
皆様、こんにちは。
相変わらずイラン情勢も不安定なままで、先日は米イラン両軍がインフラ施設への攻撃を強めるというニュースもあり、緊迫した空気が漂っています。
「原油反発、米イラン戦闘激化を懸念-ブレント週間で4月以来の大幅高」(Yahoo news 2026.07.18)
【経済】燃料費高止まりと再高騰への懸念
この世界情勢の煽りを受けて困るのがガソリン価格の高止まりです。タクシーを経営している私個人としては「本当になんとかしてほしい…」というのが切実な願いです。
ドライバーたちのバウンダリー(車両利用料)は依然として減額したままですし、本来ならこの8月に1台新車へ更新する予定だったのですが、これでは全く見通しが立ちません。本当に困ったものです。
さて、今週のフィリピン・セブ地方も、ニュースが数多く入ってきています。最初に、主なトピックについて、私の個人的な所感も交え、コメントしたいと思います。
【政局】サラ・ドゥテルテ副大統領の弾劾裁判と支持率上昇
緊迫が続くサラ・ドゥテルテ副大統領の弾劾裁判ですが、ここへ来て彼女の支持率が急反発したとのデータが報道されました。2028年5月に予定されている次期大統領選への出馬も含めて、今後の動向が非常に気になるところです。
【外交】シンガポールから帰国したマルコス大統領の第5回国政演説(SONA)への準備
マルコス大統領はシンガポールへの実務訪問を終え帰国しました。来年のASEAN会議の開催地でもある都市国家シンガポールは、かつてセブの前市長も何度も足を運んでまちづくりの参考にしていた国でもあり、今後の二国間連携にも注目です。
そのマルコス大統領ですが、7月27日に控える第5回国民年次教書演説(SONA:State of the Nation Address)を前に、首都圏警察から大規模な警備計画のアナウンスがありました。
当日だけでなく、それまでの期間もマニラ全域で厳重な警戒態勢が敷かれますので、これからマニラへ行かれる方は十分にご注意ください。
中国との緊張関係と中傷動画
中国との緊張が高まるなか、中国国営メディアがフィリピンを猿扱いする差別的AI動画を公開し、フィリピン国内から大きな反発が生じています。中国政府は「政府の行為ではない」とする一方、フィリピンの外交姿勢を批判しています。
現在の状況は、南シナ海の領有権をめぐり、フィリピンが「中国が主張する九段線(南シナ海の広大な範囲を囲む独自の境界線)には国際法上の根拠がない」として2016年7月に国連海洋法条約(UNCLOS)に基づく仲裁裁判所に提訴し、中国による主張を退けた判断から10年が経過した節目の年という背景があります。
この判決では中国に法的根拠がないと結論づけましたが、中国は判決を拒絶し、むしろ実行支配を強化し、現在も海警局の船などで威圧的な行動を続けています。
セブ市議会は「西フィリピン海勝利の日」を制定。その式典に、中国政府からペルソナ・ノン・グラータ(好ましくない人物)に指定されているギルベルト・テオドロ国防相を主賓として招いたため、在セブ中国総領事が猛烈に反発する事態となりました。
この式典を巡っては、式典を欠席したアルキバル市長に対し、主導したオスメニャ副市長が「安全策をとって逃げた(日和見主義だ)」と公の場で痛烈に批判しています。
市長と副市長の立場の日本との違い
前項で触れたセブ市の状況についてですが、日本では副市長は市長が任命するため、トップ同士の対立は滅多に起こりません。
セブの二人も同じ地元政党(BOPK)に所属しているため本来は対立しないはずなのですが、山岳地帯の巨大開発計画(モンテラザス・デ・セブ)の洪水被害をめぐり、開発停止を求める副市長と市長が真っ向から衝突するなど、もともと関係は微妙でした。
フィリピンでは市長と副市長がそれぞれ別の選挙で選ばれ、副市長が市議会議長を兼ねるシステムのため、このように別々の政党やスタンスの二人が誕生します。ドゥテルテ前大統領の時代に、思いっきり対立していたレニ・ロブレド前副大統領の姿を思い出す方も多いのではないでしょうか。
このシステムには「首長の権力監視や牽制」という意味があるそうです。議会だけでなく副市長も一緒になって首長を監視しなければならないほど、フィリピンの政治構造は一筋縄ではいかないということなのかもしれません。
米国の「ICC解体」制裁キャンペーンと日本とフィリピン
まだ、今後どうなるか分かりませんが、米国政府が、国際刑事裁判所(ICC)によるイスラエル首相らへの逮捕状請求に反発し、ICCの機能を実質的に無力化・解体するための多国間キャンペーンや外交的制裁措置を開始しました。
アメリカ自体はICCに加盟していません。しかし、例えば逮捕状の出ているロシアのプーチン大統領やイスラエルのネタニヤフ首相は、両国とも非加盟ですが、ウクライナとパレスチナ自治区が加盟しており、当事者という理由で逮捕状がでています。
フィリピンは2019年に脱退しましたが、周知の通り、マルコス政権下でドゥテルテ前大統領がICCに逮捕され、現在も拘束され、裁判にかけられています。現政権は(過去の義務として)これを容認しつつも、ICCへの再加盟自体は否定しています。
日本は、もともとこのICCの設立にあたり、強い影響がありました。もちろん現在、加盟しており、世界第一位の拠出金額を負担しています(約45.6億円(2025年予算ベース))。
日本もフィリピンも、今後アメリカから同調を強く求められる可能性はあります。この問題については別途、記事にできたらと思っています。
学校での駆虫後に児童が死亡
昭和一桁生まれの母からは、回虫駆除の虫下しを飲んだという話を聞いたことがあります。私の世代(昭和42年生)だと、小学校の時に、ぎょう虫検査をした覚えがある方もいらっしゃるかもしれません。日本では2016年を最後に検査自体が廃止されたそうです。
フィリピンでは、ぎょう虫ではなく、主に回虫、鞭虫、鉤虫といった「土壌伝染性蠕虫(STH)」と呼ばれる寄生虫をいっぺんに駆除するために薬が飲まれます。カビテ州の公立学校で、集団駆虫プログラムの薬を服用した小4児童が敗血症性ショックで死亡するという悲劇が起きました。
プログラムで使用されている「アルベンダゾール」という薬自体は、WHOが認めた非常に安全性の高い標準薬とのことで、死亡した児童に基礎疾患があったのかなど調査されています。
フィリピンでは、2016年頃に起きたデング熱予防ワクチン(デングバクシア)で数百人規模の児童が死亡した大事件が記憶に新しいところです。一刻も早い原因究明が急がれます。
なお、一般観光客は心配する必要ないとされています。寄生虫の主な感染原因は、家畜の糞尿などが混ざりやすい一部の農村地帯や未舗装の土壌に日常的に裸足で触れたり、泥のついた手で食べたり、未洗いの地元野菜を口にするといった行為です。地方に旅行した場合などは、そういった行動をとらないように注意しましょう。
アメリカ人海洋学者殺害事件
ネグロス・オリエンタル州で起きた米国人海洋生物学者殺害事件では容疑者3人がスピード逮捕されましたが、動機は金品目的の強盗であり、しかも現場は自宅でした。
よく路上強盗対策として「犯人に渡す用の現金をあらかじめ用意しておく」「絶対に抵抗しない」と言われますが、自宅の防犯でも、万が一の時に命と引き換えに差し出すための現金を用意しておくべきなのかもしれません。
タクロバン高校内銃撃事件の影響
レイテ島のタクロバンでの高校内の事件を受けて、未成年者と同居する銃所有者への厳罰化法案が下院で可決されましたが、アメリカでは子供が親の銃を使ってしまう事件のニュースが流れます。
銃社会のフィリピンでも、子どもが親の銃を誤って使うことは十分考えられ、今回の事件が起きるまで、このような法律や規則が無かったのか?という点には驚かされます。
外国人の不法就労
これまでも、なんども取り上げていますが、外国人の不法就労の事件も後を絶ちません。
マニラ首都圏でイタリア人やトルコ人ら3名が逮捕されました。これらの事件とは別ですが、例えば、フィリピンで働く場合、もし雇用主側がビザの手続きを怠っていたとしても、最終的に不法就労者として処罰されるのは自分自身ですので、自己責任でしっかり確認することが大切です。
フィリピンの報道の自由
報道の自由を巡っては、SunStarの元編集長が宗教団体からの告訴による「不快感(アンジャスト・ベクセーション)」容疑の逮捕状で出頭・保釈されるという、メディアへの威嚇が懸念される動きがありました。
この事件の詳細は分かりませんが、日本だと、メディアにより大騒ぎになるでしょう。日本の表現の自由とどのような違いがあるのか、気になるトピックなので今度深く調べてみたいと思います。
太陽光発電
太陽光発電に関する巨大インフラ記事が、フィリピン全土とセブ島最北端(ダアンバンタヤン)の双方で話題となりました。ただ、個人的には日本での土砂崩れや環境破壊といった様々なトラブルをニュースで耳にするので、この急速なメガソーラー計画には不安が大きいのも事実ですが、実際のところどうなのでしょうか。
フィリピンの役所の手続きの煩雑さと不正や汚職
Grabなどの配車アプリ(TNVS)の手続きが緩和・簡素化されるというニュースもありました。
配車アプリが便利になるのは良いですが、我々既存のタクシーの手続きは煩雑なままなので、「全体的に簡素化が進むのなら歓迎だけど、配車アプリ優遇の裏には何かあるのでは?」とつい邪推してしまいます。
また、運転免許や車両登録を管轄するLTO(陸上運輸局)は昔から評判がよろしくない組織なのですが、今回、セブを含む管轄区で、ナンバープレート配給や路上の取り締まりで不当請求・収賄に関与した職員40名が一斉免職処分になるというニュースがありました。
こうした大規模な内部浄化のニュースが表に出るということ自体は、フィリピンの行政が徐々に良い方向へ変わってきている兆候なのかもしれません。
フィリピンへの海外からの送金
海外送金額が前年比2%増と堅調なニュースもありますが、現在の激しいインフレ率を差し引いて考えると実質的には減少と言えるかもしれません。
セブパシフィックがスターリンク導入
そんな中、セブパシフィック航空が2027年から、イーロン・マスクのスペースX社が提供する衛星インターネットサービス「スターリンク」による機内無料Wi-Fiを全機に導入するというニュースは、明るい話題です。
LCC(格安航空会社)のセブパシは、以前は遅延も多く「安かろう、悪かろう」の代名詞でしたが、最近は頑張っていると感じます。
給付金
マルコス大統領が緊急発表した総額900億ペソの巨大給付金「UPLIFT」(750万世帯へ一律1万2,000ペソ支給)というニュース。コロナ禍の時のように地方自治体の中抜きやピンハネで一般市民の手元に届かない(届いてもほんの少し)、なんて事態にならないよう切に願うばかりです。
ミンダナオ島沖地震の余震
ミンダナオ島南部でM6.2の強い地震が発生し、依然として激しい余震が続いています。先月の大震災からの復興の歩みも続くなか、現地の地盤の緩みなどが非常に心配です。
カワサン滝のコブラ
セブ南部でオスロブやモアルボアルと並ぶ超人気スポット「カワサン滝」のキャニオニングエリアでコブラが目撃され騒然となりました。バディアン町が安全性に問題はないと公式声明を出しつつも、観光客へ冷静な対応と警戒を呼びかけていますので、これから行かれる方は指定ルートを外れないようご注意ください。
在セブ日本領事館からの注意喚起
在セブ日本国総領事館の関係者を名乗るフリーメールから、LINEなどの個人情報を抜き取ろうとする悪質な「なりすまし詐欺メール」が横行しており、公式に注意喚起が出ています。皆様も不審なメールのURLは絶対に開かないよう警戒してください。
残留日系2世の日本国籍回復
今回、最も深く考えさせられたのが「日本国籍回復(就籍)」をめぐる残留日系2世のお二人のニュースです。
95歳の河内さんは「最後の願い」が届かず法律上の父親の壁に阻まれて却下(即時抗告)された一方、85歳の太田ミヨ子さんはテレビ報道をきっかけに熊本県で古い学籍簿が見つかり、81年ぶりに国籍回復が正式認可されました。
戦後しばらくの間、フィリピンはアジアで一番激しい反日国家でした。命を守るために日本人であることを隠し、あらゆる証拠を自ら廃棄せざるを得なかったケースもあったといった歴史的背景もこの問題の根底にあります。
本来であれば、日本人として日本で暮らしていけたかもしれず、ただただ、運命に翻弄された多くの人たちがいた事は確かです。このような戦争の悲劇が二度と繰り返されないことを願います。
日本人の生活苦
フィリピンとは直接関係ありませんが、日本国内のニュースで、厚労省の国民生活基礎調査により過半数(54.4%)の世帯が「生活が苦しい」と実感し、ひとり親世帯にいたっては8割超(82.1%)が直面しているという衝撃的なデータが出ました。
やはり、日本はどんどん貧しくなっているのでしょうか。ここで言う「生活苦」とは、旅行に行けないといったようなたぐいのものではなく、衣食住という命にも関わるレベルの危機感だと思いますが、昨今の米や食料品、エネルギー価格の高騰が家計を直撃している影響が大きいように思えます。特に食べ盛りの子供を抱えている家庭の苦労は大変なものでしょう。
フィリピンの行く末だけでなく、日本のことも色々と心配になってしまう今日このごろです。
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※noteに簡略版を掲載しています。
【フィリピン】
【政局・政治】
【政局】ドゥテルテ副大統領の弾劾裁判が重大局面:検察は側近らの証言を撤回し、資金解明に向けた銀行・税務記録の強制開示請求に勝負を賭ける(7.15)
