はじめに
今年のクリスマスシーズンは昨年、一昨年と比べると日常では行動制限も解除され、パンデミック以前の暮らしが戻って来ました。
市街地の活気も以前のようです。そこで、犯罪などの増加も懸念されるところです。
クリスマスや年末年始を控え、邦人の犯罪被害が多くなっているとのことで、在フィリピン日本大使館から、年末年始にマニラ首都圏への渡航・滞在を予定されている方に、最近の邦人の犯罪被害の傾向と注意点等が示されました。
今回は、この通知の概要と私のコメントを述べたいと思います。以下の通知は文意を損ねない範囲で簡略化、箇条書きにしています。また、私のコメントは→の後に記しています。
安全対策情報
「【安全対策情報】年末年始にマニラ首都圏への渡航・滞在を予定されている方へ(犯罪被害の傾向・注意喚起)」(在フィリピン日本大使館)
スリ、置き引き被害
【事例】
- 歩行中、子供たちや浮浪者に取り囲まれ、小銭等をせがまれて困惑しているうちにバッグやポケットから財布や携帯電話(スマホ)を抜き取られる。
- ショッピング・モールのエスカレーターの出口付近で、小銭やバッグ等を落とした人物とこれを拾おうとする人物等に行く手を阻まれ、前後にいる人々と密着する形でつまづいたその瞬間にバッグやポケットから貴重品を抜き取られる。「集団スリ」
- 飲食店等でのバッグ等の置き引き被害。
【注意点】
- 外出の際はできる限り必要最小限の現金等を持ち歩くようにする。
- 貴重品はバッグなどにまとめて収納せず分散して身につける。
- 特に一人歩きが狙われる傾向がある。
- 「歩きスマホ」をしない、見知らぬ人物から声をかけられても不用意に立ち止まらないといった行動を心がける。
- 恐怖を感じた場合は近くにいる第三者に大声で助けを求める。
- 買い物中又は散策中も、前後左右の人の動きにできる限り注意を払い、エスカレーターなどはできる限り利用しないようにする。
- バッグ類は、常に目に見える場所で確実に管理し、席を外す際には必ず持ち歩く。
- 最近、携帯電話(スマホ)の盗難被害報告が多くなっており、「家族や関係者の連絡先がわからない。」、「データ化してあった書類が見られない」ことが生じる。スマホを紛失した場合、あるいは盗難に遭った場合を常に想定し、必要なバックアップ対策を講じておく。
→セブに来て、まず教わったのは、バッグは背負わず前に抱えること。バイクに乗っていたときに、実際に交差点で女性のナップザックに手を突っ込んで盗み逃げた子供を見たことがあります。
→現金はできるだけ少なく。どうしても大きな額を持ち歩く場合はトラベルポーチを利用する。
→エスカレーターは乗らないことは難しいので、乗る前に後ろを確認するなど。(エスカレーターに限らず、繁華街やモールなどでは後ろを気にする)
→ATMで現金を引き出していて、機械の調子が悪く、紙幣がでないなどトラブルで困っていると、助けるふりをしてカードをスキミングする手口がウェブニュースで注意喚起されています。
→私はファッストフードですぐ脇に置いていたバッグから盗まれました。一人で友人を待っていて、携帯メールをいじっていた時です。ひとつのことに集中するとすぐそばで起きていることにも気が付かない。以来、カフェなどでも一人のときは必ず、バッグは目の前に置くか抱えている。
→直接の窃盗ではないですが、タクシーなどに置き忘れて盗まれるケースもあります。うちのタクシーでも今まで何度もiPhoneやスマホの起き忘れがありました。意外に多いのでご注意を。
睡眠薬(昏睡)強盗被害
特にマニラ首都圏での滞在者、特に若い旅行者からの被害報告があとを絶たない。
【事例】
- 犯人(年輩の女性であることが多い)が狙いをつけたターゲットの旅行者(被害者)に近づき、同行を促し、その移動中又は移動先の飲食店等において、即効性のある睡眠薬(向精神薬)等を混入させた飲食物を勧め、被害者を眠らせて金品を強奪する。
- 精神安定剤(向精神薬)の一種である「Ativan(アティバン)」を用いることが多い。
- 観光地(マニラ旧市街:イントラムロス)やマニラ市内のリサール公園付近を散策中、見知らぬ人物から、「道を教えて欲しい」、「日本人? 日本にいる親類のことで相談があるんだけど」、「私たちも旅行者なんだけど、一緒に○○に行かない?」、などと声をかけられ、徒歩、タクシー等で移動した先で被害にあう。
- (その後)飲食店で提供された飲食物を口にして意識を失った。気がつくとホテルの自室で寝ており、ポケットの財布と携帯電話がなくなっていた。ホテルの従業員に聞いても、誰が送ってきたかはわからないと言われた。
- (その後)タクシーに乗ったが、どこにいるかわからなくなり、また友達と称する女性が2人便乗してきて、自分を取り囲んだ。その車内で渡されたスナック(あるいは果物、ビール等)を口にしたあとの記憶がない。気づくと路上で寝ており、旅券や財布等が入ったバッグがなくなっていた。
【注意点】
- 被害者の多くは「年輩(高齢の)裕福そうな女性だったのでつい気を許した」、「とても人を騙すような人物には見えなかった」、また一様に、「事例は承知していたが、まさか自分が巻き込まれているとは思わなかった」、「一度行動を共にしてしまうと何かを断るのは難しい。」、「どこにいるかもわからず、また自分だけ食べない(飲まない)というわけにはいかなかった。」などと述べている。かなり巧みに被害者の心理を突いてくる。
- 見知らぬ人物から誘われても、簡単に同行したり提供を受けた飲み物、食べ物に口をつけたりしない。
