MECQでの状況
8月1日からセブ市、マンダウエ市、ラプラプ市はMECQとなっています。これにより、飲食店の店内飲食も禁止となったことから、ますます人流が減って厳しい状況となっています。
バウンダリー(ドライバーが支払う一日の車両使用料)の支払いも、ラッキング(一部滞納)が増えてきています。7月の1台あたりバウンダリー額は2019年同月の63.1%でした。
タクシービジネスは、もともとが決してガッポリ儲けられるようなビジネスではなく、セブはコロナ以前にタクシーの供給過剰・過当競争と市内の渋滞などで利益率は低くなっていました。
供給過剰は役所が認識して、私がビジネスを始める以前に新規フランチャイズ(営業権)の交付は停止していました。
その一方で2015年から役所((LTFRB:The Land Transportation Franchising and Regulatory Board ) がTNCs(輸送ネットワーク会社:Transportation Network Companies )として認定し、ウーバーやグラブカーなどのが参入(その後ウーバーは撤退)し、競争は激しくなっています。
こういった状況で、コロナ以前でも決して余裕があったわけでもないので、そこから、これだけ減額になるのは、かなり厳しいです。
カミさんによるオペレーター間の情報交換でも、半分以上の車両の運行をストップしたとか(メンテナンス代や車両の消耗を考慮すると動かさない方がマシという判断)、ずっとバウンダリーを払わないドライバーを解雇したとか、頭の痛い話ばかりです。
私も計算してみましたが、車両更新のための積立も考慮すると赤字ペースです。
正直なところ6月、7月くらいまでは、「年内か年明け位までにワクチン接種が順調に進めば、そのままニューノーマルになるのではないか」という希望も抱いていました。
ところが、フィリピンも日本のように、デルタ株の猛威は予想以上のようです。
また、ワクチンも、欧米で接種が終われば途上国にも回ってくるだろうと思っていたのが、先進国では3回接種を行うことがスタンダートになりそうな気配で、3回目の接種が始まれば、WHO(世界保健機関)が懸念するようにそちらに持っていかれてしまうでしょう。(※)
(※)欧州各国が「ブースター接種」検討 WHOはワクチン格差を警告(毎日新聞 2021/08/14)
「年内や年明け早々の収束はまず無理かな」という状況です。
それどころか、これまで抱いていた収束のイメージというのは、「そんな時代もあったね」と、過去の思い出として振り返るような元の世の中になるというものでしたが、「そんな風にはならないのでは?」、「相当長い期間は、全く以前のようにはならないのではないか?」という見方もあります。
5,000万-1億人以上といわれているスペイン風邪と比べても、コロナの現在の累計死者数は、現時点で450万人、それでも、未だに、多くの国で、国境をまたいでの観光さえ再開されていない状況です。(しかも当時の人口は現代のおよそ4分の1)
将来的にはワクチンの開発スピードが早まるとしても、コロナは変異のスピードもまた早いことが明らかになりました。
過去のパンデミックとの比較では決して絶望的ではないといえる新型コロナで、このような状況になっていることを考えると、今、多大な影響を受けている航空、観光、インバウンド、飲食業などのビジネスは、今後も絶えず感染症による経済的影響のリスクと隣り合わせであることを意識せざるを得ないでしょう。
今回のコロナ禍においては、多くの企業が、異分野へ進出することで活路を見出そうとしているニュースを聞きます。しかし、個人事業主の場合は、なかなか難しいですね。
バイクタクシーによる追突事故
バイクタクシー(ハバルハバル:Habal-habal)が、うちのタクシーに追突しました。
バイクタクシーについて
バイクタクシーというのは、東南アジアなどではよく見られます。フィリピンにおいても同様です。
バスやジプニーやタクシー、トライシクルなどが役所(LTFRB)の認可を受け、フランチャイズ(営業権)を得て営業しているのに対し、バイクタクシーはそういったものはなく、当然ビジネスパーミットも取得していないので、違法であることは認識されていました。
しかし、警察等による取り締まりが行われるということもなく、グレイゾーンとして扱われてきました。実際の所、バイクの二人乗りは多くありますから、後部座席にいるのが知人なのか客なのかの確認は、当事者の証言以外では難しいという面があります。
また、フィリピンでは、軒下でやっているようなサリサリストアやカレンデリアのような個人商売はいちちビジネスパーミットがないからと取り締まるということもありません。
(フィリピンは年額25万ペソ以下は非課税(※)であり、庶民の多くは月収2万ペソ以下ですから、徴税の面からも、こういった職業を積極的に取り締まる必要性はあまりなく、放置しているのかもしれません) ※ジェトロ「『その他税制』詳細」
また、山間部や郊外のようにジプニーやトライシクルのルートにないような地域では、バイクタクシーは生活に欠かせない交通機関となっている実情もあります。
一方、2016年にシンガポールで設立されたバイク配車アプリ会社の「Angkas」が急速に台数をのばし、政府は暫定的にこれを認めるという状況が続いています。
※「バイクタクシーはもうなくなりますが、プライベートの「アンガス」はもうすぐ許可されます:No more motorcycle taxis but private ‘angkas’ allowed soon」(Inquirer.net 2020/6/21)