緊迫が続くサラ・ドゥテルテ(Sara Vicenta Zimmerman Duterte)副大統領の「弾劾裁判(※1)」は、7月15日までに6日目の審理を終え、起訴パネル(検察側)による劇的な戦術変更が明らかになりました。
当初、5日目の審理では副大統領の最側近であるズレイカ・ロペス(Zuleika T. Lopez)副大統領府官房長が証言台に立ち、大統領らへの「重大な脅迫(※2)」に関する証言を行う予定でした。
しかし検察側は、「すでに本質的な立証は他で済んでおり、冗長な審理を避けるため」として、ロペス氏や報道機関の記者を含む合計7名の証人申請を一転して撤回しました。
代わって検察側が攻勢に出たのが、副大統領の資産疑惑(※3)を追及する金融データの開示です。
検察側は、副大統領と夫のマナセス・カルピオ(Manases “Mans” Reyes Carpio )氏の銀行口座、内国歳入庁(BIR)の納税記録、および反マネーロンダリング評議会(AMLC)の取引データの送付を求める「裁判所召喚(サピーナ ※4)」の発行を正式に申し立てました。
これに対し、副大統領側の弁護団は「具体的な根拠のない『フィッシング(漁り込み捜査)』であり、法的手続きの濫用だ」と激しく抵抗しています。
上院の裁判員(※5)らは、この召喚要求を認めるかについて、週明けの7月20日(月)に採決を下す予定です。疑惑のブラックボックスである「資金流用の足跡」に迫れるかどうかが、有罪・無罪の判断を分ける極めて大きな分岐点となっています。
用語:
※1)弾劾裁判:大統領や副大統領、最高裁判事などの高官を重大な不正行為を理由に国会が特別に起訴し罷免(クビ)にする裁判手続き。上院が裁判所、下院議員が検察官(起訴パネル)の役割を果たします。
※2)重大な脅迫:フィリピン刑法に定められた罪。サラ副大統領が2024年の会見で「自身が殺害された場合、マルコス大統領らを暗殺するようヒットマンと契約した」との旨を発言したことが発端となっています。
※3)不正蓄財・資産疑惑:サラ氏が公式に開示している「資産・負債・純資産報告書(SALN)」に未記載である、または公務員の合法的な所得水準を大幅に逸脱した多額の預金や金融資産を隠し持っているのではないかという疑惑。
※4)裁判所召喚(サピーナ / Subpoena):裁判所が当事者や第三者(銀行や税務署など)に対し、裁判に必要な特定の書類(証拠品)を強制的に提出させる、あるいは出頭を命じるための絶対的な法的命令。
※5)裁判員(Senator-judge):フィリピンの弾劾裁判において、陪審員および裁判官の役割を務め、被告高官が有罪か無罪かを最終決定する国会上院議員たちのこと。
出典:
「ドゥテルテ副大統領の裁判6日目:証人立ちはなし、銀行記録を巡る攻防(No witnesses on sixth day of VP Sara Duterte’s trial)」(Philstar 2026.7.15)
URL https://www.philstar.com/headlines/2026/07/15/2542319/no-witnesses-sixth-day-vp-sara-dutertes-trial
「サラ・ドゥテルテ副大統領の弾劾裁判6日目ハイライト:2026年7月15日(Highlights: Day 6 of Sara Duterte impeachment trial | July 15, 2026)」(Cebu Daily News 2026.7.15)
【政局】第2通常会期の開幕に向けて:大統領府が教育・社会保障・ガバナンス分野におけるマルコス「最優先法案」の迅速可決を促す(7.15)
フィリピン大統領府は7月15日、国会の休会が明ける7月27日の新会期(第2通常会期)スタートに合わせ、マルコス大統領が掲げる「国家優先改革法案(LEDAC ※1)」の審議及び承認を急速に推し進めるよう、上下両院に対して呼びかけました。
大統領府・対議会連絡局(PLLO)のマーク・デニス・カストロ氏が共有した進捗状況によると、大統領が「大統領布告1318」において緊急指定した優先法案のうち、以下の重要法案はすでに最終的な「両院協議会(※3)」の段階に入っています。
- 国立高齢者医療センター(高齢者総合病院)の設立(※2)
- 私立学校の生徒・教師に対する政府支援の拡大
- 危機状況下における生活困窮者への個人支援
また、インフラや教育に関連する「孤立・紛争地域でのラストマイル校(十分な教育が届かない最果ての学校)建設促進」のための新法は、すでに署名のために大統領府へ送付されました。
大統領府は、これらの構造改革法案が新会期において即座に法制化され、一般市民に政策の恩恵が行き渡るよう国会の協調を強く要望しています。
用語:
※1)LEDAC(Legislative-Executive Development Advisory Council):大統領、閣僚、国会指導者が一堂に会し、国家開発計画に直結する重要な政策や法案の優先順位を協議・合意する、行政と立法府の合同意思決定機関。
※2)国立高齢者医療センター:高齢化が進むフィリピンにおける高齢者医療の専門性を高め、老年医学の研究やリハビリ、低価格で高度な治療へのアクセスを向上させるための専門医療機関を創設する法案。
※3)両院協議会(Bicameral Conference Committee):下院と上院でそれぞれ可決された法案の内容に相違がある場合、双方の議員が集まって妥協案(修正案)を作成し、一本化するための調整会議。
出典:
「大統領府は、マルコス大統領の優先法案が議会で迅速に審議されることを期待している。(Palace hopes Congress fast-tracks Marcos’ priority bills)」(Philippine News Agency 2026.7.15)
URL https://www.pna.gov.ph/articles/1279462
【政局】サラ・ドゥテルテ副大統領の支持率が31%へ急反発:弾劾裁判での検察側の証人撤回による「12日間の審理短縮」も影響か(7.16)
国会で罷免の是非を問う「弾劾裁判(※1)」の真っ只中にあるサラ・ドゥテルテ副大統領について、民間調査機関社会気象ステーション(SWS)が7月16日に最新の世論調査結果を発表し、彼女の「純満足度(支持率 ※2)」がプラス31ポイントへと大幅に上昇したことが判明しました。
これまでの度重なる政治スキャンダルで支持率は前回の24%まで落ち込んでいましたが、ここへきて強固な支持基盤であるミンダナオ地方を中心に支持が再結集した形です。
この背景には、現在進行中の弾劾裁判における検察側(下院起訴パネル)の戦術変更も影響しているとみられます。
検察側は審理の長期化による世論の反発や冗長さを回避するため、副大統領の最側近であるロペス官房長を含む主要な証人7名の召喚・尋問を急遽中止することを決定しました。
この「証人ドロップ(申請撤回)」により、憲法違反や脅迫容疑を扱う弾劾訴追案・第4条関連の審理期間が、当初の予定より「12日間」も大幅に短縮される見通しとなり、裁判の早期結審への道筋が見えてきました。
法廷での泥沼劇が回避されつつある現状と、支持層の危機感が、副大統領の政治的評価を一時的に押し上げたと分析されています。
用語:
※1)弾劾裁判:副大統領などの国家高官が重大な憲法違反等を行った際、国会(上院)が裁判所となって罷免するかどうかを評決する特別な司法・政治手続き。
※2)純満足度(Net Satisfaction Rating):「満足(支持する)」と答えた人の割合から、「不満(支持しない)」と答えた人の割合を差し引いたフィリピン独自の指標。
出典:
「SWS:サラ・ドゥテルテの支持率は31ポイントに上昇(SWS: Sara Duterte’s net satisfaction rating rises to 31 points)」(INQUIRER.net 2026.7.16)
URL https://newsinfo.inquirer.net/2265120/sws-sara-dutertes-net-satisfaction-rating-rises-to-31-points
「証人尋問の中止により、弾劾裁判の審理期間が12日間短縮される可能性がある。(Dropped witnesses may cut Article 4 impeachment hearings by 12 days)」(Philippine News Agency 2026.7.16)
URL https://www.pna.gov.ph/articles/1279561
【政局】マルコス大統領が第5回国政演説(SONA)の原稿を最終推敲:各省庁長官と直接面談し「国民が実感できる実績」の裏付けを完了(7.16)
7月27日(月)に国会議事堂で開催される第5回「国政演説(SONA ※1)」に向けて、マルコス大統領が直前の最終調整を進めていることが大統領府から発表されました。
大統領府報道官によると、大統領は現在、各政府省庁の長官や行政機関のトップたちと緊密なコンサルテーション(協議)を重ねており、これまでに達成された各種国家プロジェクトの正確な進捗データの吸い上げを行っています。
今回の国政演説でマルコス大統領が最も重視しているのは、マクロ経済の数字の誇示ではなく、「一般市民の日々の食卓や生活にどれだけ政府の政策が恩恵をもたらしたか」という実感を伴う報告です。
特に、最近発表されたばかりの大型現金給付プログラム「UPLIFT」の予算執行状況や、インフラ・医療・教育分野での法案進捗が具体的に語られる予定です。
大統領は今週末にかけて演説原稿の最終的な推敲(ブラッシュアップ)を行い、新通常会期の開幕と共に国民へ向けた力強いメッセージを発信する準備を整えています。
用語:
※1)国政演説(SONA:State of the Nation Address):毎年7月の最終月曜日に、大統領が上下両院の合同本会議において、国家の現状報告と今後1年間の施策方針、優先法案を演説するフィリピン政界最大の定例行事。
出典:
「大統領府:マルコス大統領、第5回一般教書演説の最終調整、各機関の長と協議(Palace: Marcos finalizing 5th SONA, consulting agency heads)」(Philippine News Agency 2026.7.16)
URL https://www.pna.gov.ph/articles/1279570
【外交・安全保障】
【外交・司法】米国の「ICC解体」制裁キャンペーン始動を受けフィリピン大統領府が声明:国際社会の激変を注視しつつ麻薬戦争捜査に対する国内司法の主権維持を再確認(7.15)
米国政府が、国際刑事裁判所(ICC※1)によるイスラエル首相らへの逮捕状請求に反発し、ICCの機能を実質的に無力化・解体するための多国間キャンペーンや外交的制裁措置を開始したことで、国際司法の枠組みが大きく揺らいいでいます。
この世界的潮流を受け、ドゥテルテ前大統領による「麻薬戦争(※2)」へのICCの「人道に対する罪」をめぐる捜査を抱えるフィリピン政府の動向にも注目が集まっています。
大統領府報道官のクレア・カストロ氏は、「米国による対ICC政策の劇的な変化を含む一連の進展を緊密に検証している」「政府は前政権の麻薬撲滅キャンペーン中に殺害されたとされるフィリピン人のために正義を追求するとともに、告発された人々に対して適正な手続きと公平性を確保することに引き続き尽力していく」と述べました。
フィリピンは、2019年にICCから脱退していますが、フィリピンが米国の立場を支持するのか、それとも中立を維持するつもりなのかを問われたカストロ氏は、マラカニアン宮殿は大統領の声明を待つと述べました。また、フィリピンが国際刑事裁判所(ICC)への再加盟については否定しています。
超大国である米国のICC拒絶の動きが、フィリピンにおける前政権の訴追問題の行方にも心理的な影響を与える可能性があると見られています。
用語:
※1)国際刑事裁判所(ICC:International Criminal Court):オランダ・ハーグに置かれた、集団殺害や人道に対する罪など国際社会全体の重大な犯罪を犯した個人を裁く常設の国際裁判所。
※2)麻薬戦争(アンチ・ドラッグキャンペーン):ロドリゴ・ドゥテルテ前フィリピン大統領が主導した過激な超法規的麻薬取締作戦。多数の死者を出したとして、ICCが「人道に対する罪」の疑いで捜査を進めており、現マルコス政権との間で法的な対立点となっている。
出典:
「米国、国際刑事裁判所(ICC)の「解体」キャンペーンを開始(US launches campaign to ‘dismantle’ ICC)」(Philippine Daily Inquirer / 共同通信 2026.7.15)
URL https://globalnation.inquirer.net/330915/us-launches-campaign-to-dismantle-icc
「宮殿は、国際刑事裁判所の動向を検証する中で、正義の実現が依然として最優先事項であると述べている。(Palace says justice remains priority amid review of ICC developments)」(Philippine News Agency 2026.7.15)
URL https://www.pna.gov.ph/articles/1279471
