父とはしばらくの間お別れです
この後フィリピンのセブに帰ると、現時点でのスケジュールでは来年の3月から今の仮結婚ビザをパーマネントにする手続きのためにフィリピンから出国することができません。もし出国したらすべての手続きが最初からになってしまうというペナルティが課せられます。また最初からなんて気が遠くなります。本当によくわからないシステムです。
※↑万次郎さんから「緊急事態という名目でGrace Periodという申請をすれば3ヶ月以内の出国が可能です。」との情報をいただきましたので追加補足します。
しばらく会えなくなりますが、最後に父に会いに行きました。これで二回目ですが、すこぶる元気で安心しました。父が「天丼てんや」の天丼が大好きなのは以前お話ししましたが、「何かほしいものある?」と聞いたら「ここは食事の持ち込みはだめだから宅配便で天丼を送ってくれ」(たぶん事前に言えば大丈夫だとは思うのですが…..)とのことでした。(-_-;)
今回は古い写真を持っていったのですが懐かしそうに見ていました。戦前の写真の中にはもう誰だか思い出せないのもありましたが、少しづつ訪れるたびに一緒に写真を見ようと思います。
今後のことについて
施設長さんとも少し話ができました。何かあれば連絡をするが一応もしもの時と、高齢者に多い骨折、特に大腿部骨折の場合にどうするかという話でした。端的にいえば手術かそのままにするかで、手術だと当然入院が必要です。歩けるようになるが、また骨折するかもしれないリスクがあり、入院中の世話の問題もあります。手術しないと基本的には車いす生活になりますが、入院は必要なく今の所で世話してもらえます。
なかなか難しい問題ですぐには回答できませんでした。連絡がつけばその時に判断する。何かの理由で万が一連絡がつかなければ、私が帰国することも難しい状況と考えられるので、その場合は手術せずにそのまま世話してもらうということにしました。
高齢者の介護について
今回は父の介護で施設探しをしたのですが、身元保証人が海外と行ったり来たりという状況で探すのに黒したのですが、最終的には身元引受人がいない方も預かったことがある、また、認知症からかなり重度の介護まで受け入れてくるれるところを見つけることができました。これは紹介事業者さんのおかげです。個人ではまず無理です。
一人暮らしは、金銭管理、火の不始末や徘徊、けがなどの心配で、もう無理とは言いつつも、施設に預けるのはそれはそれで不安はあります。
サ高住はウィキペディアによると「 国土交通省・厚生労働省が所管する「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(高齢者住まい法)が、2011年(平成23年)4月27日の通常国会で全面的に改正され、同年10月20日に施行された。それにより創設された登録制度である。」だそうです。
本来は単なる高齢者向けの住宅ともいえるのですが、介護度の低い方しか受け入れない所から介護度5といった介護度の高い高齢者をも受け入れるところまで幅広くあります。それゆえ、利用者が普通の賃貸住宅を探すようにはいかない難しさがあります。
サ高住の中には最近、ニュースでも取り上げられる「囲い込み」と呼ばれるケアマネージャーの居宅介護支援事業所やデイサービスセンター、あるいは病院系列だと訪問看護と抱き合わせというところもあり、それゆえに普通の年金受給者でも入居できるくらいの費用で経営が成り立つようです。
私はこの「囲い込み」を問題視するのは当初法律がこういった、”本来は在宅介護を想定していたサービスを抱き合わせて事実上介護施設のように運営する”手法を想定していなかっただけで、在宅では無視、しかし、特養はいっぱいで順番待ち、年金の範囲内で入居し生活したいが介護付き住宅や有料老人ホームでは難しいという利用者にとっては有難いものです。
ただ、このシステムはあくまで在宅介護の介護プランを利用することで成り立っているにも関わらず、仮に家族ができるだけ面倒を見たいと思った場合でも一旦入居してしまうとそれはできなくなるという皮肉な状況になります。
サ高住は福祉施設でないのでデイサービスの利用時間外はあくまで一般の賃貸借アパートと同じで自己責任です。その一方で基本的には24時間の生活はサ高住の運営にゆだねることになります。
私の場合はこれまでの経緯から安心して任せられるいいところにお願いすることができましたが、運営会社はピンキリで恐らく今後トラブルも多く生じるかもしれません。
介護離職の問題も大きくなってきました。私の以前の女性の部下は子育てと親の介護と仕事が両立できず退職しました。もちろん純粋に仕事より家庭を選びたいという思いなら全く問題ありませんが、将来的な復職や家計、自分自身の老後などは誰も責任を持ってくれる訳ではなく不安は大きいでしょう。選択肢はあったほうが良いという点で
私が公務員になったころの最初の研修のテーマは少子高齢化でした。もう30年近く前です。20年位前、介護保険制度が立ち上がるころに認知症の高齢者の姥捨て山のような無認可施設や精神病院が社会問題になりました。その後、生活保護受給高齢者の割合が増えてくると、簡易低額宿泊所も高齢化が進みますが、これらの施設の運営は時には貧困ビジネスと呼ばれるような問題のあるケースもあります。私は実際にそれらの施設に関わったのである程度の実態は知っているつもりです。
今回の父の入居に際してもそういった施設の劣悪な環境や待遇が脳裏にあったので心配もしたのですが、できてそんなにたっていないようで設備きれいで、介護者の方も親切そうでとてもよかったと思っています。誤解のないようにいうと劣悪な環境というのはフィリピンのような貧困での環境が不幸という意味ではありません。フィリピンでは家は質素で粗末ですが家族が一生懸命にケアします。父のように戦時中を生きた人は特に贅沢だから幸せということはないのだと思います。
認知症が進むと家族の精神的負担が重くなり本人に当たったり場合によっては虐待につながることもあると聞きます。そうならない範囲で介護できれば一番いいのだと思います。
つくづく施設選びは慎重に。ではまた。