このような状況で、ダバオでは今年の5月11市内でのバイクタクシーの運行を合法化する条例を承認しました。
運行の条件として、陸運局の登録、ドライバーの運転免許証の確認、運転手と乗客の両方の保険への加入、規定の保護用モーターヘルメット着用義務、市交通交通管理局(CTTMO)によって決定されるルートに応じて色分けされたヘルメットを着用、9歳未満は乗車できず、9〜15歳の乗客の場合、親または保護者の同伴が必要、2人の乗客のみが許可される、というもので、また、他の利用可能で適切な交通手段がある地域での活動は許可されません。国の法律が定まるまで条例で運用するようです。
「habal-habal運行を合法化する条例が承認されました:Ordinance legalizing habal-habal operation approved」(Sunstar.com 2021/05/11)
ここに挙げられた、免許証、規格にあったヘルメット、保険の規定は、「現行のバイクタクシーでは守られていないケースもある」という裏返しともいえるかもしれません。
私も、若い頃にバイクに載っていましたが、タンデム(二人乗り)というのは、まっすぐに走っている分にはさほど問題はありませんが、急停止や、曲がる場合などは一人での運転とは全然違い、経験と運転技術が必要だと感じます。
セブの免許証は、以前は実技試験も練習もせずに取れていました。(今は教習が義務付けられるなど厳しくなってきています)。
特に街中での運転は、日本とはぜんぜん違う交通事情でヒヤッとすることがたくさんあります。
バイクタクシーの客のヘルメットは、たいていは頭にちょこんと乗せるタイプで、大きな事故に対応できるものではありません。猛スピードでなくとも、転倒して縁石に頭をぶつけるなど、打ち所が悪ければ大変なことになります。
今回の事故について
さて、今回のケースですが、場所はセブ郊外、原因は完全にバイクの方からの追突。バイクの運転手は19歳で無保険、怪我はかすり傷程度、乗客は2人で、こちらのうち一人が腕に痛みを訴え、病院へ(骨折ではなかったよう)。
こちらの方は、物損のみでドライバー、乗客ともに怪我はありませんでした。
この場合の事故処理ですが、以前はCCTO(Cebu City Transportation Office)が事故調査をしていて、そのときは、「バイクとの事故は、バイクに過失が会っても車の方が責任を負う」と言われました。(ですから、特にバイクに対しては、容赦なくクラクションを鳴らす必要があります)
日本の場合、交通事故の場合は、警察は実況見分で事実認定を行うのみ(刑事事件になるようなケースは現行犯で逮捕ということもありえる)で過失割合などは決めません。あとは、それをもとに当事者同時で民事で解決することになります(もっとも、通常は任意保険に加入しているので保険会社が代理となって処理するでしょう)。
CCTOは、基本的にどちらに過失があるかジャッジします。(私の経験した中では、過失割合のような細かいことは決めません)
過失があるとされた場合は、相手に補償をしなければなりませんが、守らないケースも考えられます。このため、補償が終わるなど被害者が了承するまで、CCTOが「加害者の免許証を預かる」というような対応がとられていました。
その後、3年位前でしょうか、事故処理の所管がCCTOから警察に移って、うちでは問題になるような事故は起きていない(相手の過失で、すぐに補償してもらえた)ので、事故処理の方法に変更があったかどうかはよく分かりません。
今回の場合は、警察は相手方に過失があったことは認めたものの(というか、過失以前に無免許で違法運転!!)、「痛みを訴えている被害者の乗客に治療代としていくらか払ってあげて」ということでした。
この辺りは、日本だと絶対にありえない裁きです(先程お話したように警察は民事不介入が原則です)。
結局ドライバーは500ペソを支払ったのでした。
このように、バイクタクシーは便利ですがリスクもあるので、十分ご注意ください。(アンガスの場合は、恐らく免許証の確認も、対人保険も入っているのではないかと思われます)
アクセサリー空気清浄機
ツイッターでもつぶやきましたが、セブ州知事から8月13日に「公共交通機関の運転手等は携帯型空気清浄機が義務付けられる」と突如発表されました。当初は8月16日から施行で、その間に用意できない場合は、運行できないのことで、混乱を生じました。(その後、期限は延長されました)
これに対しては、DOH(保健省)がその効果を否定したり、決して安くはない経費を負担しなければならないことについての不満、批判が噴出していました。
「セブのドライバーは、空気清浄機の要件を『バンドエイドソリューション(効果なし)』と呼んでいます」Cebu drivers call air purifier requirement a ‘band-aid solution’(Rappler 2021/08/15)
「DOH(保健省):ネックレス空気清浄機はCOVID-19に対しての効果はありません」
As wearable air purifiers grow popular, science can’t show proof it works vs COVID(Inquirer.net 2021/08/17)