【外交・安全保障】マルコス大統領がシンガポール実務訪問を総括:2027年ASEAN議長国の引き継ぎに向けた二国間連携と、デジタルインフラ・医療分野における外資投資確約の大きな成果(7.16)
マルコス大統領は7月14日から16日までの日程で、シンガポールへの実務訪問(※1)を行い、一連の外交・経済ミッションを完了してマニラへと帰国しました。
今回のトップ外交は、フィリピンが来年(2027年)に務めるASEAN議長国(※2)の役割を、その次の担当国であるシンガポールにバトンタッチする移行プロセスを見据え、戦略的な緊密連携を図ることが主な目的です。
公式日程の中で行われたシンガポールのローレンス・ウォン(Lawrence Wong Shyun Tsai)首相との個別会談では、世界的な経済ショックや地政学的緊張が続くなかでも、南シナ海の平和と航行の自由を維持するための防衛協力や、地域統合の核となる「ASEANの中心性(※3)」の重要性を双方が再確認し、結束を強めていくことで合意しました。
今回の訪問で特に大きな成果となったのが、フィリピンが「高中所得国」に認定されたことを受けて主導した「ミルケン研究所円卓会議」や個別企業との経済会合における外資直接投資(FDI)の呼び込みです。
具体的には、シンガポール通信大手「シングテル(Singtel)」がフィリピン国内でのデータセンター(※4)開発事業のさらなる拡張を再確約したほか、投資会社「ABCインパクト」がフィリピンの総合ヘルスケア(ACヘルス)の全国展開を支援することを表明しました。
これにより、自国のデジタル・インフラ改革案やグリーン投資の魅力を強くアピールするとともに、国内の医療アクセスの向上と数千人規模の新規雇用創出が期待されています。
大統領は帰国後の声明で、今回の訪問を「最も生産的であり、イノベーション主導の未来を見据えるフィリピン経済に対する強い信頼を証明するものだ」と手応えを語りました。
用語:
※1)実務訪問(Working Visit):儀礼的な要素が多い「国賓訪問」とは異なり、具体的な経済協定や地域安全保障など、直面する実務的課題を迅速に首脳間で直接協議するための訪問スタイル。
※2)ASEAN議長国:東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国がアルファベット順に持ち回りで毎年1年間務める代表。フィリピンは次期の任(2027年)を終えた後、次の順番に控えるシンガポールへとバトンを引き継ぐ。
※3)ASEANの中心性(ASEAN Centrality):東南アジアの平和、安定、開発に関して、ASEANが他国の主導権に依存せず、多国間交渉や枠組み創出の中心的な役割を担うべきであるという外交基本理念。
※4)データセンター:インターネット上の膨大なデータや企業の基幹システムを保管・運用するための専門施設。クラウドサービスやAIの普及に不可欠なデジタルインフラ。
出典:
「マルコス大統領は7月14日から16日までシンガポールを実務訪問する予定だ。(Marcos heads to Singapore for working visit July 14-16)」(Philstar.com 2026.7.13)
「マルコス大統領、シンガポール訪問で関係強化へ(Marcos to boost ties in SG visit)」(BusinessWorld Online 2026.7.13)
URL https://bworldonline.com/the-nation/2026/07/13/763103/marcos-to-boost-ties-in-sg-visit/
「マルコス大統領、シンガポール訪問を終え、経済関係の強化を図る(Marcos wraps up Singapore trip, secures stronger economic ties)」(Philippine News Agency 2026.7.16)
URL https://www.pna.gov.ph/articles/1279612
【安全保障・外交】対中国を見据えた防衛線の構築:米海兵隊の特殊部隊「海兵沿岸連隊(MLR)」がフィリピン北部沿岸で島嶼防衛訓練を展開(7.16)
ルソン島北部の戦略的要衝において、米国海兵隊が近年新設したエリート部隊「海兵沿岸連隊(MLR ※1)」とフィリピン軍による、高度な防衛合同演習が実施されました。
MLRは、敵のミサイル射程圏内にある最前線の島々に分散して展開し、長距離精密攻撃や対艦防衛を行うための特殊部隊です。
今回の演習では、フィリピン北部沿岸の地理的環境を利用し、対艦ミサイルシステムの迅速な機動配置や、ドローン(無人機)を使用した広範囲な偵察・情報収集のシミュレーションが行われました。
米国防省の関係者は、「この訓練は特定の国を対象としたものではない」としつつも、地域の平和と航行の自由を守るためにはフィリピン軍との「相互運用性(※2)」の強化が不可欠であると強調。同盟関係の深化による防衛力の向上を強く印象づけています。
用語:
※1)海兵沿岸連隊(MLR:Marine Littoral Regiment):米海兵隊が島嶼部での戦闘を想定して再編した新部隊。小規模で機動力が高く、敵の制海権・制空権内へ素早く潜入して情報収集やミサイル攻撃を行う機能を持つ。
※2)相互運用性(インターオペラビリティ):異なる国の軍隊同士が、武器システム、通信網、戦術運用などを合わせて、効果的に共同で作戦行動を行える能力のこと。
出典:
「米海兵沿岸連隊、フィリピン北部防衛に向けた訓練を実施(Specialized U.S. Marine Corps Group Trains to Defend the Northern Philippines)」(USNI News 2026.7.16)
【外交・安全保障】中国国営メディア「チャイナ・デイリー」がフィリピンを猿扱いする差別的AI動画を公開:比国会議員らの猛非難を受け、中国政府は「政府の行為ではない」と異例の火消し(7.18)
南シナ海(西フィリピン海)の領有権を巡る対立が続く中、中国の国営メディアによる「人種差別的なプロパガンダ(※2)」が新たな火種となっています。
中国の国営英字紙「チャイナ・デイリー(※1)」は、南シナ海問題に絡めてフィリピンを猿に見立てて嘲笑する、AI(人工知能)生成動画を公開しました。
この動画に対し、フィリピンの上下両院の国会議員らは一斉に激怒。「悪質で低劣な人種差別攻撃であり、フィリピン人全体に対する許しがたい侮辱だ」として、中国側を猛烈に非難する声明を次々と発表しました。
事態が外交的な炎上に発展する中、中国政府は7月18日、「チャイナ・デイリーの動画は政府の行為(公式見解)ではない」と釈明しました。中国共産党の強い統制下にある国営メディアの発信に対し、政府が自ら距離を置いて「火消し」に走るという異例の事態となっています。
海洋での物理的な領土摩擦だけでなく、AI技術を用いたメディアや世論工作を通じた感情的な対立も激しさを増しており、両国間の溝の深さが改めて浮き彫りとなっています。
用語:
※1)チャイナ・デイリー(China Daily):中国共産党の宣伝部が実質的に管轄する、同国最大の国営英字日刊紙。主に外国人や国際社会に向けて、中国政府の立場やプロパガンダを発信する役割を担うメディアです。
※2)プロパガンダ:特定の思想や世論に誘導するため、政治的な意図を持った情報を発信する宣伝活動のこと。
出典:
「中国国営紙のAI動画に非難拡大 フィリピンを猿に見立てる」(毎日新聞 2026.7.17)
URL https://mainichi.jp/articles/20260717/k00/00m/030/275000c
「議員らは、チャイナ・デイリーによるフィリピン人に対する人種差別的な攻撃を非難した。(Lawmakers condemn China Daily’s racist attack against Filipinos)」(Philippine News Agency 2026.7.17)
URL https://www.pna.gov.ph/articles/1279661
「北京:チャイナ・デイリーの動画は「政府の行為ではない」(Beijing: China Daily video ‘not an act of the government’)」(INQUIRER.net 2026.7.18)
URL https://www.inquirer.net/481081/beijing-china-daily-video-not-an-act-of-the-government/
【事件・犯罪・事故・治安】
【治安】マルコス大統領の第5回国政演説(SONA)警備計画:首都圏警察が2万人の警察官を配備、大規模な抗議活動に備え全域警戒体制へ(7.15)
7月27日(月)に開催されるフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領の第5回「国政演説(SONA ※1)」を目前に控え、首都圏警察局(NCRPO)は2万人の大規模警備部隊を動員する強固な警備戦略を明らかにしました。
NCRPOのヘイゼル・アシロ報道官が発表した計画によると、この2万人の配備体制には、マニラ首都圏内(NCR)の警察官のみならず、周辺の地方警察局から応援として派遣される「増援警察官」が含まれています。
警察当局は、演説会場となるケソン市のバタサン・パンバンサ(国会議事堂複合施設)周辺を厳重に封鎖するだけでなく、デモ活動を行う可能性のある市民・労働者団体をマッピングし、衝突を防ぐための「民衆騒乱管理(CDM ※3)」部隊を戦略的に展開する方針です。
さらにこの厳戒態勢は会場付近に限定されず、マニラ全域の各バランガイ(※2)における通常パトロールや防犯活動も包含されています。
現在、テロや重大な治安上の脅威に関する情報(インテリジェンス)は検知されていませんが、国会での弾劾裁判の進展等に伴う政情の緊張を踏まえ、二重の防衛ラインを構築する緊迫した対応が進められています。
用語:
※1)国政演説(SONA:State of the Nation Address):大統領が毎年7月の最終月曜日に国会において行う演説。これまでの行政の成果や課題を国民へ報告し、政府が最優先で可決を目指す重要法案を議会に示す重要な場。
※2)バランガイ:フィリピンにおける行政の最小単位(村や地区に該当)。各バランガイには自治組織や自警団が存在し、地域社会の治安維持を担っている。
※3)民衆騒乱管理(CDM:Civil Disturbance Management):デモ行進や集会、ストライキなどの混乱が発生した際、参加者の安全と言論の自由を守りつつ、暴徒化や公共器物の破壊を防ぐための警察の治安コントロール手法。
出典:
「NCRPO: SONAを確保するために2万人の警官(NCRPO: 20K cops to secure SONA)」(Philippine News Agency 2026.7.15)
URL https://www.pna.gov.ph/articles/1279458
【医療・事故】カビテ州の駆虫プログラム後に小4児童が敗血症性ショックで死亡:家族がNBIに捜査要請、学校保健の人的不足に警鐘も(7.15)
カビテ州トレセ・マルティレス市の公立小学校で7月2日に行われた「集団駆虫プログラム(※1)」の直後、小学4年生の男子児童(8歳)が体調を崩し、翌3日に「敗血症性ショック(※2)」により急死しました。
教育省(DepEd)の発表によると、同校で一緒に「アルベンダゾール(※3)」と呼ばれる抗寄生虫薬を服用した児童1,800人以上のうち、亡くなった児童を含む8人が吐き気や腹痛を訴えました。
この悲劇を受け、遺族は「投薬管理に誤りがあったのではないか」として、国家捜査局(NBI)に司法解剖を依頼し、真相解明に向けた法的措置を求めています。
一方で保健省(DOH)や地方政府は、「使用された薬品は使用期限内であり、投与量も適切だった。集団駆虫プログラム自体は安全で効果的である」として事業の継続を表明。しかし、教育省は学校内の安全プロトコルの抜本的な見直しを急いでいます。
また、教員団体である「教員の尊厳連合(TDC)」は、学校看護師や医師が慢性的に不足している現状を指摘。専門知識のない現場の教員が一斉投与の業務を担わざるを得ない、学校保健体制の構造的な課題を強く批判しています。
多機関による詳細な病理学的因果関係の調査が進められる中、学校における医療安全管理のあり方が改めて議論の的となっています。
用語:
※1)集団駆虫(デウォーミング):主に途上国において、子供の栄養状態改善や学習効率向上のため、寄生虫感染を予防・治療する目的で学校単位で行われる一斉駆虫活動。
※2)敗血症性ショック:感染症が全身に波及した結果、主要な臓器に重篤な機能不全が生じ、著しい血圧低下や全身性の炎症反応を引き起こす命に関わる危険な状態。今回の事例での初期死因と報告されています。
※3)アルベンダゾール:世界的に広く使われている安全性の高い抗寄生虫薬。寄生虫が体内で栄養を吸収するのを防ぎ、死滅させる効果があります。体内での一時的な死滅に伴う副反応として、腹痛や吐き気が生じることがあります。
出典:
「カビテ州で集団駆虫プログラムを終えた小4児童が埋葬され、家族が不条理な死への正義を要求(Grade 4 pupil laid to rest as family seeks justice for death they blame on deworming)」(ABS-CBN News 2026.7.15)
