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「note」に投稿しました
以前、当ブログに投稿した「海外移住と住所と住民登録(1年の滞在で住民票を抜く?抜かない?海外移住者にとって知っておくべきことを元公務員が説明します)」のダイジェスト版を、連載で「note」に投稿しています。

これまでに、以下の通り、3回投稿しました。
- 「『1年以上の海外滞在なら住民票を抜く』という根拠は何?」
- 「一時帰国で住民票を入れられるのか?それとも入れられないのか?」
- 「結果的に1年未満の滞在だった場合、住民登録は取り消されるのか?」
今回はダイジェストの最終回、4回目として「海外と日本の2拠点生活(両方に「生活の本拠」を持つ)の場合の住民票は?」を投稿しました。
日本国内においては、住民基本台帳法に基づく「住民登録」ができる「住所」は1箇所に限られています。
外国人の場合は、海外(母国)での「住所(生活の本拠)」の有無にかかわらず、日本に「生活の本拠」があるかないかで判断されています。
日本人の場合も同様と考えられます。
そして、所得税法上の居住者の判定において、「いわゆる永遠の旅人(Perpetual Traveler, Permanent Traveler)の場合であっても、その人の『生活の本拠』がわが国にあれば、わが国の居住者となる」とされているように、現代の生活スタイルは多様化しており、個別に判断されることになります。
日本に住民票がある場合は、原則として住民税や社会保障の負担が必要となり、所得税法上の「居住者」であれば、「全世界所得課税」となり、海外での収入も課税対象となります。
一方、日本で「非居住者」とされた場合は、居住者向けの一般の銀行口座などが維持できなくなる可能性があり、銀行口座がないとクレジットカードや携帯電話の維持も難しくなってきます。
このような点を踏まえて、日本国内においても居住者としての社会活動を続けたいと考える方もいるのではないかと思います。
これまで説明してきたように、日本に「住民登録」する場合は、居住地が「住所(生活の本拠)」である必要があります。
居住地の形態は、自宅や賃貸住宅、実家、兄弟などの親戚や友人の家など、様々なケースがあるかと思います。
近年の少子高齢化で兄弟や親戚の数も少なくなり、日本に頼れる身寄りのない人も多くなってきています。
連帯保証人がいない場合は、家賃保証会社を利用することなどができますが、高齢で身元引受人がいない場合などは、賃貸物件を探すことも容易ではないようです。
さらに、銀行口座も携帯電話番号もない状況では、なおさらです。
また、海外においては、外国人という立場は不安定なものです。
(近年、日本においても外国人に対する厳しい論調が見られますが、日本より差別的であったり、外国人に厳しい国はたくさんあるでしょう)
アメリカではトランプ政権になって移民政策が変わったように、政権交代や時の社会情勢によって制度が変わることはあります。1
フィリピンも、「リタイアメントビザ」は種類によっては35歳から取得が可能でしたが、今は50歳に引き上げられました。
よほどでなければ、取得した権利が取り消されることはありません。
しかし、外国人だと、永住権を持っていたとしても、例えば何らかの犯罪に巻き込まれて有罪判決が出て国外追放されるということも、可能性としては皆無ではありません。
他にも、戦争や大災害が起きたり、新型コロナウイルスを超えるような疫病など、社会的混乱が生じた場合、居住を続けることが困難になるケースもあり得ます。
また、フィリピンでは、困窮邦人の話題が本やテレビなど取り上げられることがありますが、そういった異性関係だけではなく、家族とのトラブルや自分自身の病気(精神疾患も含め)などでフィリピンにいられなくなるということもあります。
そういった何らかの事情で日本に戻る必要が生じた場合、先ほど述べたように、日本に身寄りのない「非居住者」は、住む場所を探すことさえ容易ではありませんが、行政の支援もあまり期待できません。
日本では福祉などの社会保障は、多くが市町村など自治体の事務となっており、「住民」を対象としているからです。
日本に「住所」があれば、介護や医療、公営住宅への入居、生活資金の貸与など、人生において想定できる様々な問題について、何らかの公的支援への窓口が開かれているのと比べると、「天と地ほどの差」があると言っていいでしょう。
※「note」への投稿は、分かりやすくするために、一次情報である根拠法令の条文や判例などは、極力省いています。
おわりに
私自身、海外と日本の2拠点生活を送りたいという考えを持っています。
将来的に、セブに民泊とアパートを作ったら、日本にもシェアハウスのような2拠点生活ができる住居が作れたらと思っています。
合わせて、身寄りのない人向けの生活サポートもできたらと思っています。
さて、3月28日に発生した、ミャンマー中部を震源とするマグニチュード7.7の大地震について、ミャンマー軍は、これまでにおよそ1700人が死亡し、およそ3400人がけがをしたほか、およそ300人の行方がわからなくなっているとしています。
ミャンマーでは4年前、軍が前の年に行われた総選挙に不正があったと主張してクーデターを起こし、民主化運動の指導者アウン・サン・スー・チー氏を拘束した状態が続いています。2
軍政権と親密な関係の中国、ロシア、インドなどはいち早く救援活動を開始したとのこと。いずれにしも、一人でも多くの方の命が救われることを祈っています。
また、震源地から1,000km以上離れたタイの首都バンコクで、建設中のビルが倒壊し3、その映像がSNSなどでたくさん流れています。
もっとも、確かに最上階のプールの水が溢れる映像からも、「長周期地震動」による被害はあるようですが、あのような倒壊をしたのはそのビルだけのようで、その後、建設を手がけた中国企業の従業員の男4人が建設資料を持ち出すため事務所に侵入しようとしたとして、タイ当局に一時身柄を拘束されたこともあり4、手抜き工事など施工上の問題があったのではないかという話があがっているようです。
フィリピンでは、1990年のルソン島地震や1976年のミンダナオ島地震で大きな被害がでています。
ビサヤ地方でも2013年10月15日にボホール島でマグニチュード7.1の地震が発生し、死者数は150人を超えており、セブ市街でも大きな揺れがあり、サントニーニョ教会の外壁が崩れるなどの被害が生じました。5
セブだと台風被害対策の方を考えがちですが、いつかは、もっと大きな地震が来るかもしれません。地震に対する備えも必要だと思っています。
【脚注】
- 「トランプ米政権、中南米出身53万人の合法滞在資格を取り消しへ」(BBC NEWS 2025/03/22) ↩︎
- 「ミャンマー軍司令官 “12月にも総選挙 民政移管へ動きを加速”」(NHK 2025/3/28) ↩︎
- 「ミャンマー大地震 なぜ離れたバンコクで被害 1分51秒」(2025/03/30) ↩︎
- 「倒壊ビルめぐり、中国企業従業員4人を一時拘束 建設資料を持ち出そうとしたか タイ」(二テレニュース 2025/03/31) ↩︎
- 「フィリピンの地震、死者151人に 同国最古の教会も被害」(AFP BB NEWS 2013/10/16) ↩︎
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