メトロセブはGCQ継続中

 セブ市は8月1日から「MECQ」から再び「GCQ」に戻り、さらに15日から31日まで延長されています。(GCQなどの用語は以前の投稿「GCQでのフィリピン・セブのタクシービジネス」などをご参照ください)

 また、マニラ首都圏なども17日の発表で「MECQ」から「GCQ」に戻りました。これにより、フィリピン全土において「ECQ」「MECQ」が発令されている地域は無くなりました。

 ようやく「CQ(community quarantines;コミュニティ検疫)」のあとにくる「ニューノーマル」(「隔離措置後の公共スペースおよび職場で新たに取り組むべき措置・事項」、日本で言えば『新しい生活様式』のようなものです。)がすこし見えてきました。

 (ニューノーマルの内容については「隔離措置終了後の「ニューノーマル」を規定する法案が提出」(ジェトロ)に詳しく書かれています。)

 感染状況や医療体制の状況などにもよりますが、9月以降はさらに緩和されるか、あるいは最低でも現状維持で後戻りにならなければよいのですが。

ロックダウンとフィリピン経済

 現在、私の地域は「GCQ」ですが「MECQ」の時と変わらず、外出する際には約20世帯に1枚配られている「外出許可書(Quarantine Pass:検疫パス)」が必要です。

 「MECQ」のときは関係する役所も閉まっており、バランガイの外に外出することもありませんでしたが、「GCQ」になり役所手続きも再開されました。

 「外出許可証」では不便なので、ビジネスでの外出であることが証明できればいいということで「証明書:certificate」と「職員ID」を作ることに。

 (家から役所(LTFRB;陸上交通許認可規制委員会)までの間には検問は無いのですが、以前火事になった役所は現在モールの中に入っており、そのモールの入り口で「外出許可書」の確認、体温検査及び連絡先の記入、そしてマスクのチェックが行われています。)

 「GCQ」になっても外出制限は継続し、まだ庶民の足であるジプニーもハバルハバル(バイクタクシー)も走っていません。

 飲食店は、「GCQ」から人数制限付きで店内飲食が可能になっていますが、セブ市では前回の「GCQ」のときは、多くの飲食店は感染対策の営業許可待ちだったためか、ほとんどの飲食店が店内飲食を再開しないまま「MECQ」に突入してしまいました。

 今は再開したとしても、とても採算が取れるほどの客足は期待できない状況です。

 外国人を多く受け入れている観光業や、セブにも多くある英語学校は、観光ビザでの入国規制が緩和されなければなりませんが、全く見通しがたちません。

 また、旅行客や留学希望者においても、入国規制が緩和されたとしても、本格的な第二波の可能性が残る間は、何ヶ月も先の予約というのはなかなか入れづらいのではないでしょうか。

 フィリピン経済全般については、今のところ株価や為替は大きな問題としては報道されておらず比較的安定しています。

 これはもともと世界銀行による2020年予測で経済成長率が6.1パーセントと堅調であったこと。2016年からのドゥテルテ政権による経済政策が評価されていることによるかもしれません。

 しかし、民間の調査機関による電話調査では7月時点で45.5%の失業率で、(うち半数はコロナ危機による失業)とのことで、長期にわたるロックダウンによる、雇用や消費に対する影響は心配です。 「Adult unemployment reaches record-high 45.5% in July — SWS」(Inquirer)

 クリスマスまであと4ヶ月です。例年クリスマスが近づくと街は渋滞が激しくなり、活気に満ちた雰囲気に包まれますが、今年は今までとは全く違った風景になってしまうのでしょうか。

タクシービジネスの今

 前回(6月1日)、一旦「GCQ」に戻った時に「GCQ」におけるガイドラインが示されました。これにより車内に感染防止シートを設置、乗客の連絡先名簿記入用紙などを整えて許可を受けていたので、今回はすぐに営業を開始することができました。

 また、「Pay Maya(ペイマヤ)」というキャッシュレスシステムが義務付けられました。クレジットカードは読み取り機が必要ですが、これはスマホでの決済が可能で、ドライバー自身がオンラインで登録し、乗客がそのドライバーに対して支払うというシステムになります。

