。

個人的にはすでに導入されている配車システムと合わせ特に外国人旅行者にとってはセブのすべてのタクシーにおいてグラブタクシーのような利便性が高まるので歓迎なのですが、ドライバーにとってはメリットはなくむしろ面倒です。

しかし、この導入計画によって次にお話するオペーレータ間の情報共有の場が設けられることになったのは大きなメリットでした。

オペレーターのオンライン会議

日本では新型コロナの影響でテレワークやWeb会議の導入が進んだようです。

日本だと多くの分野で業界団体があります。セブではそういったものはありません。今ビックオペレーターと呼ばれている大規模事業者は以前融資を受けるためにグループを作ったケースもありますが新規参入の小規模事業者はほとんど横のつながりはなく、カミさんが何度も役所に足を運ぶうちに知り合って仲良くなる程度でした。

今回の状況下で配車システムのマイカブ(Micab)がオペレーター間と情報共有するためにグループチャットを始めたのですが、オンライン会議も開くようになりました。(うちはカミさんが参加です。50人くらい集まっているとのこと)

タクシービジネスを始めた頃からオペレーター間での情報共有があればいいのにとは感じていたのでこういったことは「災い転じて」でよいことです。

オペレーター間の情報共有

いろいろな話題がでたようですが、いくつかあげると、まず「バウンダリー問題」です。タクシーの殆どはドライバーがオペレーターにバウンダリーを支払うというシステムをとっています。ドライバーは一日の売上からバウンダリーなどをオペレーターに支払い、ガソリン代を払った残りが自分の収入になります。

GCQが始まる直前はガソリン代とドライバー自身の収入を差し引くとバウンダリーを満額払えない状況になりました。オペレーターによっては全額支払えないのであれば運行させないというケースもありました。その場合、ドライバーは無収入になります。(うちはドライバーの生活を第一と考えバウンダリーは減額しました。)

今後GCQになってもしばらくはその時と同じような状況になるでしょう。日本でもタクシー業界は景気の影響を大きく受けます。タクシー利用はかなり抑えられる状況が続くでしょう。バウンダリーの額は、当面減額せざるをえません。

そこであるオペレーターからバウンダリーの取り扱いについて情報共有しようという提案があったのです。

問題ドライバーの情報共有

これは新型コロナとは直接関係はないのですが「問題ドライバーに関する情報共有」の話題もでたとのこと。

これは以前お話しましたが事業をはじめて最初の頃に役所の前で売り込みにきたドライバーを雇って痛い目にあった経験から、オペレーター間の情報共有の必要性を感じていました。ドライバーを採用するにあたっては犯罪歴は確認するものの現状では問題行動を起こしてクビになっても本人が黙っていればわかりません、

外国人や旅行者に対してボッタクリをするドライバーも減るといいのですが。(ただし、オーナードライバー(個人タクシー)の場合はどうしようもありません)

今後の課題

とりあえずGCQにおける営業許可がおり順次運行を開始できますがまだ人の数は少なくどれだけ売上があるかは未知数です。ドライバーも感染が怖いというのが正直なところで経済的に問題がなければできれば運転を避けたいところでしょう。

まだまだ課題は山積みです。

欧米と比べアジアの感染者、死亡者数が少ない理由は依然不明ですがフィリピンは今後感染者が増えても再びECQに戻ることは経済的に難しいでしょう。

今後はソーシャルディスタンスなど感染対策をとりつつ特に重症化する恐れの高い基礎疾患を抱えている方や高齢者のリスクを可能な限り抑え、インフルエンザのようにウィルスと共存していくしかないと思われます。

個人的には本来なら今年は新規事業の準備に入ろうと思っていたところですが、当面は今の事業だけで手一杯で、他に手を広げる余裕はありません。新規事業については計画を練り直して投稿したいと思います。

風邪に加えて精神的にもいまひとつで、運行の再開に関してもカミさんに任せっきりです。今日のところはこんなところで、みなさまもお元気で。

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セブ(フィリピン)での新しい事業に向けて

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