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中央ビサヤ(セブを含む)とマニラ首都圏及び中部ルソン地域の最低賃金はいくら?

目次

はじめに

中部ルソン地方(Central Luzon:Region III)最低賃金改定が2025年10月14日に報じられました。1

一方、セブが含まれる中央ビサヤ地方(Central VisayasRegion VII)は10月4日から引き上げられています。23

中央ビサヤの最低賃金の主なポイントは以下のとおりです。

  • 対象者は民間部門の従業員や家事労働者。
  • 最低賃金を所管する「the Regional Tripartite Wages and Productivity Board(地域三者賃金生産性委員会:RTWPB-7)が発表した。
  • 「民間事業所の賃金命令(Private Establishment Wage Order) No. ROVII-26」及び「家事労働者賃金命令(Domestic Worker Wage Order) No. ROVII-DW-05)」のふたつの賃金命令(Wage Ordersは、どちらも2025年9月11日に発行され、10月4日から発効する。
  • この賃金命令(第1条(Section1))により、地域における民間部門の最低賃金労働者は、居住地に応じて1日あたり37ペソから47ペソの昇給を受けることになる。
  • セブシティ、マンダウエ、ラプラプ、タリサイ、ナガ、ダナオなどのクラスA地域の労働者の最低賃金(日給)は501ペソから540ペソに引き上げられる。
  • 一方、ボホール、ネグロス・オリエンタル、メトロセブ以外の他の市や自治体を含むクラスB地域の従業員は、地域の以前の分類に応じて453ペソまたは463ペソから500ペソに引き上げられる。
  • 同地域の賃金分類は3つから2つに簡素化され、現在の社会経済状況との整合性を保つために、以前のクラスBとクラスCの地域が単一のクラスBカテゴリーに統合される。
  • 労働団体は、1日当たり1,200〜1,500ペソの賃金を要求したが、委員会は失業のリスクを冒さずに貧困を減らすために、より控えめな調整を選択した。

なお、当命令は以下の当該地域の状況等が考慮されたうえ、決定されています。

  • 当該地域の消費者物価指数(CPI)は、2024年10月には120.7であったが、2025年8月には123.9に上昇する。
  • 2024年10月2日の前回の賃上げ発効日から2025年8月までの当該地域の平均インフレ率2.0%である。
  • 賃上げ発効時のペソの購買力は、2024年10月には0.83ペソであったが、2025年8月には0.78ペソに低下している。
  • フィリピン統計局が提供する最新データによると、2023年の当該地域における5人家族の貧困ライン473フペソである。この地域における3つの最低賃金のうち2つは、2023年の貧困ラインを下回っていた。
  • 今回の調整は正規の仕事に就いているにもかかわらず、貧困線以下の生活を続けている労働者である「就労貧困層」の窮状を考慮したものである。
  • 中央ビサヤ地方の2018年物価基準における域内総生産(GDP)成長率は、2023年から2024年にかけて7.3%増加した。
  • 中央ビサヤ地方における2022年から2023年の労働生産性成長率は4.3%だった。ただし、ネグロス島地域(NIR)の創設に伴い、一部の地域がリージョンVIIから移行されたため、2023年から2024年の中央ビサヤ地方の成長率は算出できない。

家事労働者の最低賃金については以下のとおりです。

  • 現行の賃金命令番号 RO VII-DW-04は、2024年5月11日に発効した。
  • RTWPB-7は家事労働者、いわゆる「カサンバハイ(Kasambahay)」の最低賃金を1,000ペソから2,000ペソ引き上げることを承認した。
  • 中央ビサヤ地方のすべての家事労働者は、認可都市、第一級自治体、またはその他の地域を問わず、一律月額7,000ペソの最低賃金を受け取ることになる。
  • これは、認可都市および第一級自治体に対する以前の料金 6,000 ペソ、その他の自治体に対する以前の料金 5,000 ペソに代わるものである。
  • 対象となる家事労働者には、住み込みか住み込み外で働くかを問わず、一般家事手伝い、家政婦、料理人、庭師、洗濯係が含まれる。
  • この命令は、サービス提供者、家族経営の運転手、または時折または散発的に仕事を行う個人には適用されない。
  • 賃金支払の免除は認められず、少なくとも月に1回は現金で支払わなければならない。
  • この調整は、雇用主の支払い能力のバランスを取りながら、家事労働者の福祉を向上させることを目的としている