(「ペイマヤ(正式には『ペイマヤ・フィリピンズ』」は電子決済サービスのフィリピン国内大手で、その親会社は、フィリピン国内通信大手PLDTの傘下の「ボイジャー・イノベーションズ」。
 他の電子決済サービスの大手としては大財閥のアヤラ系列グループによる「Gキャッシュ」、東南アジア最大手のライドシェアの「グラブ」が手掛ける「グラブペイ」があります。
詳しくは「電子決済大手ペイマヤ、2023年に年間決済額1兆ペソ、ユーザー4,000万人へ」(ジェトロ)を参考のこと。)

 なお、ドライバーたちに現在の利用状況を確認したところ全く無しとのこと。まあ、そんな感じでしょう。

 しかし、フィリピンでは銀行口座を保有する世帯が25.1%、貯蓄をする世帯が37.5%と低くフィリピン国内の商取引の99%は非デジタル決済、非電子決済で行われていることから今後の急激な市場拡大が期待されています。(上記ジェトロの記事から)

 中国で、固定電話を飛び越えて携帯電話、パソコンを飛び越えてモバイル機器が普及し(こういうのをリープフロッグ(カエル飛び)型発展というのだそうです)、あっという間に電子決済大国になったように、平均年齢が若くて日本と同規模の人口を抱えるフィリピンは伸びしろのある国かもしれません。

 タクシーも将来的には、すでにセブでは全タクシーに導入されている「MiCab」などの配車アプリと合わせて(今はまだシステムとしては不完全ですが)、キャッシュレス化の方向に向かっています。

 外国人旅行客にとっても、グラブカーやグラブタクシーだけではなく、全タクシーでボッタクリなどの心配もなくキャッシュレスでタクシーを安心して利用できるようになるのではないかと思います。

 なお、先日、「LTFRB(陸上交通許認可規制委員会)」から全車両に「NO EATING」「NO TALKING 」「NO PHONE CALLS」のコピーを車両に掲示するようにとの指示がありました。

 フィリピンで職場とか周囲を観察すると「ほんとにいつもスナックとか食べているなあ。」とか「毎日いつも楽しそうに何を話しているんだろう」とか「しょちゅう携帯いじったり電話したりしているなあ」と思うことがあります。

 「食べる」「話す」「電話する」はフィリピン人が楽しく生活を送る基本かもしれません。「ニューノーマル」では、職場や公共の場でのそれらの行動を、ある程度抑制するルールが作られていくのでしょう。

フェイスシールドと苦悩がみえる感染症対策

 8月15日からはフィリピン全土で公共交通機関を利用する場合のフェイスシールドが必須となりました。その後の報道を見ると、モールで着用を求められたり、職場での義務付けの話もでてきているようです。

 売り切れや値上がりになったら困るので、発表された翌日にはドライバーの分も含め購入。70ペソ(150円くらい)でした。

 マスクは日本を始め多くの国々で買い占めが起こりましたが、フェースシールドはもともとそんなに需要があったとは思えないにも拘らず、義務化がアナウンスされてすぐに、あふれんばかりに売り出されています。誰がいつの間に作っていたのか不思議です。

  • パッケージには日本語で防護マスクとあり、使用上の注意、MADE IN JAPANとあるのですが製造元などの情報は一切ありません。
  • 同じモデルさん、同じパッケージで文字がすべて英語版のものもあります。

 日本では学校再開の時期に学校現場におけるフェイスシールド着用の是非が議論されたようですが、概ね否定的な(着用を義務付けるまでの必要はない)意見が多いとのことです。

 マスクに加えてフェイスシールドまでというのは、ウィルスに対する効果というよりかは「とにかく、やれる事は何でもやる」という政府や役所の姿勢を示すことと、国民への意識付け及び行動抑制が目的のような気もします。

 普段、フィリピンでは、手ぶらで歩いている人が多いです。なにしろ暑いですから外ではマスクに加えてフェイスシールドをしては暑くて耐えられませんし、かといって持ち歩くのはかなり「面倒くさい」です。

