マニラ首都圏が再びECQ・MECQロックダウンへ
2021年3月29日から4月4日まで、マニラ首都圏及び、ブラカン州、カビテ州、ラグナ州、リサール州が「強化されたコミュニティ隔離措置」(ECQ)となり、その後、4月5日から4月11日まで1週間延長されました。
さらに4月12日から4月30日まで「修正を加えた、強化されたコミュニティ隔離措置」(MRCQ)となっています。
今回のECQは、次のようなガイドラインで実施されました。
- 午後6時から午前5時までの夜間外出禁止
- 公共交通機関は、プロトコールに従った容量での運行
- 移動は、許可された者に限定
- 大人数の集会(屋外での10人以上の集会、屋内での近親者以外との集会)は禁止
- 食品店、薬局等重要とされる店舗に限りモールは操業可
- 飲食店は店内飲食禁止、テイクアウトと配達のみ可
- 18歳未満および65歳以上、妊娠中の女性などは、原則として外出は許可されない
MECQになり、夜間の外出制限は20時〜朝5時までと緩和されましたが、一部地域を除き、引き続き飲食店内での飲食禁止、映画館やカラオケ、美容院やジムなどの営業禁止は続いています。
※特定のコミュニティ隔離措置のレベルに指定された地域であっても、市、バランガイ、更に限定された地域等の範囲でより厳しい隔離措置が課される場合もあります。
厳しい状況が続きます。
ただ、前回のECQに比べると緩やかな規制となっています。経済を止める事はできないというところから、苦渋の措置であることが伺えます。
セブ市では、MGCQにも関わらず、いまだに検疫パスが必要のようです(うちはビジネスの証明書をもっているので、ビジネス関係はそちらを使用しています)。
しかし、「解除を忘れているのでは?」という気がするほど、実際には検問もチェックも行われている様子はありません。(もっとも、感染者が増大傾向にある場合など、現行の検疫レベルのままで、突然検問を行う可能性があるということですから、注意が必要です)
また、リカーバン(店内でのアルコール類提供禁止)も継続中。子供は学校の対面授業も外出も禁止です。(バランガイ内や、車で移動する分には厳しく取り締まられることはありません)
経済的に、マニラ首都圏の影響はフィリピン全土に及びます。まだまだ明るい見通しはたっていません。
タクシーに関するニュース
ドライバーが心臓発作
フェイスブックで以下のような動画が投稿されました。https://www.facebook.com/shentom02/videos/10220363276694098/
セブのタクシードライバーが心臓発作となり、救急隊が蘇生措置を行ったものの、そのドライバーは死亡したとのこと。
偶然通りかかったジャーナリスト(と思われる)が、フェイスブックでライブ中継し、その動画が現在も閲覧できます。
場所は、私の家からそう遠くない、前回「アヤラへ散歩」の動画でも紹介した会員制ショッピングセンター「ランダース」の前の道路です。
フィリピン人は高血圧、糖尿病など基礎疾患を持っている人が多くいます。
私のところでも、サブドライバーがアヤラモール付近で心臓発作を起こしたことがあります。このときは、本人に意識もあり、大事には至らなかったのでよかったのですが。
このタクシー会社では「ラッキングバウンダリー」を認めておらず、ドライバーは稼がなくては仕事を失うので、プレッシャーも大きく、無理をしたのではないか、という話もあります。
オペレーターとして、「ドライバーの健康・安全」を考えさせられました。
3月の状況
収入は依然として厳しい状態です。
単純な収支は黒字ですが、車両更新のための積立金を考慮するとマイナス状態が続きます。ニューノーマルになるまでは我慢するしかないと思っています。
主な車両の維持修繕(支出)
大きい会社ですと、自前で修理工場を持っていたり、メカニックを雇っているオペレーターもいますが、私のような小規模オペレーターの場合は修理工場に頼むことになります。
メンテナンス・修理代は価格と質は必ずしも比例しません。「安かろう悪かろう」もありますし、「高かろう悪かろう」というケースもあります。
6年間やってきて、ある程度は安くて、なおかつ高い技術を持った業者をみつけられたのではないかとは思っています。
3月の車両維持修繕費計 45,847ペソ
No1 5,639ペソ
内訳 イグニションコイル(1,200)工賃(500)、スパークプラグ(880)工賃(350)、1L Helix(200)、ブレーキパッド(480)、カーブクリーナー(120)ほか、工賃(500)
