朝から事故
依然として体調は今一つです。「日本に帰国したらすぐに検査を受けに行かなくては」と思う今日この頃です。
そんな中、ここしばらくタクシーの事故は無かったのですが、早朝6時に連絡がありました。バイクとの接触事故です。バイクとの事故は当て逃げが多いのですが今回は相手がこちらのドライバーの過失を主張したのでシートン(セブで交通事故処理を扱う組織)での事故処理を受けます。カミさんが対応し私は自宅待機です。
フィリピンは日本と逆で左ハンドル右側通行です、当方車両が二車線から一車線に合流する際に右車線で同じ進行方向に走っていた相手と接触し、当方はサイドミラーとボディーを損傷したもので、幸い相手は病院で手当てを受けるような怪我はありませんでした。
シートンの担当官の説明は車の右サイドでの事故は車両の過失になるというざっくりとした説明とのこと。日本の交通事故だと赤本とか青本と呼ばれている事故処理の本があるので勉強できるのですが多分フィリピンには無いのだろうなと思います。もっともあったとしても赤本や青本は日本語でも理解するのに難しく英語だったら私の語学力で無理でしょう。
「バイクとの事故では相手が多少強引な運転をしてぶつかっても車側の過失になる」と以前、私自身が起こした事故で担当官に言われました。フィリピンのドライバーはクラクションをガンガン鳴らすのは無理もないですが私はどうもクラクションを鳴らすのが苦手でした。
私の今の仕事における最大の危機管理は交通事故に対する予防のリスクマネジメントと起きてしまった場合の事故処理です。今日は日本で連日ニュースになっている日大アメリカンフットボール部の話題について少しお話ししたいと思います。
日大学生と日大・関学の記者会見
日本で働いていたころは忙しくて大きな事件があっても夜のニュース番組でかいつまんで知るくらいでしたが、今回はユーチューブで学生、監督・コーチ、学長の会見は全部ノーカットで視聴しました。
昨日、関東学生アメリカンフットボール連盟が処分決定の記者会見を行い、刑事訴訟の行方や監督・コーチの対応はまだ分かりませんが、混乱した状況もやっと収束の方向に向かって動き始めたようです。
今回の問題がこれほど大きくなった大きな要因は日大側の対応にあったことは否めません。
第一義的な責任は学生にあることは本人も認め謝罪しているところであり、当該学生があのような反則行為を行う要因となる明確な指示があったか否かが問題となりました。監督・コーチの会見では監督は完全に指示を否定し、コーチに責任を押し付けて解決を図っているのではないかというという疑念も生じさせました。
反則した選手の会見においては記者との質疑応答では、記者の質問に対して冷静にその質問意図を踏まえ、しっかりとした受け答えをしていました。
もし学生の会見が「学生は監督・コーチの指導を正しく理解しなかったかもしれない」と思わせる内容であったらまた異なった展開になったのかもしれません。しかし学生の記者との応答は「この学生がそんなミスアンダスタンディングをするとは考えにくい」あるいは「あのような誠実な態度の学生が指示もなく反則行為に及ぶとは思えない」という印象を多くの視聴者に与えたと思われます。
それに輪をかけて、その後の会見では監督の主張は最初から「信じてもらえないかもしれませんが」と何とも弱々しく、コーチはしどろもどろで曖昧な態度に終始し、学長の会見では他人事のような当事者意識が感じられない応答もみられました。
さんざん引っ張った上で開いた会見にも拘らず稚拙な対応により学生の問題ではなく監督・コーチ側に問題があるのではないかとの印象を決定づけてしまいました。
「失敗しないマスコミ対応危機管理広報術」と日大の記者会見
危機管理においては、もちろん根本的な問題を解決することや再発防止策を立てることが一番大事ですが、広報対応も今回の一連の騒動の中で注目されています。この問題についてとても分かりやすいウェブサイトの記事があったのでご紹介したいと思います。
2007年付と、もう十年以上前のWeb記事ですが、「DIAMOND ONLINE」の 石川慶子氏の「失敗しないマスコミ対応危機管理広報術」はマスコミ対応は危機管理においていかに重要かを改めて確認できます。記事の本文は著作権により引用できませんので結構長いですが、ぜひご覧いただけたらと思います。
この記事の中ではまずい対応として例示があります。今回の日大の対応においても下記のような点が当てはまると思われます
- 案件がマスコミに取り上げられたにも関わらずなかなか記者会見を開かなかった
- 説明が不十分であった
- 記者会見の段取りが悪かった
- トップが会見にでなかった
今回の記者会見では言葉では謝罪の意を示したものの、責任逃れをしているのではという印象の方が強く謝罪の意図は伝わらなくなってしまったように思えます。
また記事では「会見ではこうすれば失敗しない(会場設営&進行編)」について解説されています。会見会場のセッティングや進行は内容以前に重要な点です。
日大監督・コーチの会見では司会者の対応が注目されましたが、報道陣へ連絡があったのが会見一時間前であったり、マイクの準備をしているのを下がらせて開始したり、マイクは記者に持ち回らせるなどで、わざわざ記者と間に不穏な空気を作ってしまっていたようです。
記事ではトップが記者会見をすることの重要性が述べられていますが、今現在日大の対応では理事長が出てこないということが指摘されています。
今回の件では日大幹部が当初はアメフト部の問題と認識していたことはやむを得ないかもしれませんが、マスコミに報道された時点ですぐに切り替えて対応すべきだったでしょう。
また記事ではNGワードも挙げられていますが今回の対応では後日撤回したものの、監督の試合後のインタビューで「相手もやっている」であるとか「これくらい」であるとかさらには「法的には問題があるかもしれないが」というような発言が報道され問題となってしまっています。
今の段階では、「日大側は関東学生連盟が指摘したような問題点を正しく認識していないのではないか、あるいは本当の意味で受け入れて改善しようとするだろうか」という疑いが拭えません。
上司の指示や圧力で部下が犯罪や違法行為まがいのことをしてしまうというのは大人社会の会社組織でも実際に起こっています。日大での特殊なケースとして片付けるのではなくコンプライアンスやパワハラ問題のひとつのケースとして検証することは意味のあることだと思います。
私も海の遠い向こうから見守っています。