Boodle fight(ブードルファイト)とニューノーマルの生活習慣

 日本やアジア諸国と比較して欧米で感染が拡大した理由の一つとして、握手やハグ、土足で家にあがる習慣などが挙げられています。どの程度の影響があるかは何ともいえませんが、飛沫感染やモノへの付着による感染があることは確かですから全く影響がないとは言い切れません。

 フィリピンは欧米文化の影響を強く受け、握手やハグなどの習慣もあり、飛沫感染が広がる要素はたくさんあるように思えます。また、ラテン系のような自由であまりルールに縛られたくない気質も多少影響しているかもしれません。

 さて、パーティーなどでの大皿料理は多くの国にあります。日本だと取り箸や取りさじを使い、直箸はマナー違反とされていますが、同じ箸を使う中国や韓国ではそのような慣習はあまりなく、一般的には直箸とのこと。

その中国でも、そういった慣習が感染を広める可能性があるとして取り箸を使うようになってきているそうです。

 こういった直箸の慣習は中国や朝鮮半島では友好の証なのでそうです。(「箸の文化と歴史 箸のマナーとタブー」(浜左衛門)より)

 フィリピンにもBoodle fight(ブードルファイト)という、大皿での直箸文化ともいえるものがあります。

 Boodleの語源は「アメリカ軍隊でのケーキやキャンディーなどの禁制品の菓子を意味するスラング」とされており、フィリピンの軍隊から生まれた習慣です。Fightとつくように、机の周囲に立って「フードフィト」のように一斉に競争するように食べます。
 このとき、カトラリーや食器を使わず「手づかみで食べる」(kamayanという)のがポイントです。(うちは各自の取皿は用意してました)

  • この写真は家族の誕生日の時のものです。
  • GCQ下だったので家族と隣の親戚だけで行ったのでした。

 食材に決まりはありません。大皿ではなくバナナの葉を下に敷き、ライスや肉、シーフード、果物などを盛り付けます。

 また、セブに来た頃に、「ビールなどの酒を一つのグラスで回し飲みするのが友人同士の飲み方」と教わったこともあります。

 ドライバーたちとカレンデリアで食べるときも、一皿のスープをとりさじなど無く自分のスプーンですくって食べるのが普通です。

 思えば、私が子供のころは瓶のコーラの回し飲みなどは普通でしたし、若い頃は仲間内での鍋料理などは直箸で突っついていたかな。
 取り箸がないときは逆さ箸にしている人もいたけれども、いつごろからだろうか、かえって不衛生ということで今はマナー違反とのこと。でも田舎の方だとまた違うのでしょうか。

 「3秒ルール」もはや死語のようだし日本人のマナーや衛生面での意識が変わってきたということなのでしょうか。

 「Boodle fight」のような慣習は「ご近所さんや友人などと家族同様に付き合うという意識」の現れであり、それを確かめるものともいえます。
 コロナ禍においてはフィリピンでも、「中国の直箸問題」のように、衛生管理のことでいろいろ議論されていくかもしれませんが、形が変わってもそういった意識というものは忘れずにいてもらいたいなあと思うのです。

おわりに

 コロナに関しては今後も当分は手探り状態が続くでしょう。こればっかりは仕方がないですね。

個人的には

 「エビデンスのはっきりしていない専門家やマスコミの見解や情報をうのみにしないこと」
 「泳げないものが水の中でジタバタしても余計に溺れるだけ。まずは力を抜き冷静になること。」
 「世の中全体が、不安や恐怖のためか他者への寛容さを失う傾向になることに注意すること」
 「自分自身がストレスを溜めないためには、どんなに小さなものや事でいいので何かをみつけて、喜びや楽しみを感じること」

などを心がけています。

 日本は、暑さが続いているようです。セブはときおり強い雨が降るとサーッと涼しくなりますが、今日は結構暑かったです。

 それでも日本の、特に東京など都会の暑さは尋常ではありません。みなさま熱中症にはくれぐれもお気をつけください。

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