相変わらずスムーズに進まないフィリピンの結婚ビザ取得手続き
本当ならば今頃は日本にいる予定だったのですが今だセブです。
私は結婚ビザ(13A)を昨年度申請しました。1年間は仮結婚ビザで滞在し引き続きパーマネント(正式)に変更することになります。
何か問題を起こすことも無く無事1年間過ごし、めでたく取得できる運びとなりました。日本での配偶者等ビザに相当します。
日本の配偶者ビザだと一定期間滞在すると日本人の配偶者と離婚したり配偶者が死亡したりしても一定の条件を満たせば定住者として日本絵の滞在が引き続き認められるようですがフィリピンは離婚(正確には結婚無効の手続き)したり死別したら即権利を失い観光ビザ滞在になってしまいます。
カミさんとは仲良く、そして長生きしてもらわなくては。
さて私の仮ビザの有効期限は6月上旬でした。有効期限の3か月前からパーマネント(正式許可)に申請できるというので3月に申請したのですが一向に連絡が来ずに7月になってしまいました。
Iカードもイミグレーションに渡してしまっており、ビザが期限切れになることから不法滞在になってしまうのではと心配になって5月中に確認したら大丈夫とのことで待つことにしました。
しかし7月中旬になってもまだ音沙汰もなく再度確認すると「まだマニラで手続き中」とのことでした。父が入所しているサ高住から「内科の往診で貧血で精密検査が必要かもしれない。検査して入院ということになると親族の方の付き添いが必要になる」との連絡があり、「日本に戻りたいので『手続き中断』の申請をしたい」と言ったら「承認に3週間かかる」と、それならそのうちできるだろう、待っていた方がいいだろうと、待ち続けることにしました。
そしたら後日「手続きが全く進んでいなかったのであと3が月かかる。〇〇ペソで最優先で処理する」とマニラの移民局から電話がかかってきました。自分たちの不手際で事務が滞り、それを処理するのにさらに金銭を要求するとは。
今まで多くのアンダーザテーブル(賄賂・袖の下)支払う場面はありましたが、ドゥテルテ大統領になってずいぶん改善されてきているのと実感しているところに、今回は額も結構な額だったのでちょっと腹が立ちました。
しかし残念ながら今回は父のこともあるので屈することにしました。
そういうときは、日本人にとっては歴史の問題もありますし、そもそも外国人の立場は異国の地に住ませてもらっているだけで有難いと考えるようにしてます。
こういった収賄の問題はフィリピン人の中でも問題意識を持っている人は多くいます。しかし時々日本人のブログ等でフィリピン人を下に見るかのような表現での意見を目にすることがあります。
日本の常識や慣習、マナー、価値観はむしろ世界で通じないことの方が多くありそのことに不満があるのなら日本で暮らすのが一番です。わざわざ海外に出てストレスをためるのは馬鹿らしいですしあれこれ文句を言ってもフィリピンを日本の様に変えることは不可能ですし、それはお節介でもあり奢りでもあります。
もっとも異文化社会はお互いに尊重しつつ外国人から見た問題点や疑問点を話し合うことは必要だと思います。後はフィリピン人が自分自身で社会を変えていくのであればいいですし、そうでなくてもそれは仕方のないことです。
日本だってフィリピン人から見ればフィリピンよりはるかに豊かな国でありながらも家族や社会と隔絶し孤独死する人がいたり、仕事によって過労死をしたりうつ病などの精神疾患を患ったりする社会は理解できないと感じる人が多いかもしれません。まずはじっくり鏡で自分自身を見つめてみることも必要ではないかと思うときがあります。
賄賂には気をつけましょう
フィリピンでは役所の事務は待っていては忘れられていたり、後回しにされたりといつまでたっても出来上がらないということはままります。催促するのが鉄則ですが、そうすると待ってましたとばかり「何々に問題があって手続きが滞っている」などと言われ、「うまく処理するから」と言って賄賂(アンダーザテーブル)を要求されるということもあります。
「賄賂」というと「犯罪」という語感がしますが、「袖の下」というか「役人へのチップ」というかこういった習慣は現代のフィリピン社会でもグレーゾーンとして生きています。金額の程度も様々です。
一方、最近はこんな事件もあったので注意が必要です。28歳の日本人が100ドルの偽札をペソに両替しようとして捕まったのですが、友人と名乗る48歳の日本人が警察官に5万ペソの賄賂を渡そうとしたところ彼も逮捕されました。
当人は「持っていた円を見知らぬ人とその偽札のドルに換えた」と主張しているようですが、どの両替所でも日本円からペソに替えることができますし、賄賂を渡せるような友人が要るにも拘らずフィリピン国内で円をドルに替えてさらにペソに両替えするのは不自然です。しかし一方、フィリピンでは偽札が多いので素人相手に両害するのであればまだしも両替所で両替したらばれる可能性は非常に高く、不可解です。
賄賂を示すことでさらに大きなニュースとなって傷口を広げ大きいニュースとなる結果となりました。