「グウェン・ガルシアセブ州知事はセブでの空気清浄機の強制使用を延期します」Gwen defers mandatory use of air purifiers in Cebu(visayas.politics.com 2021/08/17)
日本でも今年1月にこんなことがありました。
都内のメーカー「Nature Link」が、イオンのパワーでウイルスや細菌の影響を軽減する効果があると宣伝し、首から下げるカードを販売、同じく都内のメーカー「萬祥」はUSB型の空気清浄機について、マイナスイオンで花粉やPM2.5から空気をきれいにすると宣伝していました。
消費者庁は調査を行って宣伝に合理的な根拠が認められなかったことから、両社に対し、景品表示法に違反するとして行政処分を行い、両社はすでに宣伝を取り止めたとのこと。
また、昨年の3月にもこのような注意喚起が消費者庁から行われていました。
「新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品の表示に関する改善要請等及び一般消費者への注意喚起について」(消費者庁 2020/3/10)
また、フィリピンでは、昨年から、モールや公共交通機関でのフェイスシールドが義務化になっています。このような国の政策による義務化は世界でもほとんど例がないと思われます。
フィリピン独自で、科学的根拠を示せるような研究が行われているとも考えにくく、何を根拠にしているのか今ひとつよく分かりません。
義務化になった途端、街にはフェイスシールドがあふれ、切らすことなく売られている不自然さも感じました。
憶測で言うのは控えたいと思いますが、今回の携帯型空気清浄機も、あまりの唐突さに、何があったのか不思議でなりません。
うちは、こちらで購入してドライバーに配布しましたが、ドライバーが負担しているケースも多いようです。昨年の3月以来、人流抑制政策はジプニーやタクシー業界に大きな打撃を与えています。
ドライバーに負担を強いるような政策は、慎重に検討していただきたいし、どうしても強制にするのであれば、政府で購入して配布という形にしてほしいと願うのでした。
7月のメンテナンス等の状況
主な車両の維持修繕
合計 75,963ペソ
No1 7,784ペソ
内訳 ブレーキシュー(850)工賃(600)、ショックマウント等(614)、パージバブル(1,830)・スパークプラグ4個及びキャブレタークリーナー(620)工賃(1300)ほか
No2 3,034ペソ
内訳 スタビライザー1セット(1,100)工賃(600)ほか
No3 8,716ペソ
内訳 リシーリング(500)、42リットル ガソリン(2,487)、エンジンオイル(450)、エンジンサポート(ホルダー)(1,850)、フェンダーライト(ランプ)1個(1,080)工賃(614)、エアコンフィルター(440)ほか
No4 13,213ペソ
内訳 、バックシート・カバー(1,100)、1pc ファン ブレード(970)工賃(500)、バッテリー(3,500)、ファンモーター(1,750)、スパークプラグ4個(600)工賃(614)、エアコンクリーニング(2,540)ほか
No5 14,184ペソ
内訳 ショックマウント 2個(1,280)、エンジンサポート 2個(3,630)、スタビライザーリンク2パック(1,100)、フェンダーライト1パック(1,080)、ショックアブソーバー1パックer(1,800)、リリースベアリング1個(650)、1クラッチライニング1個(1,100)、クラッチプレッシャー1個(1,300)工賃(614)ほか
No6 4,864ペソ
内訳 プラスチックマット1個(1,600)、ショックマウント2パック(1,280)工賃(614)
No7 6,804ペソ
内訳 コンピューターチェック料(600)、バッテリー(3,500)、燃料フィルター, 燃料プラグ,スパークプラグクリーニング(500)工賃(614)、補助ファン(auxiliary fan)修理代(300)
No8 9,350ペソ
内訳 プラスチックマット(1,600)、エアコンクリーニング(2,540)、バッテリー(3,500)、スパークプラグ4個(1,530)ほか
No9 2,150ペソ
内訳 ブレーキパッド(500)工賃(400)
No10 1,290ペソ
内訳 エンジンオイル交換のみ
No11 4,574ペソ
内訳 ショックマウント2個(1,280)、エンジンサポート(1,430)工賃(614)
No12 0ペソ
エンジンオイル交換は全車共通で各1,250ペソ
主な手続費用
合計17,948ペソ
- リシーリング2件(1,000)
- 比例分支払 SCCI 保険(1,815)
- LTO登録(3,200)
- 弁護士費用(500)
- 11台分 GPS月額(3,600)、配車アプリ(2,700)ほか
ほか
おわりに
今月もあと僅かです。結局、せきが治らないまま9月になってしまいそうです。
コロナも体調も、全然いいことがないのですが、もうすぐクリスマシーズンが始まります。
フィリピンのクリスマスは、9月からその準備が始まります。”Ber Months”という世界最長ともいわれる長いクリスマスシーズンを祝います。(英語版ウィキペディアより)
今年のクリスマスも、静かなクリスマスとなりそうですが、家族全員で迎えられればそれで十分です。
日本はクリスマスの前に行楽シーズンの秋がやってきますが、今年もあまり楽しめない状況ですね。でも、せめて食欲の秋を堪能していただきたいと思います。