「カビテ州の小学校での駆虫薬死亡事故を受け、学校における医療従事者の不足を教育関連団体が指摘(Group flags school health personnel gaps after Cavite deworming incident)」(BusinessWorld 2026.7.13)
【治安・事件】ケント・カーペンター氏強盗殺人事件:国家警察(PNP)が容疑者3人のスピード逮捕を公式発表、逃亡中の4人目を追跡(7.16)
フィリピン国家警察(PNP)は7月16日、ネグロス・オリエンタル州シブラン町の自宅で高名な米国人海洋生物学者ケント・カーペンター氏(※1)が殺害された事件について、迅速な捜査の結果、容疑者3人の身柄を確保したと公式に発表しました。
PNPのロムアルド・ブランコ報道官によると、シブラン町警察の特別捜査チームは、事件発生(12日)直後から周辺の防犯カメラの映像解析や聞き込み調査を徹底して行い、地元を拠点とする窃盗犯グループを特定。
7月15日の夜、町内の潜伏先にて26歳と40歳の実行犯の男2人を相次いでスピード逮捕しました。さらに警察の強力な包囲網に追い詰められた21歳の3人目の容疑者も、翌16日の午前4時過ぎに警察署へ自ら出頭し、自首しました。
容疑者らは凶器となった銃器のほか、カーペンター氏の自宅から奪ったノートパソコンや携帯電話、現金を所持していました。
警察は、彼らが当初から金品目的で侵入した「悪質な強盗致死傷事案」として立件を進める一方、依然として現場から逃走している4人目の共犯者(※2)の逮捕に向けて全力で追跡捜査を続けています。
用語:
※1)ケント・カーペンター氏(Kent Carpenter):フィリピン周辺海域が世界の海洋生物資源の「多様性の中心地(エピセンター)」であることを学術的に証明し、長年にわたり環境保護活動を先導してきた、世界的に著名なアメリカ人海洋学者。
※2)4人目の共犯者:犯行時、住宅の外で見張り役や逃走用車両(バイク)の運転手を担当していたとされる犯行グループのメンバー。
出典:
「フィリピン国家警察:海洋生物学者ケント・カーペンター殺害事件の容疑者3人を逮捕(PNP: Three suspects in slay of marine biologist Kent Carpenter arrested)」(Philstar.com 2026.7.16)
【治安・行政】銃の不適切保管に鉄槌:下院が未成年と同居する銃所有者への処罰法案を可決、家庭内の暴発事故根絶へ(7.16)
レイテ島タクロバンの高校内で起きた銃撃事件などを背景に、フィリピン下院は7月16日、家庭内における銃器の安全管理を怠った所有者に対し、法的な刑事責任を直接追及する包括的な新法案を可決しました。
この法案は、自宅に18歳未満の子供や未成年者が同居している場合、すべての銃器を「鍵付きの保管庫に収納する」か「トリガーロック(引き金固定具)を装着する」ことを義務付けるものです。
もしこの適切なアクセス制限(安全措置)を怠り、未成年者が銃を容易に持ち出して自殺、他殺、あるいは偶発的な暴発事故を引き起こした場合、たとえ銃の引き金を引いたのが子供であっても、所有者である大人が「重過失および刑事責任(※1)」に問われます。
処罰内容には、数年以上の禁錮刑や銃所持ライセンスの永久剥奪といった重罪が含まれます。
法案の提出者は「フィリピンでは子供が親の所有する銃を誤って暴発させる悲劇が後を絶たない。銃を持つ権利には、子供の命を守る絶対的な安全管理プロトコル(※2)の義務がセットで伴うべきだ」と力説。
今後、上院での審議を経て正式な法律へと可決される見込みで、国内の銃規制に新たな一石を投じています。
用語:
※1)過失致死傷の刑事責任:本人が直接殺意を持って撃ったわけでなくても、危険物の管理を著しく怠ったことで他人の死傷を招いたとみなされ、刑法上の処罰対象となる法的な罪。
※2)安全プロトコル(安全基準・手順):事故やトラブルを未然に防ぐためにあらかじめ定められた、厳格な操作規定や管理運用の手順のこと。
出典:
「未成年者と同居する銃所有者は、下院法案に基づき、銃器の保管管理が不十分な場合、法的責任を問われる可能性がある。(Gun owners living with minors face liability for unsecured firearms under House bill)」(Philstar.com 2026.7.16)
【治安】入国管理局が外国人犯罪や不法就労を厳しく摘発:マニラ首都圏でイタリア人・トルコ人ら3名を逮捕(7.17)
フィリピン入国管理局(BI)の逃亡者捜索班は、マニラ首都圏において大規模な外国人取り締まりを行い、移民法(入国管理法)違反などの容疑で外国人3人の身柄を拘束しました。
逮捕されたのは、以下の3人です。
- イタリア人(45歳):適切な商用・就労ビザを持たずに国内で違法に商業活動を行っていた容疑
- トルコ人(38歳):観光ビザの期限を大幅に超過して不法滞在(オーバーステイ)していた容疑
- カメルーン人(29歳):偽造書類を使用して不法入国・滞在を試みていた容疑
入国管理局は近年、外国人による不法就労や、全面禁止となったオンラインカジノ(POGO ※1)の残党による治安悪化を重く見ており、情報活動(インテリジェンス)に基づいた追跡調査を強化しています。
拘束された3人は現在、タギッグ市の入管収容施設に送られており、法的手続きを経て速やかに「強制送還(デポーテーション ※2)」および再入国禁止(ブラックリスト掲載)の処分が下される見通しです。
用語:
※1)POGO(Philippine Offshore Gaming Operators):フィリピン国外の顧客を対象としたオンラインカジノ事業者。違法就労や誘拐などの犯罪の温床になったとして、マルコス政権下で全面禁止措置が進められています。
※2)強制送還(デポーテーション):滞在国の法律(移民法など)に違反した外国人を、国権によって強制的に国外へ退去させる行政処分。
出典:
「移民取り締まりでイタリア人、トルコ人、カメルーン人が逮捕される(Italian, Turkish, Cameroonian nabbed in immigration crackdown)」(Philippine News Agency 2026.7.17)
URL https://www.pna.gov.ph/articles/1279335
【司法・報道】SunStar前編集長が宗教団体による「不快感」容疑の逮捕状で出頭・保釈:コラム記事を巡る起訴に「報道の自由への威嚇」と懸念(7.17)
フィリピンの中部ビサヤ・西ビサヤ地方で広く読まれているSunStar系列の地方メディアにて、かつて編集長を務めたマーシェル・エスピナ(Marchel Espina)氏が、7月17日に警察の刑事捜査追跡グループ(CIDG)に出頭し、身柄を拘留された後に保釈金を納付しました。
この逮捕令状は、ルソン地方バタンガス州の裁判所が、地元の宗教グループ指導者からの告訴を受けて発行したものです。
発端となったのは、エスピナ氏がSunStar Cebuの編集長であった2024年12月に同紙に掲載された、外部の寄稿コラムニストが執筆したオピニオン記事(意見記事)でした。
告訴容疑は、刑法に定められた「不快感(アンジャスト・ベクセーション ※1)」という比較的軽微な罪ですが、被告側はメディアに対する「法的な嫌がらせ」として抗議しています。
エスピナ氏は出頭後の声明で、「司法のプロセスを尊重し従う」と述べつつも、以下のように報道の自由(プレスフリーダム)を擁護する強いメッセージを発信しました。
「一人のジャーナリストとして、この起訴は、メディア業務に関わる執筆者や編集者を刑事罰で脅かし、黙らせようとする『チリング・エフェクト(萎縮効果 ※2)』を狙ったものだ。良識ある報道活動が脅かされてはならない」
フィリピン全国記者クラブ(NUJP)などのジャーナリスト団体も、コラムの批判に対して実刑を伴う容疑で告訴することの不当性を訴え、エスピナ氏の全面支援を表明しています。
用語:
※1)不快感(アンジャスト・ベクセーション / Unjust Vexation):フィリピン改正刑法第287条に基づく軽微な犯罪行為。相手をイライラさせる、精神的に悩ませる、不快にさせるなどの言動や行動全般がこれに該当し、しばしば名誉毀損(リベル)が立証できない場合に報道機関への抑圧手法として使われることがあります。
※2)チリング・エフェクト(萎縮効果):表現活動や報道に対し、過剰な告訴による不利益な処遇(刑事手続きなど)を与えることで、言論を行う人々が処罰を恐れて自主的に沈黙してしまう現象。
出典:
「元SunStar編集長が出頭、不快感事件で保釈金を支払う(Former news editor surrenders, posts bail in unjust vexation case)」(Inquirer Visayas 2026.7.17)
【経済・観光・社会】
【経済・インフラ】世界最大の一体型太陽光発電・蓄電池施設「MTerra(Meralco Terra)ソーラー」第1期が落成:エネルギー自給へ歴史的一歩(7.14)
マルコス大統領は7月14日、ヌエバ・エシハ州ガパンのメイン変電所にて、単一サイトとしては世界最大となる太陽光・バッテリー貯蔵の統合ハイブリッド施設「MTerra(Meralco Terra)ソーラープロジェクト(※1)」の第1期落成式に、ファーストレディらと共に出席しました。
この超大型施設は、SPニューエナジーと英投資会社アクティスの共同開発によるもので、最終的にはヌエバ・エシハ州とブラカン州の5つの町にまたがる規模となります。
現在、第1期はすでに進捗率91%に達し、1,373メガワットの太陽光発電容量と825メガワットの蓄電池システムが通電を終え、今年8月に完全な商業稼働を開始する予定です。
中東などの地政学的リスクに伴う原油高や、石炭依存(発電全体の57%)から脱却し、電力供給を安定化させる急先鋒として期待される同プロジェクト。
マルコス大統領は「外部要因に左右されない強靭な電力システムの構築において、明確な第一歩となる」と、クリーンエネルギー比率引き上げへの決意を熱く語りました。
用語:
※1)MTerraソーラー(Meralco Terra Solar):マニラ電力(Meralco)傘下のMGenと英アクティスにより開発が進められている世界最大の太陽光・バッテリー併設型プロジェクト。最終稼働時には3,500メガワットの太陽光容量と4,500メガワット時の蓄電容量に達する予定。
出典:
「マルコス大統領、世界最大の太陽光発電施設を開設(Marcos inaugurates world’s largest solar farm facility)」(The Manila Times 2026.7.14)
<参考>
「世界最大級の太陽光発電所とバッテリーエネルギー貯蔵施設の建設プロジェクトが正式着工(フィリピン)」(ジェトロ 2024.11.27)
URL https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/11/bfd798f2b4c20794.html
【社会・交通】配車アプリ(TNVS)の手続き緩和:LTFRBが毎年の更新申請を免除、有効期間5年延長を適用(7.15)
陸上フランチャイズ規制委員会(LTFRB)は、国内で普及している「TNVS(※1)」事業者を対象に、営業に関わる行政手続きの大幅な簡素化を発表しました。
これまでドライバーや事業者たちは、営業許可証(CPC※2)を維持するために毎年のように煩雑な申請書類を用意し、役所の長い列に並ぶ必要がありました。これが原因で多くの車両が一時的に運行できなくなり、都市部での慢性的な配車不足の一因となっていました。
新ルールでは、過去に重大な違反歴や苦情がない優良なTNVS事業者を対象に、毎年の更新手続きを完全に免除します。
さらに、新たな運営承認システム(ATOC)の導入に伴い、認可の有効期限を5年間へ一律に延長します。
この官僚的な手続き(レッドテープ)の排除により、ドライバーはより安定して稼働できるようになり、利用者にとっても利便性が大きく向上する見通しです。
用語:
※1)TNVS(Transport Network Vehicle Service):Grab(グラブ)などのアプリを通じて、一般の自家用車などを手配して有償で乗客を運送するサービス。
※2)CPC(Certificate of Public Convenience):フィリピン政府が公共交通サービス事業者などに発行する、公式な「経営・営業許可証(フランチャイズ)」。
出典:
「LTFRBは、対象となるTNVS事業者はCPC更新の申請が不要になったと発表した。(LTFRB says eligible TNVS operators no longer need to apply for CPC renewal)」(BusinessWorld 2026.7.15)
「LTFRBはTNVSのフランチャイズ更新の煩雑さを解消し、ATOCの下でCPCの有効期間を5年に延長した。(LTFRB removes franchise renewal hassles for TNVS, CPC extended to five years under ATOC)」(Daily Tribune 2026.7.14)
URL https://tribune.net.ph/2026/07/14/ltfrb-removes-franchise-renewal-hassles-for-tnvs-cpc-extended-to-five-years-under-atoc