日本なら警官に対するこんな要求には拒絶されるのは当たり前ですが、この警察官は下記の通り顔写真付きでヒーロー扱いで称賛されています。
「偽のドル紙幣を両替しようと…マニラで男2人を逮捕」(ANNnews)
「Makati policeman upholds code of honor, refuses P50K bribe offered by Japanese for friend’s release」(Follow us: @inquirerdotnet on Twitter | inquirerdotnet on Facebook )
恐らくこの友人と名乗る日本人はフィリピン慣れしている人だったのかと推測されます。フィリピン生活は慣れたころに落とし穴があります。
フィリピンでの貧困ビジネスか?というニュース
前回のブログでフィリピンでの英語学習ビジネスに関してちょっとアイデアとして「引きこもり・ニートなどのためのフィリピン滞在プログラム」をあげたのですが、こんなニュースをみつけました。
「フリースクールの名を借りた「貧困ビジネス」か? 日本人運営のフリースクール ダヴァオで摘発」 (DIGIMA NEWS)
英語や空手を教え、不登校等の青少年を教育する名目で運営されていたフリーススクールが学校から逃げ出した少年の保護によって捜査対象となっているとのことです。学費は一人毎月10万ペソとのこと。
そもそもなぜ一人あたり月10万ペソも必要か不思議です。
ただこの記事を読んでなぜ「貧困ビジネス」と呼ぶかがよく分かりませんでした。「貧困ビジネス」とはウィキペディアの定義によると「貧困層をターゲットにしていて、かつ貧困からの脱却に資することなく、貧困を固定化するビジネス」とされています。
「貧困」を「弱い立場の人」まで広く解釈すればあてはまるかもしれません。
※以下の文章は太字部分が修正してあります。(「外国人介護人材の受け入れについて(記事の訂正と補足)など」を参照してください。)
一方最近、ケソン市で介護の職業斡旋を無許可で行っていたフィリピン人と邦人2名が逮捕されたそうです。外国人労働者の受け入れ制度は今後も変わっていくと思われますが、外国人が日本で働く場合、「外国人技能実習制度」などが知られています。技能実習生の受け入れは 日本の企業等(実習実施者)が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する『企業単独型』と事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体(監理団体)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施者)で技能実習を実施する『団体監理型』の二つの方式があります。
一方、「外国人技能実習制度」のほかにフィリピンのほか インドネシア、ベトナムとEPA(経済連携協定)に基づく外国人介護人材の受け入れもあり、この場合は 国際厚生事業団(JICWELS )だけが国内唯一の受け入れ調整機関となっています。なお、技能実習制度、EPA(経済連携協定)いずれの場合であっても当該外国人は受け入れ機関(施設)と雇用契約を結ばなければなりません。
送り出し機関では許可が下りるまでの期間日本語教室などで勉強させるのですが結構怪しい送り出し機関があるのではないかと思っていました。日本側も時々ブラックな「受け入れ先事業者」の問題が取り上げられることがあります。身の回りにも何人か家族が日本で働いている人もいるので今後も関心をもっていこうと思っています。
日本で実際に目にした貧困ビジネス
フィリピンの話題からは離れるのですが、私は15年くらい前に日本で公務員をしていた時に貧困ビジネスと関わったことがあります。ホームレス問題ですが、ホームレスは住所(住民票)が無かったり保証人もいないことから本来でれば生活支援をになる市町村行政機関は中々積極的に支援をしようという動きにはなりません。ホームレスが生活保護申請をしても大抵は門前払いです。
まじめな路上生活者支援団体もあるのですが、中にはそういったホームレスを集めて市役所に連れていき生活保護申請させる貧困ビジネスが一時期問題になりました。多くはNPO法人の認可を受け表向きは真っ当な事業者に見えます。
まず社会福祉法に基づく第2種社会福祉事業として無料低額宿泊所の届をします。おんぼろアパートの1部屋を間仕切りで二つに区切りやっと寝られるくらいのスペースに2人収容して食事の提供もします。
家賃は生活保護費の限度額いっぱいに設定し徴収します。4,5万円で借りた部屋を同額で2人から徴収できるのでぼろもうけです。食事はこれもグループ会社を通しているので原価は分からないのですが冷めた弁当を提供し食事代として生活費から徴収します。これもぼろもうけです。本人が自由にできる額は月1万円にも満たなくなります。
当時は独身の生活保護受給者で10万円程度は受給できたと思いますがそのほとんどがNPO団体に流れる仕組みです。
