今月のトピック(維持修繕関係備忘録)
リペアショップ
大きいオペレーター(事業者)になると自分の修理工場を所有していたり、専属のメカニックを雇っていたりするのですが、私のような小規模タクシー会社はそうはいきません。
フィリピンでは、修理工場などに勤めないフリーランスのメカニックもいて、以前、頼んでいた時期があるのですが、今のリペアショップを見つけてからは安心して任せています。
エンジンや足回り、板金を扱っているリペアショップとエアコン及び電装関係を扱っているふたつのリペアショップを主に利用しています。
タクシービジネスを行う上で、信頼できるリペアショップを見つけることはとても重要なポイントです。
部品販売店
フィリピンでは、リペアショップに修理を頼む場合も、部品をこちらで購入して持ち込むという、日本ではあまりみられない方法をとることも一般的に多くあります。
部品に関しては新品(ブランニュー)を扱っている1店舗とサーブラスや中古(セカンドハンズ)を扱っている3店舗を利用しています。
新品、あるいは中古にせよ、純正と非純正・社外品があります。どれを購入するかは、部品によりますが、価格が安くて高品質の部品であることに越したことがないのはいうまでもありません。
セブの街なかには多くのタクシーが走っていますが、そのおよそ9割以上はトヨタのヴィオスです。
タクシーの多くは、50万キロ以上、場合によっては80万キロなど、ほぼ乗り潰すくらいまで使用しますが、タクシーの場合はへたな自家用車よりもメンテナンスをしっかりしています。廃車になった場合は、チョップチョップといって分解して、部品として売られる場合もあります。
タクシーでヴィオスが好まれるのは、部品が豊富であることも、大きな理由のひとつです。以前、フランチャイズと共に付いてきた、KIA(韓国ブランド)の中古車両を使っていたことがありますが、部品の取り寄せに1ヶ月とかかなり長い期間を要することがありました。当方の収入だけでなく、その間ドライバーも無収入になります。その点、ヴィオスでしたら部品が無いということはまずありません。
ちなみにKIAに関しては、結局8年経たずに廃車となり(今は法規制で10年以上はタクシーとして走ることはできませんが、ヴィオスでしたら、10年以上走ることは一般的です)、前オーナーのメンテナンスにもよるのですが、耐久面でもやはりヴィオスが一番というのが実感です。
主なメンテナンス
主なメンテナンスは以下のとおりです。
エンジンオイル交換
1,290ペソ オイル及びフィルター990ペソ、工賃300ペソ
オイル(カストロール)及びフィルターを購入してリペアショップに持ち込みオイル交換してもらいます。数回に一回エアクリーナの交換も行っています。同時に、事前にドライバーに何か気になる点がないか確認しておき、定期点検も兼ねています。
以前はドライバーに任せて、市街地のオイル交換所で行っていました(立て替え払い)が、実際に行ってみるとドラム缶に入ったオイルで交換作業しており、そのころフィリピンでガソリンスタンドでガソリンに異物を入れ(薄めて)ているというニュースもあったことから、今の方式に変えました。
信頼できるリペアショップで定期点検も兼ねることができることから一石二鳥です。
バッテリー交換
3,500ペソ 商品はDYNA POWER BATTERY 50Nで保証期間(ワランティ)は6ヶ月です。以前はMotoliteのバッテリーを使っていましたが、価格が安い物を探し、その後使ってみて、今のところ問題は生じていないので、現行のものを使用しています。
日本だと冬の寒い時期にバッテリーあがりをよく経験します。フィリピンには冬はなく、ほぼ一年中エアコンをつけています。エアコンとバッテリーの関係についてはこのような解説があります。
「エアコンはバッテリーの消費電力が多いため、夏の暑い時期にエアコンをフル稼働させるとバッテリーが上がりやすくなります。ただし、エアコンを頻繁に使ったとしても車の走行時間が長ければバッテリーが充電されるためバッテリー寿命を縮めることはほぼありません。」1)
1)車のエアコンはバッテリー寿命に影響する?エンジン停止時の注意点など(WOWCARマガジン 2020.07.09)←リンク切れ