【経済】5月の海外送金額は27.1億ドル:地政学リスクを克服し、前年比2%増の堅調な流入を維持(7.15)
フィリピン中央銀行(BSP)が7月15日に発表した速報データにより、海外で働くフィリピン人労働者(OFW ※1)から本国への「仕送り」が引き続き堅調に推移していることが判明しました。
2026年5月の現金送金額(銀行経由の公式仕送り額)は27億1,000万ドルに達し、前年同月の26億6,000万ドルから2%の着実な伸びを記録しています。
これにより、2026年1〜5月期の累計送金額は141億1,000万ドルに達し、前年同期(137億7,000万ドル)に比べて2.5%増加しました。
また、現物支給や非公式ルート経由の仕送りも含めた「個人間送金(パーソナル送金)」総額も、5月は前年比2.1%増の30億3,000万ドルへと上昇しています。
主な送金元国は依然として米国が最大シェアを占め、シンガポール、サウジアラビアがこれに続いています。
金融アナリストは、「中東地域などで地政学的緊張がくすぶる中でも、世界的な労働市場におけるOFWへの高い需要が送金の回復力を支えている。この信頼性の高い資金流入が、国内の旺盛な個人消費を支え、ペソ相場を安定させる外部バッファー(緩衝材)として機能し続けるだろう」と分析しています。
用語:
※1)OFW(Overseas Filipino Worker):海外で就労し、本国の家族へ仕送りを行う出稼ぎフィリピン人労働者の総称。国のGDP(国内総生産)の約1割相当を彼らの送金が占めています。
出典:
「海外在住フィリピン人からの送金額は5月に27億ドルに達した。(Remittances from overseas Filipinos hit $2.7-B in May)」(Philippine News Agency 2026.7.15)
URL https://www.pna.gov.ph/articles/1279460
【経済】「世界最低税率(15%)」がフィリピンの外資誘致に影:下院シンクタンク、法人税優遇の見直しと「国内最低追加税」の段階的導入を緊急提言(7.16)
多国籍企業の租税回避を防ぐための国際ルールである、OECD(経済協力開発機構)の「世界最低税率(15%)制度(※1)」の浸透が、フィリピンのこれまでの外国直接投資(FDI)誘致の仕組みを根底から揺さぶっています。
下院の政策予算研究部(CPBRD)が発表した最新の研究ペーパーは、税制優遇によって対象多国籍企業(MNE)の実効法人税率が15%を下回った場合、その差額分は「企業の本国」等で追加徴税されてしまう、いわゆる「インセンティブの矛盾(※2)」が生じていると警告しました。
これは、フィリピンが本来得られたはずの税収(数千億ペソ規模)を、結果的に他国へ明け渡すことと同義です。
この事態を回避するため、報告書は他国への税収流出を防ぐための「国内最低追加税(QDMTT ※3)」の早期法制化を提言しました。
さらに長期的には、従来の「法人税の免除(租税回避)」という手法から、国際ルールに適合した「研究開発やデジタル移行、再生可能エネルギー投資へのダイレクトな資金補助・還付(QRTCs)」など、より高度で、かつ世界基準に合致した投資支援インフラへの脱皮が必要であると訴えかけています。
用語:
※1)世界最低税率(グローバルミニマム課税):年間総売上が7億5,000万ユーロ以上の多国籍企業グループを対象に、世界各国のどの進出国であっても、最低でも15%の法人税率で課税されるようにする国際合意ルール(OECD第2の柱)。
※2)インセンティブの矛盾:フィリピン政府が外資企業を呼び込むために「法人税を非常に安くする(優遇措置)」を提供しているにもかかわらず、最低税率ルールのために、安く抑えた税額差分が「多国籍企業の母国」の税務署から追加で徴収されてしまう、優遇措置が本末転倒になる現象。
※3)国内最低追加税(QDMTT:Qualified Domestic Minimum Top-Up Tax):自国に拠点がある大企業の実質税率が15%を下回った場合、他国へ課税権を奪われる前に、自国政府が自主的に不足分(15%に満たない分)を追加徴税する仕組み。
出典:
「世界的な最低税制の導入により、フィリピンの多国籍企業に対する税制優遇措置が弱まる可能性がある。(Global minimum tax may blunt Philippine tax incentives for multinationals)」(BusinessWorld 2026.7.16)
【経済・交通】原油高が直撃:LTFRBが公共交通ドライバーへの緊急燃料補助金を計画、運輸団体による運賃値上げ要求の審議も加速へ(7.16)
陸上フランチャイズ規制委員会(LTFRB ※1)は7月16日、世界的な原油価格の跳ね上がりを受け、公共交通機関(PUV)の安定的運行を維持するための2つの主要施策を同時並行で検討していると表明しました。
原油高はジプニー(※2)や公共バスのドライバーの死活問題となっており、LTFRBのテオフィロ・グアディス3世委員長は、今年度の国家予算に組み込まれている「燃料補助金プログラム」の未執行分を前倒しで迅速に分配できるよう、予算官房(DBM)と緊急の調整に入ったことを明らかにしました。
一方で、各種運輸団体からは、燃料費の負担増を相殺するために「2ペソの基本運賃値上げ」を求める正式な請願書が提出されています。
グアディス委員長は「ドライバーの生活維持は最優先だが、急激な運賃改定は一般の通勤・通学者やインフレ率(物価上昇率)を直撃するため、非常に慎重な精査が必要だ」と言及。
来週中にも公開聴聞会を開催し、補助金支給のタイミングと運賃改定の妥当性について最終的な結論を出す見通しです。
用語:
※1)LTFRB(Land Transportation Franchising and Regulatory Board):フィリピン運輸省傘下の「陸上フランチャイズ規制委員会」。国内のバス、ジプニー、タクシーなどの公共交通機関のルート承認、営業許可(フランチャイズ)の発行、運賃の決定などを管轄する政府機関。
※2)ジプニー:フィリピンの街中を走る、ジープを改造した派手な装飾が特徴の乗り合いミニバス。庶民の最もポピュラーな移動手段(インフラ)となっている。
出典:
「原油価格の高騰を受け、LTFRBは燃料補助金と運賃値上げを検討中(LTFRB mulls fuel subsidy, fare increase as oil prices jump)」(ABS-CBN News 2026.7.16)
【経済・IT】LCCの常識を覆す快適性へ:セブパシフィック航空、2027年より全機に「スターリンク」高速無料Wi-Fiを導入へ(7.16)
フィリピン最大級の格安航空会社セブパシフィック航空(CEB)は、機内エンターテインメントおよび通信環境の抜本的改革として、スペースX社の次世代衛星通信「スターリンク(※1)」を機内サービスへ全面的に導入することを決定しました。
発表によると、同社は2027年のサービス開始を目指し、保有するエアバス機などの機体にスターリンク専用の航空用アンテナ(※2)を順次搭載していきます。
このシステムにより、従来の航空Wi-Fiで課題だった通信の途切れや速度低下が大幅に改善され、高度1万メートルの機内であっても地上と同等の超高速・低遅延のインターネット環境が実現します。
さらに注目すべきは、このWi-Fiサービスがすべての乗客に対して「原則無料」で開放される点です。
ビジネス層のリモートワーク(メッセージングやWeb会議)だけでなく、一般観光客によるリアルタイムでのSNS投稿、YouTubeなどの動画ストリーミング視聴も快適に楽しむことが可能となります。格安運賃を維持しつつフルサービスキャリア並みの付加価値を提供するこの戦略は、アジア圏の航空デジタルトランスフォーメーションをリードする一手として注目されています。
用語:
※1)スターリンク(Starlink):イーロン・マスク氏率いるスペースX社が開発した、地球低軌道に数千基の小型通信衛星を配備して地球全土に超高速・低遅延のインターネット接続を提供する衛星通信ネットワークサービス。
※2)衛星アンテナ(航空用端末):移動する航空機の屋根に取り付けられ、上空を移動するスターリンク衛星の電波を自動で追尾し続ける、航空機専用に設計された特殊な超軽量・薄型通信ハードウェア。
出典:
「セブパシフィック航空、2027年にスターリンクWi-Fiを機内サービスに導入へ(Cebu Pacific to bring Starlink Wi-Fi aboard flights in 2027)」(SunStar Davao 2026.7.16)
【経済】物価高リスクに対抗:マルコス大統領、巨大給付金「UPLIFT」を緊急発表!総額900億ペソ・750万世帯へ一律1万2000ペソをデジタル支給(7.17)
中東の政情不安に伴う世界的な原油市場の混乱と、それに伴う国内の燃料・生活必需品の価格上昇の危機を受け、マルコス大統領は国民の足元を守るための緊急生活支援給付策「UPLIFT(※1)」の大幅な拡大を断行しました。
7月16日時点では、予算官房(DBM)が迅速に用意した総額123億7,500万ペソの予算枠に基づき、「4Ps」受給世帯(350万世帯)へ一時最大2,000ペソの上乗せ、社会保険庁(SSS)登録の低所得労働者(150万世帯)へ月額2,000ペソの直接給付などが計画されていました。
しかし翌7月17日、マルコス大統領はインフレの嵐から一般家計をより強力に保護すべく、包括的現金給付策(アユダ※2)の予算規模を総額900億ペソ(約2,400億円)へと一挙に拡大する全貌を緊急発表しました。
これにより、フィリピン総世帯の約3分の1に相当する計750万世帯(約3,750万人)に対し、それぞれ「一律1万2,000ペソ(約3万2,000円)」が直接支給されることとなります。具体的な対象には、以下の層が含まれます。
- 福祉プログラム「4Ps」の登録世帯
- 月額所得が一定基準を下回る民間・インフォーマルセクターの労働者
- 直近の原油高で深刻な打撃を受けているジプニーやトライシクルの運転手(運輸部門)
大統領府は、役所の事務遅延や不正なピンハネを根絶するため、政府の公式デジタル決済プラットフォーム(電子ウォレット等)を利用して対象口座へ直接かつ即時に分配する方針を固めました。
マルコス大統領は、「世界的な原油高という外部の嵐から、誰一人取り残さずに国民を守り抜く」と、強固なコミットメントを表明しています。
用語:
※1)UPLIFT(Unified Package for Livelihood, Industry, Food and Transport):生活、産業、食料、運輸を一元的に保護するためにフィリピン政府が策定した、燃料高・物価高騰に対する緊急救済パッケージ。
※2)アユダ(Ayuda):フィリピン語(タガログ語・セブアノ語共通)で「政府からの緊急援助金・救済物資」を意味する言葉。パンデミックや激しい物価高、大災害時に支給される公的扶助全般を指します。
※3)4Ps(Pantawid Pamilyang Pilipino Program):最貧困層の子供たちの保健および教育を支援するため、出席率などの条件を前提に政府から現金を直接給付する、フィリピン最大の社会扶助プログラム。
出典:
「マルコス大統領、世界的な原油リスクの中、750万世帯への現金給付の拡大を発表(Marcos bares targeted cash aid to 7.5M families amid global oil risks)」(Philippine News Agency 2026.7.16)
URL https://www.pna.gov.ph/articles/1279544
「マルコス大統領は、750万世帯にそれぞれ1万2000ペソを支給すると発表し、新たな支援策を打ち出した。(Another ‘ayuda’: P12,000 each for 7.5M families, says Marcos)」(Philippine Daily Inquirer 2026.7.17)
URL https://newsinfo.inquirer.net/2265311/another-ayuda-p12000-each-for-7-5m-families-says-marcos
【社会・交通】便乗値上げに歯止め:LTFRBがタクシー配車アプリの「予約手数料」に一律50ペソの上限を設定、違反者には厳しい罰則(7.18)
多発する燃料高騰の裏で横行していた、配車プラットフォームによる「不透明な手数料の上乗せ」に、政府のメスが入りました。
陸上フランチャイズ規制委員会(LTFRB)は7月18日、アプリベースで予約される一般タクシーの「予約手数料(Booking Fees)」に対し、一律50ペソの上限価格(プライスキャップ)を導入すると公式に発表しました。
この規制は、従来の定額運賃(初乗り45ペソ等)とは別に、一部のタクシー会社や配車アプリ側が独自の判断で高額な予約手数料を乗客に課しているという市民からの苦情を重く見て決定されたものです。LTFRBのテオフィロ・グアディス3世委員長は、「公共交通機関のあらゆる運賃改定や追加料金の徴収は、事前に当委員会による公開聴聞会と公式な承認を経なければならない」という大原則を改めて強調しました。