罰則実施に当たっての留意点は以下のとおりです。

  • 両賃金命令は2025年10月4日に発効する。遵守しない雇用主は、民間部門労働者については「賃金合理化法(共和国法第6727号)4」、家事労働者については「バタス・カサンバハイ(共和国法第10361号)5」に基づき罰せられる可能性がある。
  • 労働雇用省(DOLE)中央ビサヤ支部は、雇用主に対し、それに応じて給与計算を調整し、新しい賃金表を職場に掲示するよう注意を促した。
  • RTWPB-7は労働者に対し、DOLEの地方事務所またはオンラインホットラインを通じて不遵守を報告するよう奨励した。

なお、9月30日に起きたセブ島北部地震で被災した企業や事業所は免除申請を行うことができるという通達がありました。6

では、中央ビサヤ(セブを含む)の状況を中心に、マニラ首都圏等と比較するなどして、最低賃金の状況を見てみたいと思います。

マニラ首都圏の非農業の最低賃金は695ペソ(1,810円)で、セブは540ペソ(1,406円)です。

日本も比較的大幅な最低賃金の引き上げが行われ2025年から1,226円となっており、日給に換算すると約9,800円くらいです。

ちなみに、10年前の2015年の東京都の最低賃金は907円でした7。日給に換算すると7,200円程度になります。一方、セブは日給で353ペソ8(当時のレート(1ペソ2.64円)で931円)でした。

人手不足の日本と異なり、失業率も高いフィリピンですが、インフレに応じて賃金水準も比較的順調に伸びているといえます。

昔はフィリピンの人件費は日本の10分の1くらいの時期もあったようですが、その差はだんだん縮まっています。

ただ、最低賃金が守られなかったり、未払いや遅延が生じている事例もあり、行政による指導が行われています。9

※参照「DAILY MINIMUM WAGE RATES(日給最低賃金)」(DOLE:フィリピン労働雇用省)

※特に明記がない限り2025年10月20日現在の最低賃金です。

※当記事でペソとあるのはフィリピンペソのこと。また、特段表記のない金額はフィリピンペソです。
※現在の円の為替レート1円が0.3840ペソで1ペソ、2.6037のレートで円に換算しています。(2025年10月18日現在)

中央ビサヤ(CENTRAL VISAYAS)

対象自治体

市(CITIES)(16市)町等(PROVINCES
バイス
(BAIS)※1
ボゴ
(BOGO)
カルカル
(CARCAR)
ドゥマゲテ
(DUMAGUETE)※1
ギフルンガン
(GUIHULNGAN)※1
マンダウエ
(MANDAUE)
タグビララン
(TAGBILARAN)
タンジェイ
(TANJAY)※1
バヤワン
(BAYAWAN)※1
カンラオン
(CANLAON)※1
セブ
(CEBU)
ダナオ
(DANAO)
ラプラプ市
(LAPU-LAPU)
ナガ
(NAGA)
タリセイ
(TALISAY)
トレド
(TOLEDO)
コンポステーラ
(COMPOSTELA)
コルドバ
(CORDOVA)
ミングラニラ
(MINGLANILLA)
コンソラシオン
(CONSOLACION)
リロアン
(LILOAN)
ネグロス オリエンタル プロヴィス
(NEGROS ORIENTAL PROVICE)
サン フェルナンドまたは拡張メトロ セブ
(SAN FERNANDO OR EXPANDED METRO CEBU)
* その他の自治体
(OTHER MUNICIPALITIES)

※フィリピンの行政区は、2024年6月13日、中央ビサヤ(Region VII)に属していた東ネグロス州およびシキホル州が、創設されたネグロス島地方(Negros Island Region:NIR)に移管されましたが最低賃金については従前のエリアである当該地域(Region VII)に含まれています。(※1は東ネグロスの市)(シキホール島はクラスBに該当)

最低賃金日額

地域 VII (中央ビサヤ)
賃金命令番号 ROVII-26
発効(Effective)日: 2025年10月4日

地理的領域現行の最低賃金増加額新しい最低賃金
クラスA
カルカル(Carcar)、セブ(Cebu)、ダナオ(Danao)、ラプラプ(Lapulapu)、マンダウエ(Mandaue)、ナガ(Naga)、タリサイ(Talisay)の各市(Cities)、およびコンポステーラ(Compostela)、コンソラシオン(Consolacion)、コルドバ(Cordova)、リロアン(Liloan)、ミングラニーラ(Minglanilla)、サンフェルナンド(San Fernando)、または拡張メトロ セブ(Expanded Metro Cebu)の各自治体(Municipalities)
50139540
クラスB
クラスAの対象外となるその他の市区町村
*46337500
** 45347