エアコン修理(ガス交換)
2,500ペソ
先程述べたように、フィリピンでは、クーラーもほぼ一年中エアコンを使用しており、かなり頻繁に修理(ガス交換)が必要になります。
タイヤ交換
2本(185/45R14) 2,500ペソ
何度かショップを変えましたが、今のところはセールになると教えてくれて、まとめて購入するなどしています。
なお、洗車に関してはドライバーの負担としています。24時間システムで二人交代の場合は、交代前に洗車することとしています。洗車代は個人の小さな洗車場だと、おまかせで50ペソくらいです。(本格的な店舗の洗車場になると100ペソ以上かかります。)
5月の状況
主な車両の維持修繕
4月の車両維持費合計 60,043ペソ
No1 6,780ペソ
内訳 ボール・ジョイント交換(2pcs ball joint)(1.100)、 2pcs スタビライザー・リンク交換(stab link)(1,100)、 1,690 2pcs tie ? 下部コントロールアームブッシング(2pcs low bushing)(770)、工賃(mecanic fee)(1,500)
No2 500ペソ
内訳 牽引代(tranfer to Liloan)(500)
No3 3.230ペソ
内訳 エアコンクリーニング(aircon cleaning)(2.500)、コンプレッサーオイル(oil of compressor)(250)、 480 1pc cabin filter
No4 12,640ペソ
内訳 エンジンインジェクター(噴射装置)クリーング・スパークプラグ(engin troble injector 4pcs cleaning spark plug)(1,000)、 スタビライザーリンク(2set stabiliser link kit)(640)、 トランスミッション・サポート(1pc transmission support (battery side)(1,600)、 エンジンサポート(1pc engin support upper)(1,800)、 エンジンサポート及びトランスミッション交換工賃(labor replace engin support & Transmission)(700)、 スタビライザーリンク交換工賃(400)(labor replace stab link 2/R side front)、インジェクター(4pcs injector 12Vsurplus Japan)(3,800)、 ラジエターファンモーター(1unit radiator fan motor 12v toy 5/1)(1,800)、 スパークプラグ(4pcs NGK ? Sparkplug)(600)、工賃(mecanic fee)(300)
No5 9,650ペソ
内訳 エアコン・ブロア・モーター (1unit A/C blower motor asembly 4/30)(2,800)、 エアコン・クリーニング(aircon cleaning)(2,500)、 燃料ポンプ交換工賃 (labor replace fuel pump)(850)ほか
No6 0ペソ
内訳
No7 1,600ペソ
内訳 床防水マット(1 plustic matting)(1,600)
No8 3,500ペソ
内訳 バッテリー交換(new battery)(3,500)
No9 3,500ペソ
内訳 バッテリー交換(new battery)(3,500)
No10 3,500ペソ
内訳 バッテリー交換(new battery)(3,500)
No11 5,230ペソ
内訳 クラッチ・レリーズ・ベアリング(release bearing)(680) (1,200)、 クラッチカバー(cluch cover)(1,350)、 工賃(mechanic fee)(2,000)
主な手続費用
各3,200ペソ registration LTO(2台)
3,840ペソ SCCI insurance(強制保険) ほか
おわりに(コロナ禍に聴く曲)
これまでも、度々ふれてきましたが、私が公務員を退職する前年に放送されたNHKの朝ドラ「あまちゃん」は夢中になったドラマでした。