→実際に、セブのマンゴーストリートのクラブで、日本人の知人がそこで知り合ったフィリピン人と意気投合した後、記憶がなくなり気がついたらホテルだったそう。
→これも一人だと狙われやすい。
各種強盗被害
- フィリピン警察当局は、強盗被害が増加傾向にあるとして注意を呼びかけています。特に銃器(凶器)を使用した犯罪には十分な注意と警戒が必要です。
【事例】
- 夜間、パサイ市内の路上で、外国人旅行者が2人組の強盗に襲われ、抵抗した結果、銃で撃たれて殺害された。
- バイクに乗った2人組からひったくり被害に遭い、手をかけていたバッグごと引きずられて負傷した。
- 専用アプリで「Grabタクシー」を利用する方が増えていますが、利用者の「安心感」に乗じてGrabをかたり、乗車させた乗客から金品を奪い取ろうとする流しの運転手がいるとの報告を受けている。
- マニラ市旧市街地域を散策中、声をかけられて馬車に乗ったところ、人気のない路地に連れ込まれ、金を出せと脅された。
【注意点】
- 常に狙われているという危機意識を持ち、単独での深夜・早朝時間帯の外出は避けてください。
- 強盗に遭ったら絶対に抵抗せず、身の安全確保を最優先してください。
- 上記1の注意内容と同様に外出の際は、貴重品はバッグなどにまとめて収納せずできるだけ分散して身につける、必要最小限の現金のみを持ち歩くようにする(財布を複数用意し、持ち歩き用のものを分ける)。
- 歩行中は後方から来るバイクや自転車等に警戒する。
- タクシーを利用する場合は、「Grab」か否かを問わず、どんなに急いでいても、車番等は乗車前に必ず確認する。また単独での馬車の利用は避ける。
→強盗には抵抗しない。私は普段はカード類は持ち歩かないようにしているが、持ち歩く場合は、カードやID類は財布とは別にする。さらに大きな金額を持ち歩く場合は、相手に与えてもよい財布に一定額を入れている。
→バイクで二人組は要注意、後方から狙われないように、バッグは肩掛けでは持たず、しっかり背負うか。たすき掛けにし、なるべく対向車側を歩くようにしている(日本では、歩行者は右側通行、自転車や自動車は左側通行することが基本ルールですが、フィリピンでそういった交通ルールが定められているかは不明)。(「日本の基本的な交通ルールを教えてください」(警視庁))
その他
【事例】
- 特にマニラ首都圏では、日本人を含む外国人男性を狙った買春絡みの恐喝、いわゆる美人局(つつもたせ)が多く発生している。
- ショッピング・モールで若い女性に声をかけられ、同行した結果、金を出せと脅され、強く拒否したところ男性が現れて(あるいは同行した結果、レストランに誘われ、支払時にクレジット・カードの利用を促され、後日、そのカードの不正利用が発覚する)といった例。
- 多くの場合、声をかけてくる若い女性について行かなければ未然に防ぐことができるが、最近ではマッチング・アプリで待ち合わせた女性とのトラブルに関する報告も増えている。
- 買春は違法行為であり、状況によっては最高で終身刑が科される重大犯罪となる。特に18歳未満の未成年者に対するわいせつ行為等は、たとえ双方合意の下であっても、終身刑等の重刑が科される例もある。
【注意点】
- 遵法意識を強く持ち、見知らぬ人物の誘いには軽々に乗らない。
- マッチング・アプリの利用にはリスクが伴うので、十分留意する。
→クリスマスシーズンから年末年始は偽札も多く出回る時期なので注意する。
→事例のケース(売春)はこれまでの日本人が被害者となるケースと異なり、犯罪者として逮捕される可能性があります。外国人が逮捕されると、当然勾留機関は帰国できません、法外な保釈金が要求されるということもあるようです。十分ご注意を。
→今回の大使館の注意喚起では触れられていないが、フィリピンでは児童誘拐(kidnap)が多く発生しているとのこと。日本でさえ9歳以下の子どもが年間1,000人以上行方不明だそう。子どもに限らず、若い人などが誘拐され、臓器売買されるというのも都市伝説などではなく、実際に起きている(健康な若者や子どもが対象になる)。ベビーシッターが犯罪に関わるケースもあるそうなので、身元のはっきりした人物を雇うとともに、子どもの幼稚園や学校への送り迎えには十分に注意する必要がある。さらにテロや身代金要求の誘拐も同様で年末年始に関係なく十分注意が必要。
※「年1000人超の子どもが行方不明!日本の驚く現実『ミッシングチルドレン』親たちの苦悩」(東洋経済オンライン 2022.01.06)
「【ザ・フィリピン】ベビーシッターが子供を誘拐|人身売買のエージェントか?」(モトボサツ勝手にブログセブ島編vol2 2019.11.15)
「フィリピンで誘拐され臓器を抜かれる事件が起きている」(プリンスエドワードのブログ 2018.12.01)
「人身取引で子どもの臓器が売買されている実態と海外や日本の支援、わたしたちにできること」( gooddo マガジン 2019.4.25 更新2022.09.02)
<大使館からの案内>
犯罪被害例や防犯対策等、詳しくは「安全対策基礎データ(下記URL)」にも記載されていますので、併せ御参照ください。
安全対策基礎データ:https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_013.html
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