No2 4,659ペソ
内訳 ショックマウンティング交換(1,000)、ブレーキシートカバー2セット(850)(工賃350)
No3 1,314ペソ
内訳 オイル交換のみ
No4 1,994ペソ
内訳 オイル交換ほか
No5 5,064ペソ
内訳 バッテリー(3,500)、その他(250)
No6 9064 10,559ペソ
内訳 ブレーキパッドとバルブ(520)工賃(500)、ウォーターwaterpump assemble(2,800)工賃(1,000)、エアコンクリーニング(2,500)コンプレッサーオイル(250)エアコンブロワー(1,400)
No7 2,204ペソ
内訳 ヘッドライトバルブ2PCS (390)工賃ほか(500)
No8 1,354ペソ
内訳 バルブ(40)
No9 4,896 ペソ
内訳 エアコンクリーニング(2,500)、コンプレッサーオイル(250)、ほか
No10 1,314ペソ
内訳 オイル交換のみ
No11 6,850ペソ
内訳 ステッカー(300)、シートカバー(4,500)、プラスティックマッティング(1,600)、エアコンガス充填(450)※新規走行準備、下記参照
エアコンクリーニング
各車2,500ペソ 明細はクリーニングとなっていますが、冷気が出なくなってからの依頼で、ガスの補充も含まれています。
オイル交換
各車1,290ペソ(10台の合計12,900ペソ)、内訳は オイル(カストロール)・フィルター(1台990ペソ)、(工賃1台300ペソ)、今月はキャブレタークリーニングも行っています。
オイル交換はだいたい月一回、全車両同日に行います。オイルとオイルフィルターは当方で購入して持ち込み、作業のみ依頼しています。それに合わせて事前にドライバーに気になる点を申し出てもらい、点検してもらうようにしており、定期点検を兼ねています。
フィリピンでは修理にあたっては、部品を持ち込んで修理を依頼することがよくあります。
タイヤ交換
予備購入 10個 12,500ペソ(いつも利用しているショップから10個購入のディスカウントセールの連絡をもらい購入)
新規走行準備
中古で購入した車両ですが、ステッカーの表示に一部欠落及び不備があり、貼り直しました。ステッカーは役所(LTFRB)指定の業者でないと認められず、セブ市には2箇所しかありません。
また、座席のシートカバーがなかったため、購入。シートカバーをつけて定期的に洗濯しないと、どうしても不衛生になります。
あとはプラスティックマッティングですが、これは座席の下にビニールシートでカバーするものです。フィリピンは、突然の大雨が多く、雨を防ぐためと、土や砂、泥なども車内に入りやすく、それらを清掃、除去しやすくします。座席をすべて一旦取り外して設置します。以前はもっと安い業者に頼んだこともあるのですが、やはり、業者によって技量に差があり、値段は高いのですが、今の業者に決めています。
主な手続き費用(支出)
- LTFRB フランチャイズ更新(Anual Inspection)(200)、ステンシル(Stencils chassis &engin)(300)
- 保険(Insurance SCCI)(3,840)
- 名義変更 COD document LCB fee(200)
- 名義変更 Notarise of fead of sale(500)
- アニュアルレポート等(40,229) ブックキーパーに頼んでいます
- Micab(マイカブ)(2,700) 義務付けられている配車アプリ費用(10台分)
あとは、登録更新が15,949.5ペソ(協同組合加入の車両のため、手続きは協同組合が行うため、他の車両より高い) ナンバーの末尾に応じて毎年更新事務があります。これが、後に問題となります。(別項「組合職員が手数料を私的利用」参照)
収入
2月のバウンダリー収入は、2019年の月額平均の76%と厳しい状況です。(なお、2019年は今年より1台少ない)
これば、バウンダリーの額を減額していることと、「ラッキングバウンダリー」(ドライバーが規定の料金を支払えない)によるもの。
この問題は、最後の項目「ラッキングバウンダリー問題」でふれたいと思います。
主な出来事
フランチャイズ購入
フランチャイズを売りたいという話
これまでに、フランチャイズを売りたいという話がいくつかありました。コンソリデーション(フランチャイズ統合)手続きによって、10台に満たないフランチャイズオーナーはコーポレーション(共同組合)をつくらなければならず、いっそのこと手放そうというオーナーもでてきたのだと思います。