新ルールでは、50ペソの上限を超えて不当な手数料を徴収した事業者に対し、初回で5,000ペソの罰金、違反を繰り返す場合は「営業許可(CPC ※1)」の取り消しという、極めて重い行政処分を断行する方針を固めました。
Grab(グラブ)などの民間の配車サービス(TNVS ※2)のみならず、一般タクシーをアプリで呼ぶケースが急増する中、通勤客や一般市民の移動コストの負担を最小限に抑え、交通市場の透明性を守る画期的な是正措置プロトコルとなります。
用語:
※1)CPC(Certificate of Public Convenience):フィリピン政府が公共交通サービス事業者などに発行する、公式な「経営・営業許可証(フランチャイズ)」。
※2)TNVS(Transport Network Vehicle Service):Grabなどのアプリを通じて、一般の自家用車などを手配して有償で乗客を運送するサービス。
出典:
「LTFRBがアプリベースのタクシーの予約手数料に上限価格を設定(LTFRB sets price cap on booking fees for app-based taxis)」(Manila Bulletin 2026.7.18)
URL https://mb.com.ph/2026/07/18/ltfrb-sets-price-cap-on-booking-fees-for-app-based-taxis
【気象・災害・防災】
【気象・災害】ミンダナオ島南部でM6.2の強震:先月発生したM7.8大地震の被災地を再び強い揺れが襲う(7.14)
7月14日午後11時49分(現地時間)、フィリピン南部ミンダナオ島のジェネラル・サントス市南方海域を震源とする、マグニチュード(M)6.2の強い地震が発生しました。震源の深さは約68キロです。
今回の地震で特に懸念されているのが、被災地への「重複被害」です。
強い揺れが襲った地域は、先月6月8日に死者94名、負傷者1,300名以上、家屋損壊12万棟以上という甚大な被害を出した「M7.8 サランガニ沖大地震(※1)」の被災地域とほぼ重なっています。
先月の大地震ではサランガニ州やダバオ・オクシデンタル州の沿岸部が最大2メートルも隆起し、サンゴ礁が陸上に露出するという驚異的な地殻変動が起きており、現在も多くの被災者が避難所や親族・知人宅などで過酷な避難生活を強いられています。
今回のM6.2の地震による新規被害の全容調査が急がれるとともに、度重なる地震で弱り切った地盤における土砂崩れや液状化現象に対し、現地では厳重な警戒が呼びかけられています。
用語:
※1)M7.8 サランガニ沖大地震(2026 Mindanao earthquake):2026年6月8日にフィリピン南部で発生した大震災。本震後に激しい余震が相次ぎ、地盤隆起などの凄まじい地殻変動をもたらしました。今回の7月14日の地震(M6.2)も同一エリアで発生しています。
出典:
「フィリピン・ミンダナオ島でM6.2の強い地震が発生(Strong M6.2 earthquake hits Mindanao, Philippines)」(The Watchers 2026.7.14)
URL https://watchers.news/2026/07/14/strong-m6-2-earthquake-hits-mindanao-philippines/
「ミンダナオ地震2026:フィリピン南部でM6.2の地震発生(2026 Mindanao earthquake)」(Wikipedia 最終更新2026.7.16)
URL https://en.wikipedia.org/wiki/2026_Mindanao_earthquake
【気象・災害】震災からの復興へ前進:サランガニ州が大地震後のインフラ安全確認を終え、行政業務と全校での対面授業を完全再開(7.16)
連続する激しい地震に見舞われたミンダナオ島南部のサランガニ州にて、地域の社会・経済機能を速やかに復旧させるため、通常の公務および学校の授業が全面的に再開されました。
同州は先月発生した激甚な大地震(※1)の被災地であり、直近の7月14日夜にもM6.2の強い地震(余震)に襲われたため、安全確保を目的に一時的な行政機能の停止や休校措置が取られていました。
州政府の緊急タスクフォースとエンジニアチームは、公共建造物、橋梁、および学校校舎の構造的な「ひび割れや耐震性」の緊急一斉点検を実施。
その結果、生徒や職員の生命に危険を及ぼす致命的なインフラ損傷はないと判断され、16日朝からの完全再開へと至りました。
地方自治体は「余震への警戒は維持しつつも、生活の通常化を進めることが住民の不安を和らげる最善の道だ」としており、被災世帯への住宅再建支援と並行して地域コミュニティの復興を急いでいます。
用語:
※1)先月の大地震 / 直近の強震:2026年6月8日にミンダナオ島南部沖で発生したM7.8の大震災と、それに伴い7月14日深夜に同一エリアで発生したM6.2の地震を指します。地盤隆起などの被害が出ましたが、復旧に向けたインフラ確認が進んでいます。
出典:
「サラニガニ州、大地震後、通常の行政業務と授業を再開(Sarangani resumes regular gov’t work, classes after major quake)」(Inquirer Mindanao 2026.7.16)
URL https://newsinfo.inquirer.net/2264748/sarangani-resumes-regular-govt-work-classes-after-major-quake
【ビサヤ・セブ】
【議会】
【外交・安全保障】セブ市の「西フィリピン海勝利の日(※1)」制定と国防相招待に中国総領事館が抗議:トマス・オスメニャ副市長とアルキバル市長の足並み乱れも露呈(7.13)
南シナ海の領有権問題を巡り、中国独自の「九段線」を全面否定した2016年の「国際仲裁判断(※2)」から10年となる節目に、セブ市議会が7月12日を「西フィリピン海勝利の日」と定める決議を採択しました。
さらに翌7月13日、市庁舎にて記念式典を挙行。式典には、中国政府からペルソナ・ノン・グラータ(好ましくない人物※3)に指定されているギルベルト・テオドロ国防相が主賓として招かれました。
これに対し、在セブ中国総領事館の張真(ジャン・ジェン)総領事は記者会見を開き、「セブ市議会による露骨な挑発行為だ」と猛烈に批判。
セブと中国(アモイ市など)の姉妹都市提携関係や、今後の経済・観光交流への長期的かつ直接的な悪影響を警告する、強い外交抗議をセブ市側に提出しました。
この外交摩擦は、セブ市トップ間の政争にも直結しています。
式典を主導したトマス・オスメニャ(Tomas Osmeña )副市長は、式典を欠席したネストル・アルキバル(Nestor Archival)市長に対し、「(中国を刺激しないよう)安全策をとって逃げた(日和見主義だ)」と公に批判。
対するアルキバル市長は「マニラでの予算交渉という公務を優先したためだ」と釈明を余儀なくされました。国境を巡る対立の火種が、地方自治体のガバナンス(行政運営)をも大きく揺さぶる事態へと発展しています。
用語:
※1)西フィリピン海:フィリピン政府が自国の領海および排他的経済水域(EEZ)として主張している、南シナ海東部海域の公式呼称。
※2)国際仲裁判断(2016):オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が、南シナ海のほぼ全域に主権が及ぶとする中国の「九段線」を、国際法上の根拠がないとして退けた歴史的裁定。中国側は一貫してこの裁定を「無効」として拒絶しています。
※3)ペルソナ・ノン・グラータ:外交用語で「好ましくない人物」を指します。今回の式典にゲスト参加したテオドロ国防相は、強硬な対中姿勢から中国政府より公式な制裁を受け、入国拒否などの対象とされています。
出典:
「総領事がセブ市議会の露骨な挑発行為を非難(Consul general calls out Cebu City Council for blatant provocation)」(Manila Bulletin 2026.7.13)
URL https://mb.com.ph/2026/07/13/consul-general-calls-out-cebu-city-council-for-blatant-provocation
「オスメニャ氏、仲裁判断記念式典への不参加でアルキバル市長を『安全策をとった』と非難(Osmeña calls out Archival for no-show in arbitral award anniversary)」(Manila Bulletin 2026.7.14)
URL https://mb.com.ph/2026/07/14/osmena-calls-out-archival-for-no-show-in-arbitral-award-anniversary
【事件・犯罪・治安】
【治安・行政】LTO-7が大規模な内部浄化を断行:ナンバープレート配給や路上の取り締まりで不当請求・収賄に関与した職員40名を一斉免職処分へ(7.13)
陸上運輸局・第7地域事務所(LTO-7※1)のウェンデル・ディンラサン地域局長は、一般ドライバーを対象にした悪質な汚職行為が発覚したとして、組織内の事務員や路上執行チームを含む臨時職員(ジョブオーダー※3)計40名を即時解雇処分にしたと公表しました。
内部調査によると、処分された職員らは複数の手口で市民から不当に金銭を巻き上げていました。
特にナンバープレート配布所では、すでに車両登録料を支払い済みのバイカーに対し、プレートを引き渡す手数料と称して本来は不要な2,000〜2,500ペソを騙し取る「プレート搾取(※4)」が横行。
また、一部の職員は裏で「違法フィクサー(※2)」と呼ばれる手続き代行ブローカーと手を結び、正規の審査を迂回させて不正な免許証や書類を発行していたほか、路上検問にてドライバーから日常的に賄賂(キックバック)を要求していた事実も確認されています。
ディンラサン局長は、正式な行政聴聞(ヒアリング)の手続きを踏むことなく即時解雇に踏み切った理由について、「彼らが有期雇用の臨時契約スタッフ(ジョブオーダー ※3)であり、信頼の欠如に基づく任命権者の裁量によって、ただちに契約を終了できる立場にあったためだ」と説明しました。
一方で、正式採用されている正規公務員(プランティラ職員 ※5)の関与者については、今後は法に定められた適正手続き(デュープロセス)に基づいた調査と処分が厳格に行われます。
LTO-7はこの大量免職による人員不足を補うべく、新たに訓練・委託を完了した約200名の執行官をセブおよびボホール州に緊急展開し、市民の信頼回復に向けた取り締まりを強化する方針です。
用語:
※1)LTO-7(Land Transportation Office Region 7):フィリピン運輸省傘下の「陸上運輸局・第7地域事務所」。セブ島やボホール島を含む中央ビサヤ地方全体の車両登録、運転免許証の発行、交通取り締まりを管轄しています。
※2)フィクサー(代理ブローカー):行政手続きを迅速に終わらせる、あるいは正規の試験などをパスさせる見返りとして、本来の行政手数料とは別に不当な金銭(賄賂)を要求して手続きを仲介する違法な手続きブローカーのことです。
※3)ジョブオーダー(Job Order):フィリピンの公的機関において、特定の業務のために有期で直接雇用される「臨時契約のスタッフ」。正規公務員のような解雇保護規制(身分保障)が適用されません。
※4)プレート搾取(Plate Extortion):フィリピンで長年続くナンバープレートの深刻な供給不足を背景に、申請者がようやく届いた正規プレートを受け取ろうとする際、窓口の職員が個人的な見返り手数料(賄賂)を要求して引き渡しを拒む不正行為のことです。
※5)プランティラ職員(Plantilla Employee):政府機関における予算裏付けのある「常勤・正規雇用の公務員」。職を罷免(クビ)にするには、厳格な行政聴聞など、法的に定められた適正な懲戒プロセスをすべて経る必要があります。
出典:
「LTO-7の職員40人が汚職で解雇される(40 LTO-7 workers fired for corruption)」(SunStar Cebu 2026.7.13)
URL https://www.sunstar.com.ph/cebu/40-lto-7-workers-fired-for-corruption
「汚職苦情を受けLTO-7の取り締まりにより職員40名が免職処分に(LTO 7 crackdown leads to removal of 40 personnel amid corruption complaints)」(The Manila Times 2026.7.15)
【経済・観光】
【安全・観光】コブラ目撃で揺れる「カワサン滝」:バディアン町が安全宣言を出しつつ、観光客へ冷静な対応と警戒を促す(7.14)
ターコイズブルーの美しい水面で世界的に有名なセブ島南部の観光名所「カワサン滝(※1)」およびキャニオニング(沢登り)エリア周辺にて、有毒なコブラの目撃情報が相次いでSNSに投稿され、地元住民や観光客の間に懸念が広がっています。
これを受けバディアン町政府と観光局は7月14日、「カワサン滝の安全性は維持されており、通常通り開放している」とする公式な観光アドバイザリーを公表しました。
町観光局は、カワサン滝が豊かな森林と河川の生態系に囲まれた「法的保護地域」であり、本来さまざまな爬虫類や野生動物が自然に暮らす生息環境であることを説明しています。