*バイス(Bais)、バヤワン(Bayawan)、ボゴ(Bogo)、カンラオン(Canlaon)、ドゥマゲテ(Dumaguete)、ギフルンガン(Guihulngan)、タグビリラン(Tagbiliran)、タンジャイ(Tanjay)、トレド(Toledo)各市(Cities)
** クラスAに該当しないその他の自治体

発行(Issued)日:2025年9月11日(2025年9月18日The Freeman Newspaper 紙に掲載)
更新日:2025年9月16日

家事労働者の最低賃金月額
第7地域(中央ビサヤ地方)
賃金命令番号 ROVII-DW 05 b
発効(Effective)日: 2025年10月4日

地域/場所現行の最低賃金増加額新しい最低賃金
中央ビサヤ地方*6,0001,0007,000
** 5,0002,000

*認可都市および第一級自治体
** その他の自治体

発行(Issued)日:2025年9月11日(2025年9月18日The Freeman Newspaper 紙に掲載)
更新日:2025年9月18日

<参考>2025年の中央ビサヤ

最低賃金日額

地域 VII (中央ビサヤ)
賃金命令番号 ROVII-25
発効(Effective)日: 2024年10月2日

地理的領域現行の最低賃金増加額新しい最低賃金
クラスA
カルカル(Carcar)、セブ(Cebu)、ダナオ(Danao)、ラプラプ(Lapulapu)、マンダウエ(Mandaue)、ナガ(Naga)、タリサイ(Talisay)の各市(Cities)、およびコンポステーラ(Compostela)、コンソラシオン(Consolacion)、コルドバ(Cordova)、リロアン(Liloan)、ミングラニーラ(Minglanilla)、サンフェルナンド(San Fernando)、または拡張メトロ セブ(Expanded Metro Cebu)の各自治体(Municipalities)
46833501
農業および非農業で従業員10人未満の事業所45843
(33+10)
クラスB
クラスAの対象外となるその他の自治体(Municipalities)
バイス(Bais)、バヤワン(Bayawan)、ボゴ(Bogo)、カンラオン(Canlaon)、ドゥマゲテ(Dumaguete)、ギフルンガン(Guihulngan)、タグビリラン(Tagbiliran)、タンジャイ(Tanjay)、トレド(Toledo)各市(Cities)
43033463
農業および非農業で従業員10人未満の事業所42538.00
(33+5)
Class C
クラスA及びBの対象外となるその他の自治体(Municipalities)
42033453
農業および非農業で従業員10人未満の事業所41538
(33 +5)

家事労働者の最低賃金月額
第7地域(中央ビサヤ地方)
賃金命令番号 ROVII-DW-04
発効(Effective)日: 2024年5月11日

地域/場所現行の最低賃金増加額新しい最低賃金
認可都市(Chartered Cities)及び
第一級自治体(1st class municipalities)
5,5005006,000
その他の自治体
(Other municipalities)
4,5005005,000

<参考>マニラ首都圏(NATIONAL CAPITAL REGION (NCR) 

対象自治体(17市町)

市(CITIES
MUNICIPALITY
カルーカン
(CALOOCAN)
マニラ
(MANILA)
マラボン
(MALABON)
パラニャーケ
(PARAÑAQUE)
ケソン
(QUEZON)
バレンズエラ
(VALENZUELA)
ラス・ピニャス
(LAS PIÑAS)
マカティ
(MAKATI)
モンティンルパ
(MUNTINLUPA)
パサイ
(PASAY)
サンファン
(SAN JUAN)
マンダルヨン
(MANDALUYONG)
マリキナ
(MARIKINA)
ナボタス
(NAVOTAS)
パシグ
(PASIG)
タグイグ
(TAGUIG)
パテロス
(PATEROS)

最低賃金日額
賃金命令番号(Per Wage Order):NCR-26 
発効(Effective)日:2025年7月18日

分野/産業現在の最低賃金率増加額新しい最低賃金
非農業64550695
農業(プランテーションおよび
非プランテーション)
60850658
従業員数15人以下のサービス・小売店
常時雇用する労働者が 10 人未満の製造業