今回の案件は1台分で、コーポレーション手続きをしていないもの。
フランチャイズの更新手続きは、以前は7年ごとだったのですが毎年に変更になり、このままだと更新することができず失効してしまうことになります。
購入を検討
車両は2017年モデルで、2018年から走り始めており約17万キロ走行。これまで、車両付きのフランチャイズは修理費がかかり、購入費の割に合わないことがあったので避けてきたのですが、フランチャイズだけだと車両購入費に80万ペソ、ローンが組めたとしても頭金に30万ペソが必要となります。
そのローンも、前回お話したように審査が厳しくなっており、今、申し込んでいるカーローンは未だに保留中です。
さらに、名義変更及び新車への更新手続きは、これまでの例では3ヶ月以上かかります。ただでさえ厳しい状況で、ドライバーはその間、無収入になってしまします。
また、今回は特にコンソリデーションが終わって初めての名義変更ということで、前例がなく(コンソリデーション後に新規の名義変更をしたという事例を聞いたことがない)、手続きで何が起こるか分からない不安があります。(役所の方針変更には、これまでも振り回されてきました)
もちろん役所の職員には確認したのですが、上部組織やトップの一言で変わったり、そもそも職員がしっかりとルールや法・規則改正の内容を把握していないということもあるため、鵜呑みにはできません。
収入が減っている状況で、「節約し少しでも蓄える」か、「台数を増やし、少しでも収入をあげるか」といったことを比較し、帳簿と通帳とにらめっこして、「再びロックダウン」になる可能性や「ワクチン接種」などの今後の見通しなどを考慮し、購入を決断。
費用は、コンソリデーション以前のフランチャイズのみの相場(50~60万ペソ)とほぼ同じですが、「車両付きですぐに稼働できる」というメリットは有り難い。
支払い方法を交渉
しかし、手続きのリスクが懸念されることと、これまでの経験で、手続きが完了していない時点で、相手方に全額渡してしまうと、その後、手続きの協力に消極的になるケースがあることから、名義変更完了後の支払いを提案したのですが、拒否されました。(以前は売り手市場だたので、そのような提案をできる状況ではありませんでした)
しかし10日ほどすると、先方から連絡があり、「半々でどうか」との提案。
恐らく、その間、他をあたったものの買い手がなかったのでしょう。今は大規模オペレーターも多くの車両を運休させていると聞きますし、、フランチャイズを購入しようとする状況ではないと思われます。
その後、エージェントのオフィスで実際に会うと、「残金の半額は1週間後の期日指定で払ってほしい」とのこと。
理由は、「1週間もあれば手続きは完了するから」とのことですが、これまでの経験から、ありえないことです。「なんだか怪しい」とも感じ、「もういい」と席を立つとうとしたのですが、結局相手の方が折れて、話を進めることに。
(結局一ヶ月たっても手続きは完了していません。相手の言うことを鵜呑みしてはいけないです)
後から聞くと、このオーナーさんはバー・レストランのような飲食店も経営しており、経営も厳しいことからタクシーを手放したとのこと。「早く全額受け取りたいという事情」があったことが分かりました。
コロナのせいです。厳しいですね。
組合職員が手数料を私的利用
私が所有している車両のうち1台は、協同組合所有のタクシーです。
フランチャイズの所有権は組合にあり、車両の手続きは組合が行います。
強制保険の支払いと、更新手続きのために約15,000ペソを支払ったのですが、その職員が事故に遭って、他のオペレーターの分も含め、入院費に当ててしまったとのこと。
そもそも、3年ほど前にも職員が持ち逃げして大ごとになったことがあります。
チェアマンから電話があったのですが、いくらコロナの状況だからといって、電話一本で済まされる問題ではありません。
翌日に訪れることにしました。
事情を聞くと、バスと接触して腕を骨折し、費用は10万ペソ以上かかったが、本来ならバス会社に保証してもらえるところ、当人が飲酒運転だったとのことで難しいよう。少しは同情していたのですが、その余地なしです。
マネジメントとしての問題点は、小切手の宛名を職員にして渡していたことです。例えば保険料の支払いであれば、宛名を保険会社名にすれば、職員が現金を手にすることはできません。
少額でしたらまだしも、大きな額でこのような、基本ともいえる問題のある対応をとっていたというのは信じがたいところです。(しかも、数年前に職員の持ち逃げ事件があったにも関わらず)