その上で、観光客の安全を守るための具体的な追加対策として、SNS上で多くの設置要望が寄せられていた「野生動物への注意を促す情報看板」を散策ルートの要所に新設・増強することを決定しました。
さらに現地には、応急処置や野生動物への緊急対応トレーニングを積んだ専任のパークレンジャーや公認ガイド、救急対応チームが常時配備されています。
当局は訪れる観光客に対し、以下の初期対応プロトコルを守るよう強く推奨しています。
- 指定された見学ルートを絶対に外れないこと
- もし蛇を発見しても、近づいたり捕獲を試みたりせず、すぐに近くのスタッフへ知らせること
- 万が一の蛇噛まれ事故(スネークバイト)に備え、慌てずに患部を固定して抗毒素(アンティベノム ※3)のある最寄りの病院へ直行すること
用語:
※1)カワサン滝(Kawasan Falls):セブ島南部バディアン町にある、国内外から絶大な人気を集める自然景勝地。上流からのスリリングな川下りや滝壺への飛び込みを行う「キャニオニング」のアクティビティで知られています。
※2)サマールコブラ(Samar Cobra):フィリピンのビサヤ・ミンダナオ地方に固有の猛毒を持つコブラの仲間。身の危険を感じると、敵の眼に向けて毒液を前方へ最大数メートル噴射(スプット)する極めて危険な習性を持っています。
※3)抗毒素(アンティベノム / Antivenom):特定の毒ヘビに噛まれた際の唯一の治療薬。フィリピン政府保健省は、民間の民間療法(傷口を縛る、ナイフで切る、口で吸い出す、ハーブを塗る等)は症状悪化を招くため絶対に行わないよう指導しています。
出典:
「バディアン町は、コブラの目撃情報があった後もカワサン滝の安全性は維持されていると住民に保証した。(Badian assures public Kawasan Falls remains safe after cobra sightings)」(SunStar Cebu 2026.7.14)
【行政】ガバナンスと地域経済を推進:セブ市とネグロス・オクシデンタル州ヒママイラン市が「姉妹都市(※1)」協定を正式調印(7.15)
セブ市と、ネグロス・オクシデンタル州の主要都市であるヒママイラン(Himamaylan)市は、両自治体における行政ガバナンス(※2)の向上と地域発展、およびプログラムの相互共有を目指し、正式に姉妹都市協定を締結しました。
調印式は7月15日午後、ラプラプ市のシャングリ・ラ マクタンで開催され、セブ市のネストル・アルキバル市長と、ヒママイラン市のロヘリオ・レイムンド・トングソン・ジュニア市長が署名を交わしました。
式典には、両市の関係強化を長年仲介してきたセブ姉妹都市委員会のグレース・シーラ・アバンサード事務局長らも同席しています。
トングソン市長はSNSを通じ、アルキバル市長の温かい歓迎に感謝の意を述べ、「両都市は、このパートナーシップを市民が目に見え、実感できる具体的な繁栄と進歩へとつなげていくという共通の約束を掲げ、姉妹として共に前進する」と決意を語りました。
この提携により、以下のような双方の優れた実務ノウハウ(ベストプラクティス)の積極的な相互移転が進められることとなります。
- 強固な観光・貿易ネットワークの新規開拓
- 医療・教育プログラムの共同推進
- 環境の持続可能性向上
- 多発する気候変動リスクへの「防災レジリエンス(※3)」の共有
用語:
※1)姉妹都市(シスターシティ):文化・経済・行政の交流を通じて友好関係を深め、互いの地域社会を活性化させるために提携を結んだ自治体同士の関係。フィリピン国内では自治体同士の結束を強める「国内姉妹都市」提携が近年極めて活発に行われています。
※2)ガバナンス(地方統治 / 行政運営):自治体や組織を健全かつ透明に運営するための管理体制や意思決定の仕組みのこと。
※3)防災レジリエンス:予期せぬ自然災害に直面した際、その被害を最小限に抑えつつ、インフラや人々の暮らしを柔軟かつ迅速に回復させるための地域社会の抵抗力・回復力のこと。
出典:
「セブ市とヒママイラン市が姉妹都市提携を締結(Cebu, Himamaylan establish sister city ties)」(Philippine News Agency 2026.7.16)
URL https://www.pna.gov.ph/articles/1279548
【経済・インフラ】セブ州議会の「187ヘクタール森林伐採」決議と農地改革省の土地転用承認が相次ぐ:ダアンバンタヤン75億ペソメガソーラー、前政権からの紛争を抱えつつ2026年末の着工へ(7.17)
セブ島最北端のダアンバンタヤン町(Daanbantayan)のティングブ地区(Barangay Tingub)などで地元政府が進めている「ダアンバンタヤン・ソーラーファーム(※1)」プロジェクト(投資規模75億ペソ/約200億円)を巡り、行政・立法手続きが相次いで大きく前進しました。
まずセブ州議会(PB ※2)が、建設予定地187ヘクタール内(プロバスケットボールコート約4,300〜4,400面分、東京ドーム約40個分)の樹木の伐採および移転許可(ツリーカッティング・ペミット)を環境天然資源省(DENR)から取得するための決議案を公式に採択。これに合わせ、フィリピン農地改革省(DAR-7)からも、計画エリア内の約半分の土地(計80区画)について農業用から発電インフラ用への土地転用申請の正式認可が下りました。
この事業は深刻な電力不足(パワーデフィシット)に悩むセブ島において「国家的な緊急重要プロジェクト」に指定されていますが、その足元では根深い法的紛争がくすぶっています。
前政権(グウェンドリン・ガルシア前知事時代)から続く土地交渉において、地元の地主70人が求めた売却価格(1平方メートルあたり400ペソ)と州政府の提示額(130ペソ)が折り合わず決裂。
前政権が不動産税の滞納を名目にした「固定資産税没収(タックス・フォーフィチャー ※3)」という強硬手段で土地を差し押さえたため、元地主らと激しい裁判沙汰に発展し、開発を請け負うスペインの再エネ大手アシオナ・エネルヒア(Acciona Energia)が一時撤退を検討する事態を招いていました。
現職のパメラ・バリクアトロ知事はこれら負の遺産を引き継ぎつつも前進を選択。広大な森林伐採による環境破壊への懸念に対抗するため、州政府は事業者に対し「今後10年間で60万本の木を植樹・育成する」という厳格な法的義務を課しました。
事業はアシオナ社が25年間のBOT(建設・運営・譲渡 ※4)方式のもとで150メガワットのインフラを整備し、実際の建設はパワーチャイナ(Power China)が担当します。州政府は残る半分の土地認可手続きを急いでおり、2026年第4四半期(10〜12月)の本格着工を目指しています。売電価格は1キロワット時あたり約4.50ペソと安価に設定される見込みで、地域住民へのクリーンかつ低コストなエネルギー供給の主軸として期待されています。
用語:
※1)ダアンバンタヤン・ソーラーファーム:セブ島最北部のダアンバンタヤン町で計画されているメガソーラー発電施設。完成すれば、セブ州内でも最大規模のクリーンエネルギー供給インフラとなります。
※2)州議会(PB:Provincial Board):フィリピンの州政府において、州条例の策定や予算案の承認、主要インフラ開発に関する決議を行う最高意思決定機関(立法府)。
※3)固定資産税没収(タックス・フォーフィチャー / Tax Forfeiture):所有者が長年にわたり不動産税(固定資産税)を滞納した際、地方政府が法律に基づいてその土地の所有権を強制的に剥奪・没収する行政処分。価格交渉のデッドロックを打破する強硬手段として利用されたため、激しい裁判沙汰になっています。
※4)BOT(Build-Operate-Transfer)方式:民間事業者が自費でインフラ施設を建設(Build)し、一定期間の維持・運営(Operate)により投資を回収した後、その所有権を政府や自治体に無償譲渡(Transfer)する手法。
出典:
「セブ州議会、75億ペソのダアンバンタヤン太陽光発電プロジェクトのための森林伐採を支持(Cebu PB backs tree-cutting for P7.5-B Daanbantayan Solar Project)」(SunStar Cebu 2026.7.16)
URL https://www.sunstar.com.ph/cebu/cebu-pb-backs-tree-cutting-for-p75-b-daanbantayan-solar-project
「セブの太陽光発電所が前進:75億ペソの巨大プロジェクトに向け土地承認が完了(Cebu Solar Farm moves forward: Land approvals cleared for huge P7.5-billion project)」(SunStar Cebu 2026.7.17)
【経済・観光】セブの高級リゾートが国際アワードで快挙:世界的高級誌の「フィリピン最高のビーチリゾート2026」トップ10にランクイン(7.17)
セブの観光業界にとって、世界へ向けた強力な追い風となるニュースが届きました。
世界的権威を誇る総合旅行雑誌『トラベル・アンド・レジャー(Travel + Leisure)』のアジア太平洋版が発表した「ラグジュアリー・アワード 2026」において、マクタン島を代表する高級リゾート「シャングリ・ラ マクタン セブ(Shangri-La Mactan, Cebu)」が、フィリピンのビーチ・島嶼リゾート(※1)部門で見事第6位に選出されました。
このアワードは、客室の質、施設の充実度、立地、そしてフィリピンならではの温かいホスピタリティ(接客サービス)など、世界中の洗練された旅行者や読者による厳格な投票をもとに決定されるものです。
また、同じセブ・マクタン島からは、広大なウォーターパークで家族連れに絶大な人気を誇る「Jパーク アイランド リゾート & ウォーターパーク(JPark Island Resort & Waterpark)」も第10位にランクインしました。
フィリピン国内ではパラワン島やボラカイ島の隠れ家リゾートが上位を占める中、国際空港からのアクセスが良く、都市機能と美しいビーチが融合したセブ島のリゾートがトップ10に複数食い込んだことは、ポスト・パンデミックにおけるセブの観光ブランドの強靭さを改めて世界に証明する結果となっています。
用語:
※1)島嶼リゾート:大小さまざまな島々(島嶼)で展開されるリゾートのこと。フィリピンは7,000以上の島からなる島嶼国であり、島ごとに異なる魅力を持つビーチリゾートが点在しています。
出典:
「このセブのリゾートが、フィリピン屈指のビーチリゾートにランクインしました。(This Cebu Escape Just Ranked Among the Philippines’ Best Beach Resorts)」(Esquire Philippines 2026.7.17)
【社会・医療・福祉】
【環境】セブ州が公立病院9カ所に総額6590万ペソを投資:最新の「膜分離活性汚泥法」排水処理施設を導入へ(7.15)
セブ州政府は、環境保護と衛生管理の強化を目的に、州内の主要な州立病院および地方公立病院9カ所の排水処理施設(※1)の新規整備および改修に向けて、総額6,590万ペソの予算を割り当てました。
州保健局のシェイラ・ファシオル局長から提出された計画書によると、各病院の立地や土地の状況に基づき、以下のように予算が配分されます。
- ピナムンガハン町(マリア・ボロメオ記念病院):910万ペソ(最大額)
- トゥブラン地方病院:870万ペソ
- カモテス諸島、アルガオ、オスロブ、ダナオ、バディアン、カルカル、ミンラニリャの各公立病院:480万〜870万ペソ
これらの施設には、極めて高いろ過能力を持つ「膜分離活性汚泥法(※2)」技術が導入され、病原体や重金属といった医療用の有害物質が公共水路へ流出するのを徹底的に遮断します。
浄化された水は、庭園の散水や施設内の清掃用として安全にリサイクルできるため、インフラの水資源への依存度を抑え、循環型社会を目指す地方自治体の優れた先例としても注目を集めています。
用語:
※1)汚水処理設備:生活雑排水や医療活動に伴う有害な排水を、微生物や物理フィルターによって無害なレベルまでろ過し、自然に還す、あるいは再利用するためのインフラ設備。
※2)膜分離活性汚泥法(MBR / Membrane Bioreactor):極めて微細な孔を持つフィルター(膜)と微生物による生物処理を組み合わせた高度な浄化技術。従来の処理方法に比べて設置面積が小さく、非常に透明度の高い良質な処理水を得ることができます。
出典:
「セブ州、病院の排水施設整備に6,590万ペソを配分(Capitol allocates P65.9M for wastewater facilities)」(SunStar Cebu 2026.7.15)
URL https://www.sunstar.com.ph/cebu/capitol-allocates-p659m-for-wastewater-facilities
【教育・治安】単なる処罰ではなく「なぜ行ったか」を問う:セブ州バリクアトロ知事、学校への脅迫・暴力に関与した少年ら3名と保護者へ直接対話を実施(7.16)
近年セブ島内で深刻な社会問題となっている、オンラインでの学校爆破・襲撃予告「オンライン・スレット(※1)」などのトラブルを巡り、セブ州のパメラ・バリクアトロ(Pamela (Pam) Baricuatro)知事は、特定された未成年者3名とその保護者を州庁舎に召喚し、彼らの声を直接聞く異例の「個別対話」を行いました。