その中で、東日本大震災で被災し、全線不通となっていた北リアス線(ドラマでは北三陸鉄道リアス線(通称『北鉄』))が、部分開通し、沿道から多くの住民が手を振るシーンが印象的です。
あまちゃんはツイッターなどのSNSで話題となっており、このシーンについて「JR九州のCMを思いだす」という声があり、今回、コロナ禍に聴く曲として紹介する次の曲を知るのでした。
九州旅客鉄道(JR九州)が2011年3月12日の九州新幹線鹿児島ルート全線開通に向けて企画実施した『祝!九州縦断ウエーブ』というイベントでCMが作られました。
この日付で分かるように、東日本大震災の翌日です。
開通イベントの企画にあたり、様々な企画が立案された中、最終的に「全線開業前にカメラを搭載した試運転列車を鹿児島中央駅から博多駅まで走らせ、沿道に集まった人々を撮影して一つのCMにする」という企画が実行されることになりました。
CMは3月4日より順次放映が行われましたが、東日本大震災に伴い、ロングバージョンの放映は一部特別番組内を除いて一旦取りやめになります。また、放送されたバージョンもテロップの祝という文字が修正されるなどしました。(昭和天皇崩御のときは、たしか日産セフィーロのCMで井上陽水さんの「お元気ですか」という声がカットされたりしましたが、このときもCMは自粛モードで「ACジャパン」が多く流れてましたね)
しかし、公式サイトでのYouTubeを用いた動画配信は継続され、これが後に大きな反響を呼ぶことになります。
このCMはギャラクシー賞、カンヌ国際広告祭2011のアウトドア部門で金賞、メディア部門で銀賞、フィルム部門で銅賞を受賞しています。
その後、東日本大震災で長期運休となった東北新幹線・秋田新幹線が全線で運転再開する2011年4月29日に、下り一番列車となる「はやて・こまち115号」を沿線で手を振って迎えようというプロジェクトが企画され、当日は沿線で多くの人の手を振る様子が見られました。
また、2018年6月28日から7月8日にかけての平成30年7月豪雨(西日本豪雨)により、西日本豪雨で不通になっていたJR呉線の三原(広島県三原市)~安浦(呉市)間が復旧した。5ヶ月ぶりの全線開通となった12月15日にも同様に沿線で手を振る人々の姿が撮影されています。
(参考)
ウィキペディア 「祝!九州」
涙がボロボロあふれて止まらない!九州新幹線開業直前に自前でつくった幻のテレビCM「祝! 九州」はこれだ(DIAMONDonline 2018/09/16)
復旧した秋田新幹線を笑顔で迎えようーTwitterで広がった記念プロジェクト(日本経済新聞 2011/08/11)
呉線沿線の人々の温かさを再認識「おかえり呉線プロジェクト」の動画が完成するまで。 (NB Press Online 2018/12/27)
動画
上段左は九州新幹線の180秒バージョン、右はノーカット全編(約50分)、下段左は東北新幹線、右は広島のJR呉線
マイラ・ヒラサワ Boom!
九州新幹線のCMで流れるこの印象的な曲は日系スウェーデン人のシンガーソングライターのマイラ・ヒラサワ(Maia Hirasawa)さんによるものです。
出だしだけ、歌詞を紹介すると
あなたの場所にいたい
そんなに寒くなくて そんなに遠くでもない
帰りたい
Home Home Home
世界はどんどん小さくなっていく
私はあなたの場所にいたい
でも心がさけんでる
GO GO GO
【和訳】 Maia Hirasawa – Boom! 【歌詞】から
「あまちゃん」ではトンネルのシーンが印象的に使われています。田舎から都会に出たいヒロインの親友ユイが自分の「アイドルになりたい」という夢を叫ぶ先にあるトンネルは暗く、東京に出たヒロインのアキが挫折しそうになりながら叫ぶ先のトンネルには光が見えます。そして幾多の出来事を経て最後に、二人でまだ開通していない北鉄のトンネルを光に向かって走り抜けます。
「あまちゃん」の翌年、私は仕事をやめ、言葉も通じないこのフィリピンのセブという地で生きることになります。トンネルの先にかすかに見えた光でした。
このCMは私の中でドラマのラストともシンクロして、私に元気を与えてくれます。