チェアマンは実は今年着任したばかりとのことで、話を聞く限りでは、今後は、二度とこのようなことが起きないようにするとのことで、誠意はみえました。
結局、最初の話では、すでに渡した約15,000ペソを再度支払うのかと思ったのですが、出向いたためか、再考したのか分かりませんが、強制保険料のみの4,000ペソということに。
無保険及び未手続きということで、ドライバーには運転もストップしてもらっていたので、早く再開させたいこともあり、「再発防止」、「後日返還」を確約して支払いました。
ラッキングバウンダリー問題
先日、ドライバーのひとりが体調が思わしくなく、しばらく休むことになりました。
その間、サブドライバーところが、引き継ぐことになったのですが、車両にガソリンが入っておらず、入れることに。
ところが、2人体制のユニットでないと、ドライバーは毎日ガソリンを満タンにしないこともままあります。
結局27リッターで1,500ペソ以上、ガソリン単価は58.24ペソ(約130円)にもなりました。
ただでさえ、CQ(コミュニティ隔離措置)の影響で乗客が少ないところに、このガソリンの高騰、「ふんだりけったり」、「弱り目にたたり目」、「泣きっ面に蜂」です。
この影響で、2月以降、ラッキングバウンダリー問題(ドライバーが支払う車両使用料金が支払えない)が生じています。
オペレーターによっては、ラッキングバウンダリーを認めず、運休させるケースもあるとのこと。
たしかに、走らせると維持費はかかるし、耐用年数は減ります。走行キロあたりのバウンダリーが一定額以下になるようなら、休ませたほうがいいという判断にもなるのでしょう。
とはいえ、そうなるとドライバーは無収入です。
以前のタクシービジネスに関する投稿で、タクシービジネスは「一にドライバー、二にメカニック、それらをひっくるめてマネジメント」とお話しました。
振り返ると「グッドドライバー」を集めるのに5年はかかったといえます。特に私のところのような小さいオペレーターにとって一番大事なのは何をおいても優良ドライバーの確保です。(やはり同じ条件ならドライバーは大規模オペレーターで働きたいと思うでしょう)
先ほどお話した、共同組合の車両を一時ストップさせるために、カミさんがドライバーに電話したところ、(彼もラッキングバウンダリーがあって)「クビにされる話かと思って、ビクビクして出た」とのこと。恐らくドライバー同士でも、そういった他社のケースなどの情報を得ているのでしょう。
中にはざっくばらんに「バウンダリーを更に減額してほしい」と申し出てきたドライバーもいたそうです。
しかし、もうすでに、採算ラインでは限界の額です(だから、運休しているオペレーターもいるので)。
また、ドライバーによって稼ぎには差があること。「払えなければ減らす」ということを繰り返すと、「払わなければ減るんだ」という意識につながりかねないこと。浮いた分を生活費以外に使ったりする可能性もなくはありません。
これらを考えて、減額はせず、不足分はニューノーマル以降に返還することとし、その代わりに現物で米を支給することとしました。
それでも、その分浮かせれば同じではあるのですが、あくまで「ドライバーの生活を守る」趣旨」で、それは、奥さんに向けてのメッセージにもなるためです。(バウンダリーをできるだけ払おうとするドライバーほど生活費分の取り分を削るので、奥さんの不満にも繋がります)
あらためて、「ガソリン代と生活費は最優先に確保」した上で、「ラッキングバウンダリーの返還はニューノーマル以降」ということを周知しました。
今後、状況がどうなるかは分かりません。あとは、またその都度、臨機応変に対応するしかないかと思っています。
(参考)
フィリピンのガソリン価格の推移 Tradingeconomics.com
日本のガソリン価格 都道府県平均 ガソリン価格ランキング [ レギュラー ]
おわりに
もうすぐ、5月です。
ワクチン接種と変異株(または変異種)、そして治療薬が今後の情勢の鍵を握っているわけですが、まだ、はっきりとした見通しは立っていません。
もう、毎回、頑張りましょうという話の繰り返しで、無限地獄のようですが、しかたがないですね。
第二次世界大戦は6年間続いたそうですが、今の状況も戦争に巻き込まれたと思えば、命を取られる心配は今のところ少ない(第二次世界大戦の犠牲者は5,000万から8,000万人、コロナによる死亡者数は現在300万人とのこと)ので、我慢です。(あまり、いい比較ではありませんが…)