サイバー犯罪捜査などを通じて特定された少年たちは、バリクアトロ知事に対し、それぞれの動機を以下のように告白しました。
- タリサイ市の12歳と13歳の少年:
- 「テストの準備ができておらず、休校になれば時間を稼げると思った。他県で起きた襲撃事件の投稿を面白半分で模倣し、Facebookに書き込んでしまった」
- カーカー市の17歳の少年:
- 「同級生から繰り返し殴る蹴るなどの酷いいじめを受けており、自分の身をいじめから守るために、学校の外へ刃物を持ち出してしまった」
バリクアトロ知事は、公共の安全を脅かす行為は決して許されないとしつつも、子供たちがインターネットの悪影響に無防備である点や、心の孤立が引き金になっている現状に強い懸念を表明。
家庭における日々のコミュニケーションと、保護者の監督責任の重要性を訴えました。
その上で、少年たちに対しては、ただ切り捨てるような処罰を与えるのではなく、社会福祉開発省(DSWD)による専門カウンセリングや「更生支援プログラム(※2)」を受けさせ、無事に学業へ戻れるよう手厚くサポートしていく約束を交わしました。
用語:
※1)学校への脅迫行為(オンライン・スレット):FacebookなどのSNSに「学校で銃撃を行う」「爆弾を仕掛けた」等と虚偽の投稿をする行為。たとえいたずら目的であっても、警察や特殊部隊(SWAT)が出動し臨時休校を余儀なくされるため、重大なハイテク犯罪として厳しく処罰されます。
※2)更生支援プログラム:罪を犯した、または問題行動を起こした未成年者に対し、少年院などの収容ではなく、社会福祉士(ソーシャルワーカー)などの面談を通じて心理的ケア、道徳教育、家庭環境の改善等を行い、社会復帰を促す福祉的措置。
出典:
「バリクアトロ知事、学校への脅迫に関与した未成年者と面会し動機を調査、今後の事件を防止へ(Baricuatro meets minors involved in school threats to understand motives and prevent future incidents)」(The Manila Times 2026.7.16)
「バリクアトロ知事、オンライン脅迫の背後にいる生徒らを召喚(Baricuatro summons students behind online threat)」(The Manila Times 2026.7.15)
【社会・医療】カビテ州の小4死亡事件によるデマを牽制:DOH-7がビサヤ地方の保護者に「駆虫薬は安全かつ不可欠」と公式声明(7.17)
ルソン地方カビテ州の小学校で、今月上旬に集団駆虫プログラム(※1)に参加した8歳の小学4年生男児が脳の感染症(※注:前述のカビテ州の事案)により急死した事故を受け、SNS上で「学校の駆虫薬を飲むと死亡する」といった憶測や虚偽情報が急速に拡散しています。
この事態を極めて重く見た保健省・第7地域(ビサヤ)事務所(DOH-7 ※2)は7月17日、公式な健康アドバイザリーを発表し、国が実施する駆虫事業で使用されている薬剤の安全性について改めて強くアピールしました。
DOH-7によると、プログラムで使用されている抗寄生虫薬「アルベンダゾール」は、世界保健機関(WHO)によって推奨され、フィリピン国内の公衆衛生プログラムで約30年間もの長期にわたり一貫して使用されている安全性の高い標準薬です。
服用後に一部の子供に見られる軽い腹痛や吐き気、発熱などの副反応は、寄生虫が死滅するプロセス等に伴う「一時的かつ典型的な反応」であり、適切な指導で問題なく対処できるとしています。
DOH-7は、汚染土壌に触れる機会が多いフィリピンの子供たちにとって、「土壌伝染性蠕虫(※3)」の感染は発育阻害や貧血に直結する深刻なリスクであると警鐘を鳴らし、保護者に対して誤情報に惑わされず、全国キャンペーンへの支持と参加を維持するよう強く訴えかけています。
用語:
※1)集団駆虫プログラム:フィリピンの公立学校等で定期的に実施される、寄生虫予防・駆除のために児童へ一斉に駆虫薬(錠剤)を投与する事業。
※2)DOH-7(Department of Health Region 7):フィリピン保健省の中央ビサヤ地方(セブ、ボホール、シキホールなど)を統治・管轄する地域オフィス。
※3)土壌伝染性蠕虫(STH:Soil-Transmitted Helminths):回虫、鞭虫、鉤虫など、汚染された土壌を介して口や皮膚から体内に侵入する寄生虫の総称。貧血や発達の遅れをもたらすため、途上国では一斉駆除が最優先の保健課題とされています。
出典:
「DOH 7:駆虫は依然として安全かつ効果的(DOH 7: Deworming remains safe and effective)」(SunStar Cebu 2026.7.17)
URL https://www.sunstar.com.ph/cebu/doh-7-deworming-remains-safe-and-effective
【その他】
その他
【社会・外交】高齢の残留日系2世・河内さん(95歳)の「就籍」却下に不服申し立て:法的な日本人身分の証明に向け即時抗告(7.14)
第2次世界大戦の荒波に呑まれ、フィリピンに父親が日本人であることを示す書類を失ったまま取り残された「残留日系2世(※1)」の河内シズコさん(95歳)が、日本の家庭裁判所に求めていた「就籍(※2)」手続きが却下されたことに対し、高裁に即時抗告を行いました。
戦火によってマニラなど各地の多くの公式記録や教会の出生証明書が焼失したため、家裁側は「父親が日本人である客観的な確証に欠ける」と判断を下しました。
しかし、河内さん自身の詳細な記憶や周囲の関係者による証言などから、彼女が日系2世であることは明白です。
弁護団は、「95歳という高齢の当事者にとって時間的な猶予はなく、今こそ人道的配慮と柔軟な証拠評価が不可欠である」と強く訴えています。
戦争という歴史の歯車がもたらした不条理な国籍喪失を解決するため、日本の司法に対し、より温かい理解と迅速な決断が今まさに求められています。
用語:
※1)フィリピン残留日系人(2世):戦前にフィリピンへ渡って麻の栽培などに従事していた多くの日本人男性と、現地のフィリピン人女性との間に生まれた子供たちのこと。戦後の強制送還や混乱のなか現地に置き去りにされ、戦後の強い反日感情のなかで身分を隠しながら過酷な人生を歩んできました。
※2)就籍:戸籍を持っていない無戸籍者が、家庭裁判所の許可を得て、新しく日本国籍を持った自分名義の戸籍を作り出すための法的手続き。
出典:
「フィリピン残留日系人の95歳女性、家裁の「就籍」却下受け高裁に即時抗告」(読売新聞オンライン 2026.7.14配信)
URL https://news.yahoo.co.jp/articles/95e20b0a19ace1818e6d63f5a566bd71df8bffc9
【社会・経済】広がる生活への危機感:厚労省調査で過半数の世帯が「生活苦」を実感、ひとり親世帯は8割超の衝撃(7.15)
日本の厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査」の結果から、エネルギー価格や日用品価格の高騰がダイレクトに日本の家計を直撃している実態が改めて浮き彫りになりました。
今回の最新調査において、全体の54.4%にあたる世帯が、現在の暮らし向きについて「大変苦しい」または「やや苦しい」と回答しています。
さらに深刻な数値を示したのが、社会保障のセーフティネットからこぼれ落ちやすいとされる「母子世帯(※1)」などのひとり親層であり、実に対象の8割超(82.1%)が日々の生活苦に直面している現状が可視化されました。
また、貯蓄額が100万円に満たない低所得世帯や不安定な雇用に悩む世帯も増加傾向にあり、物価変動に対する家計の抵抗力が全体的に著しく低下しています。
これ以上の経済格差や生活困窮の拡大を防ぐため、迅速かつ持続的な生活給付措置、および最低賃金の引き上げを含む雇用環境の根本的な改善が、日本国内の急務となっています。
用語:
※1)母子世帯(シングルマザー世帯):母親と、その扶養下にある子供だけで構成される世帯。日本の労働市場における賃金の男女格差や非正規雇用の割合の高さが主な要因となり、平均所得が極めて低く、経済的困難を最も抱えやすい世帯類型の一つとなっています。
出典:
「世帯の半数以上が「生活苦しい」 母子世帯では8割 厚労省調査」(朝日新聞デジタル 2026.7.15配信)
URL https://www.asahi.com/articles/ASV7H255JV7HUTFL00LM.html
【治安・犯罪】在セブ日本国総領事館関係者を名乗る詐欺メールが横行:フリーメールからLINE等の個人情報を狙う手口に公式が注意喚起(7.17)
在セブ日本国総領事館は7月17日、総領事館やその関係者の名称を悪用した悪質な「なりすましメール(※1)」が確認されたとして、在留届や「たびレジ(※2)」に登録しているフィリピン在住の日本人や渡航者に向けて緊急の安全情報を発出し、警戒を呼びかけました。
判明した手口によると、不審なメールは発信元が一般的なフリーメールアドレス(GmailやYahoo!メールなど)になっており、本文中においてLINE個人アカウントの認証やQRコードの提供を求めてくるなど、巧妙に個人情報を搾取しようとする内容です。
総領事館は、日本の大使館や総領事館がメール等でLINEアカウントの提示やパスワードなどのプライベートな情報の提供を求めることは「一切ない」と断言しています。
心当たりのない不審な連絡を受信した際は、安易に返信したりURLを開いたりせず、詐欺の可能性を十分に考慮するよう警告しています。
なお、同総領事館からの正規のメール連絡は、以下のドメインのアドレスのみから送信されます。受信した際は送信元アドレスに偽装がないか必ず確認し、不審な場合は同館へ直接問い合わせるようアドバイスしています。
- cebucoj@ce.mofa.go.jp
- cebu@mailmz.emb-japan.go.jp
用語:
※1)なりすましメール:実在する公的機関や企業の名前を騙り、受信者を信用させて偽のウェブサイトへ誘導したり、個人情報や金銭をだまし取ったりするサイバー犯罪の手法。
※2)たびレジ:外務省が提供する無料の海外安全情報配信サービス。滞在期間が3ヶ月未満の旅行者や出張者が登録することで、現地の緊急速報や領事メールをリアルタイムで受け取ることができます(3ヶ月以上の長期在留者は「在留届」を提出します)。
出典:
「【注意喚起】在セブ日本国総領事館関係者を装ったなりすましメールにご注意ください」
https://www.anzen.mofa.go.jp/od/ryojiMailDetail.html?keyCd=166505
【社会・外交】81年目の奇跡:テレビ報道から新証拠が浮上、高齢の残留日系2世・太田ミヨ子さん(85歳)の日本国籍回復が正式に認可へ(7.18)
第2次世界大戦下の過酷な歴史に翻弄され、フィリピンの地に日本人である身分証明を失ったまま取り残されていた「残留日系2世(※1)」の太田ミヨ子さん(85歳)が、ついに81年越しに日本国籍を回復させる「就籍(※2)」手続きの許可を日本の家庭裁判所から勝ち取りました。
太田さんは戦火によって父親が日本人であることを示す公的記録や教会の出生証明書がすべて焼失していたため、客観的な証拠不足から長年手続きが暗礁に乗り上げていました。しかし、劇的な転機となったのは日本のテレビニュースによる報道でした。太田さんの境遇を伝える番組を偶然目にした視聴者らの協力や支援団体の再調査により、父親の出身地である熊本県の小学校の古い明治・大正期の学籍簿の中から、父親の親族にあたる「太田家」の血縁関係を証明する決定的な記録が発掘されました。
この新証拠の提出を受け、家庭裁判所は「父親が日本人である確証が極めて高い」と判断し、悲願の就籍を正式に認可しました。存命中の救済が時間的に切迫する多くの残留日系2世の当事者たちにとって、今回の報道発の新証拠発見による逆転認可は、今後の人道的支援と司法判断に大きな希望を与える歴史的な快挙となっています。
用語:
※1)フィリピン残留日系人(2世):戦前にフィリピンへ渡って麻の栽培などに従事していた日本人男性と、現地の女性との間に生まれた子供たち。戦後の混乱のなか現地に置き去りにされ、身分を隠しながら過酷な人生を歩んできた歴史がある。
※2)就籍:戸籍を持っていない無戸籍者が、家庭裁判所の許可を得て、新しく日本国籍を持った自分名義の戸籍を作り出すための法的手続き。
出典:
「81年越し・・・フィリピン残留2世が国籍回復 テレビ報道キッカケで調査→新証拠発見(After 81 Years… Philippine-Remaining Second-Generation Nikkeijin Recovers Japanese Nationality: Investigation Sparked by TV Report Leads to New Evidence)」(テレビ朝日系(ANN) 2026.7.18配信)
URL https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000519686.html
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