バブルもはじけてホームレスが大都市から周辺都市へさらに河川敷などから駅のホームなどに住み着き住民から苦情が来るようになります。しかしアパートをあてがって住まわせたとしても金銭管理ができないのではという懸念から行政はそういったNPO法人をグレイな存在と思いつつ利用する仕組みが出来上がっていました。
私がそのセクションにいたのはわずか1年で、次の年に異動となってしまいました。実態が分かりかけてきたところでの異動で少し残念だった思いがあります。
しばらくするとメディアでも貧困ビジネスが取り上げられるようになり自治体の中には第2種社会福祉事業を停止させるケースもでるなどしました。また2018年6月1日に改正された生活保護法改正では最近火災事故などの問題が生じており貧困ビジネスの温床ともなっているケースもある無料低額宿泊所の基準を厳格にする内容となっていますが根本的な対策には程遠いとの問題点も指摘されています。「生活困窮者支援 改正案/抜本的な対策には程遠い」(河北報)
また別のセクションにいた時です。精神病院なのですが家族からも見放されてしまった身寄りのない老人を多く収容しており、不要な治療をしたり、保険料を架空請求している疑いがありました。
私はその病院の調査に立ち会ったのですが重度の精神秒として入院治療を受けている老人にも拘らず話すとしっかりしており、病院から事前に話をされていたのか、老人の方から「病院は適切な治療をしている」と話してくるのでした。
後に裁判を経てその病院は閉鎖されたと聞きました。あの老人たちはその後どうなったのか、時々おばあちゃんやおじいちゃんに聞き取り調査した時のことを思い出します。
病気や美容、貧困など人の悩みがあるところには必ずビジネスがあります。多くは真っ当な目的で適正な料金設定をしてビジネスを行っている事業者がほとんどだと思うのですが、中には「人の弱みに付け込んでいる」というようなビジネスが存在しているのも確かです。
あるフィリピンビジネスに関するブログについて
最近、直接の面識はないのですがフィリピンで「BAYSIDE ENGLISH CEBU」という英語学校を経営されていた方のブログをフェイスブックを通じて知りました。
私がフィリピンに英語留学しようと思ったときにまずセブという立地を決め、次に日本人経営の学校を候補にしました。5年前位ですが実はこの学校は10校位の候補の中の一つでもあり関心を持って読みました。
佐々木綾子さんという方の「リベンジ(再起)」(←リンク切れ)というブログです。
そのブログのディスクリプションには「フィリピンビジネス光と闇!!! わずか3ヶ月で数億円の資産を奪い取られフィリピン追放。暗殺の危険の中、息子の輝きを取り戻すために再びフィリピン セブ島で再起を賭けて闘うママの記録(裁判)」とあります。
セブの韓国人経営の英語学校に留学したことをきっかけに後に英語学校を開いたもののトラブル(佐々木さんの主張は違法な乗っ取り)に巻き込まれた経緯が記されています。
相手方はセブでも有名なNGOのボランティア法人の主催者です。この件は別として、最近は少なくなってきているとは思いますが、日本でも先ほど「貧困ビジネス」お話しした通り「福祉」といった分野には闇の部分も存在します。
フィリピンでは私のカミさん関係でたびたびお話しするように多くの慈善団体が存在します。
ヨーロッパをはじめ海外から募金や支援を受けて活動するのですが中には怪しい団体が存在するのは事実のようです。海外からのボランティアツアー客には仕込みの子供たち(貧乏ではあるけれども家族のいる子供を孤児として接客させるなど)を使う慈善団体もあるという話は聞いたことがあります。(実際に確認したわけではないので今後調べていきたいと思っています。)
話を戻しまして、このブログではもう刑事告訴をして裁判も始まるようで、内容的には相手方を裁判に訴えるその経緯がメインとなっているデリケートなもので、事実関係は今後の裁判で明らかにされると思いますのでコメント等は控えたいと思います。
一方本題は別として、ブログでは筆者がなぜセブに移住しようとしたかという光の部分や「フィリピン人と結婚してリゾートホテルを建てたが先立たれ、家族に裁判を起こされすべての財産を乗っ取られてしまった邦人男性の話」、「フィリピン人の恋人にほとんどの財産を貢いだあげく、残りの財産やパスポートまですべて持ち逃げされ知り合いだった筆者を頼ってきたアラビア人」の話など闇の部分エピソードなど、フィリピンで生活している者にとって興味深い内容が多く描かれています。
また、日本で長く看護師として働き救急医療や終末期医療に携わってきた佐々木さん自身の日本での経験からくるフィリピンと比較なども私がブログを書くきっかけともなった異文化社会から日本を見つめる視点で重なるものもあり深く考えさせられる内容です。
裁判が始まりましたら今後、経緯を見守りたいと思います。
ビザが取得できたらいよいよ日本に一時帰国です。半年ぶりに父に会いに行きます。もっとも日本に戻ったらいくつか問題があり、どうしたものかと思案しています。その話はまた次の機会に。
日本はとんでもない暑さのようですが、皆さま熱中症などお気をつけください。