発行(Issued)日:2025年6月24日(2025年7月2日フィリピン・スター紙掲載)
更新日:2025年6月30日

家事労働者の最低賃金月額

発効(Effective)日: 2025年1月4日

現在の最低賃金率増加額新しい最低賃金
6,5005007,000

発行(Issued)日:2024年12月13日(2024年12月19日フィリピン・スター紙に掲載)
更新日:2024年12月19日

<参考>地域 III ルソン島中部(REGION III (Central Luzon) )

対象自治体(7州)

アンヘレス
カバナトゥアン
マロロス
オロンガポ
サンフェルナンド
サン ホセ デル モンテ
バランガ
ガパン
ムニョス
パラヤン
サンノゼ
タルラック
オーロラ
ブラカン
パンパンガ
サンバレス
バターン
ヌエバ エシハ
タルラック

最低賃金日額
賃金命令番号(Per Wage Order No):RBIII-26
(発効日: 2025年10月30日)

バターン(BATAAN)州、ブラカン(BULACAN)州、ヌエバ・デ・ラ・フロンテーラ州エシハ(NUEVA ECIJA)、パンパンガ(PAMPANGA)、タルラック(TARLAC)、サンバレス(ZAMBALES)

第1回目(1st Tranche)

セクター/業種現行の最低賃金
RBIII-25
増加額新しい最低賃金
非農業55020570
農業520540
小売・サービス業540560

第2回目(2nd Tranche)

セクター/業種第1回目(1st Tranche)
後の最低賃金
増加額新しい最低賃金
非農業57030600
農業540570
小売・サービス業560590

オーロラ(AURORA)州

第1回目(1st Tranche)

セクター/業種現行の最低賃金
RBIII-25
増加額新しい最低賃金
非農業50030530
農業485515
小売・サービス業43540475

第2回目(2nd Tranche)

セクター/業種第1回目(1st Tranche)
後の最低賃金
増加額新しい最低賃金
非農業53030560
農業515545
小売・サービス業47540515

発行(Issued)日:2025年9月16日(2025年10月14日マニラ・タイムズ紙に掲載)
更新日:2025年10月14日

家事労働者の最低賃金月額
REGION III (Central Luzon) a/ 地域III(中部ルソン) 全地域対象
賃金命令番号(Per Wage Order No):RBIII-DW-05
発効(Effective)日: 2025年10月30日

地域/場所現行の最低賃金増加額新しい最低賃金
Central Luzon6,0005006,500

発行(Issued)日:2025年9月16日(2025年10月14日マニラ・タイムス紙に掲載)
更新日:2025年10月14日

脚注

  1. 「「Central Luzon wage earners get P50-80 daily pay hike(中部ルソン地方の賃金労働者は1日あたり50~80ペソの昇給を受ける)」(INQUIRER.NET 2025.10.14)」 ↩︎
  2. Wage board official explains increase(賃金委員会の職員が賃金引き上げを説明)」 ↩︎
  3. New minimum wages in Central Visayas take effect Oct 4(中央ビサヤ地方の新最低賃金が10月4日に発効)」(CDN 2025/10/04) ↩︎
  4. R.A. 6727: Wage Rationalization Act(RA 6727: 賃金合理化法 共和国法第6727号)」 ↩︎
  5. R.A. 10361: Domestic Workers Act, Batas Kasambahay(RA 10361: 家事労働者法、バタス・カサンバハイ 共和国法第10361号)」 ↩︎
  6. Cebu quake-hit firms may seek wage exemption until December 2(セブ地震の被災企業は12月2日まで賃金免除を求めることができる)」(SunStar 2025.10.12) ↩︎
  7. 平成27年(2015)度地域別最低賃金額改定状況」(厚生労働省) ↩︎
  8. WAGE ORDER NO. ROVII-19↩︎
  9. Late or Nonpayment of Wages: Employee Remedies in the Philippines(賃金の遅延または未払い:フィリピンにおける従業員の救済措置)」(RESPICIO & CO. 2025.10.06) ↩︎

おわりに

最低賃金などを含むフィリピンの雇用・労働条件、労働法、また、過去からの最低賃金の推移やGDP、インフレ率などフィリピン経済全体については別途投稿したいと思います。

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